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【改稿版】戦国幻獣物語 〜目指せ、戦国ひきこもりモフモフ生活! 八百万の幻獣をモフって今日も生き抜くぞ、おぉーーっ!〜   作者: 蒼葵美
14XX年 本作戦をモフシマ作戦と呼称します

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110/112

0110. 攻略準備と私たちの秘密基地づくり

 ダンジョンの情報共有をしてから数日、大聖宮の皆は今まで以上に気合が入った様子でそれぞれの仕事に取り組んでいる。

 子供たちの未来、ひいては安房の国の未来が懸かっているのだと誰もが理解してくれているようだ。特に沙門と筑馬の気合いの入り方は尋常ではない。


 沙門は門前町に住む人たち向けに「まずは基礎体力が肝心!」と息巻いているのを筑馬が「焦りは禁物です。身体が持ちませぬ」と冷静に宥めている。

 かと思えば、その筑馬は食糧備蓄などに没頭するあまり、三日三晩部屋に籠もり続け、たきに「筑馬が倒れては元も子もございません!」と叱られていた。そのやる気が空回りしないといいのだけれど。


 一方、私の準備はというと、まずはダンジョン攻略に不可欠な武具からだった。来るべき戦いに備え、この小さな身体を守り、そして最大限の力を発揮するための得物。それは作戦の成否を左右する最も重要な要素の一つだ。


 その日、外宮の広間には氏兼が一人の屈強な武士のような職人を連れて来ていた。日に焼け、鍛え上げられた腕には無数の傷跡がある。鞍馬か飯母呂、いずれかの一族の甲冑師かっちゅうし、あるいは具足師ぐそくしだろう。彼の纏う空気はただの職人というより戦場を知り尽くした歴戦の士のそれだった。


「――琴音様。先日、お言付けいただいた武具の件。まず御身を守るための〝防具〟について、ご相談に参りました」


「ええ。ありがとう、氏兼」


「はっ。姫様の御身体に合うた具足は、今、ございませぬ。つきましては、既存のわらべ用の具足を姫様のお身体に合わせて、完璧に仕立て直したく。……ご面倒とは存じますが、しばし採寸のお時間を頂戴できぬでしょうか」

 その甲冑師は私の前に静かに膝をつくと深々と頭を下げた。その目には幼い私を侮るような色は一切なく、ただ純粋な職人としての探究心と主君に仕える者としての忠誠心が宿っていた。


「わかったわ。私のためにありがとう。よろしくお願いします」

 採寸はすぐに終わった。甲冑師は竹の物差しを使い、私の手足や胴回りを驚くほど正確かつ迅速に測っていく。その手つきには一切の無駄がなく、長年の経験に裏打ちされた自信が感じられた。

「姫様はどのように戦われますか。太刀でございますか、それとも弓で?」と問われ、「薙刀です。舞うように、速く動けることが肝要です」と答えると、彼はなるほどと深く頷き、「かしこまりました。動きを妨げぬよう、革と鉄の配分を工夫し、最上のものを献上いたします」と力強く約束してくれた。


 甲冑師が退出すると、入れ替わるように、今度は筑馬が部屋へと入ってきた。その手には白木でこしらえられた一本の槍の柄が恭しく捧げ持たれている。清らかな木の香りが部屋にふわりと広がった。


「――琴音様。鍛冶師の相馬より例の得物の柄について、ご確認をと」


「まあ、もう、ここまでできたのね」

 私はその白木の柄を小さな両手で受け取った。ひんやりとして、すべすべとした感触が心地よい。これは八百万でも使っていた薙刀の柄。一番使い慣れている武器の一つだ。

 私の背丈に合わせて作られており、軽いが芯には強靭な木材が使われているのが分かる。軽く振ってみると、重心のバランスも完璧で、吸い付くように手の中に収まった。


「……ふむ。太さ、長さ、共に申し分ありませぬ。この軽さならば、今の私でも十分に扱えましょう。相馬に見事な仕事だと、そう伝えください。それと、刃を取り付ける部分ですが、私の加護の力が通りやすいよう、少し工夫が欲しいとも」

 私の言葉に筑馬は安堵したように、そして少し驚いたように目を見開くと深々と頭を下げた。「必ずや、そのお言葉、相馬に伝えまする」と彼の声は興奮に震えていた。


 武具の完成にはまだ二週間ほどかかるという。その間、私は私にしかできない、最も重要な任務に取り掛かることにした。

 すなわち、作戦司令部(ダンジョン内の自室)の完全なる稼働準備である。あそこは単なる休憩場所ではない。作戦を練り、情報を整理し、心身を最高の状態に保つための私たちの聖域なのだ。


「それじゃ、氏兼、たき、行ってくるわ。今日は御使い様たちと天堂の中の〝休憩場所〟を少し整えてくるから。鍛錬に備えて、心を落ち着けられる場所が必要だからね。一刻か二刻ぐらいで戻ってくるから、安心してね」


「琴音様、くれぐれもご無理はなさいませぬよう。我らはここでお待ちしておりますので」

 心配性の氏兼たちに手を振り、私は三体の相棒と共に懐かしのロビーへと足を踏み入れた。荘厳なロビーの空気が私の心を戦闘モードからどこか安らかな気持ちへと切り替えさせてくれる。さあ、始めよう。私たちの城を作るのだ。

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