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【改稿版】戦国幻獣物語 〜目指せ、戦国ひきこもりモフモフ生活! 八百万の幻獣をモフって今日も生き抜くぞ、おぉーーっ!〜   作者: 蒼葵美
14XX年 本作戦をモフシマ作戦と呼称します

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103/112

0103. 閑話・【???】転生者 琴の観察日記 「この知ったかぶり姫御子ムーブ」

 あの熱狂と感動、そして最後の腹を抱えて笑うほどの大団円(?)を迎えた秋祭りから数日。私の心は未だその余韻に浸っておりました。

 当日の観察当番を勝ち取れなかったのは一生の不覚でしたが……。後から担当の神が残した映像記録を見た時のあの感動!

 ああ、我が最愛の推し、琴ちゃん! 民たちの拙い、しかし心のこもった舞(ヲタ芸)を壇上の下から、はらはらしながら見守るそのお顔! 成功を祈る真剣な眼差しと、時折こぼれる「あ、そこ違う!」と言いたげな苦笑い! そして全てが終わった後のあの心の底からの安堵の表情!

 どれもこれもあまりにも『尊み』が深すぎて……。あの映像は永久保存版として、我が神域の宝物庫に厳重に保管させていただきましたわ。


……さて、と。

 祭りが終わり、少し燃え尽きたようになっておいでかしら、琴ちゃん。水鏡に映るあの子は、縁側でぼーっと空を眺めております。ふふん。そんな何もせず物思いに耽るお姿もまた一興。

 ですが琴ちゃん、あなた、何かとてつもなく大事なことをお忘れではありませんこと?


 そう、私たちがあなたの転生の際に特別に用意したあの素敵なプレゼント……。あなたの成長を促すための最高の修行場『ダンジョン』の存在を!

 まあ、あれだけ目まぐるしい日々を送っておいででしたから、失念してしまうのも無理はないかもしれません。どうしましょうか。このままでは物語が停滞してしまいます。花梨ちゃんたちの夢枕にでも立って、そっと教えてあげましょうか。いえいえ。それではあまりにもあからさますぎる。作為の跡が見え隠れする物語など興醒めですわ。プロデューサーとしての腕の見せ所というもの。


 そう思って見守っておりますと……。あらあら、琴ちゃんたら、何やら「うぅ〜ん」とか「ぉぉ〜」とか、可愛らしい唸り声を上げております。

 そこへすかさずやって来るのが、たきさん!


「姫御子様、いかがなさいましたか?」

 その声に、琴ちゃんははっと我に返り、自分が声に出して唸っていたことに気づいたご様子。そのお顔が、ぽっと林檎のように赤く染まって……!

―――っ!!

 ああ、もうっ! なんですのこの不意打ちのプレゼントは! こういう計算のない素の反応こそが、至高の『尊み』! 観察とは本当にやめられませんわね!

 琴ちゃんは照れ隠しに何やらごにょごにょと言い訳をしておいでです。何かやりたいことがある、と。

ふふん。いいのですよ、琴ちゃん。たまには何もせず、ぐうたらだらけているお姿を我らに見せてくださっても。むしろそちらの方が一部の神々の間では大変な需要があるのですから。


……おや?たきさんの口から、思わぬ言葉が。

「……でしたら、姫御子様。社の奥にございます、あの不思議な扉をお調べになってはいかがでしょう」

 来たわね! 最高のアシストパス! そうよ、 いいわ、それでこそ私の見込んだ娘よ!

 その言葉に、琴ちゃんはきょとんとしたお顔。そして数秒後。


『ダンジョン』…『似たものを造っておく』…『手紙』…あああああ!

全ての記憶が繋がったかのようにその大きな瞳がかっと見開かれました。

(―――あ)

 心の声が聞こえてきそうです。

(―――完全に、忘れてた)

 そのやっちまったという絶望と焦りに満ちた顔! ですが、次の瞬間、彼女はすっとその表情を消し、いつもの姫御子様のお顔へと戻りました。見て、この表情筋の完璧な制御!

 完璧なポーカーフェイス。そして、厳かに頷くのです。


『……ええ、そうね。もしかしたら、神々が私の姫御子としての鍛錬の場をご用意くださったのやもしれません』

―――っ!!!

 ああ、もう駄目! 駄目ですわ!

 この子、知っていたのに知らないフリをして、さも今、神託を受けたかのように振る舞う、この高度な情報戦術! この神回をただ日記に記すだけなどあまりにももったいない! これは映像に残し、神域の全ての琴ちゃんファンに共有せねばなりません!


「……ちょっと待っていてね、琴ちゃん! 今、最高の機材(8K対応・サラウンド機能付き)を用意してくるから!」

 私は慌てて観測の間を飛び出し、我が神宝庫に眠る最新鋭の映像記録用の水晶を取りに戻るのでした。


ーーーー

 ふぅ〜……。

 なんとか間に合いましたわ。最初の一番美味しい驚きの表情は撮り逃してしまいましたが、その後の知ったかぶり姫御子ムーブは、完璧な画質と音質で記録することに成功いたしました。

 これを見れば、他の神々もきっと歓喜の涙を流すことでしょう。


(……こうなったら、本格的に??様に掛け合ってみようかしら)

 私は記録水晶を愛おしげに撫でながら、新たな野望を胸に抱くのでした。

 常時複数のアングルからの映像記録を可能とするシステムの構築。そして私が担当外の日の映像も、休暇中にヘビロテで鑑賞できる権利の獲得。


 そうよ。我が推し活はまだ始まったばかり。??様との団体交渉に向けて、今から完璧なプレゼン資料を作成するといたしましょう!

タイトルは『推しの尊みの最大化とそれによる神域全体の活性化に関する提言』。全ては、我が愛しの琴ちゃんの『尊み』を余すことなく、未来永劫、全てのファンと分かち合うために!

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