ディナーでの衝突 後編
……あちゃ、つい本音が!
何を言っているのか正直わからない。わたしはもちろん、ハーリンの記憶にもたぶらかすどころか、媚びる様子もない。
「あぁ、失礼。気にしないでくださいね。それよりリーズン、なぜここにいるのです? 貴方の部屋はこの階ではないでしょう?」
「そんなことお姉様には関係ないわ……あら? お姉様、まだそんな平民を連れているのです? 醜いわ、まだお姉様に固執しているなんて……さっさと辞めさせてくださいませ」
リーズンがわたしの後ろに立つリリアンを見て鼻で笑った。
その姿にわたしはピキッとくる。顔に張り付けていた笑顔がスゥと剥がれ落ちた。
……わたしの大事なリリアンに! いやまあハーリンの大事な? どっちにしろ許せないけど!
「リリアンはわたくしのメイドですよ? わたくしのメイド、つまりは次期公爵のメイド。お父様に言われたことを覚えていないようですね……『自分の罪を自覚しているのですか?』」
「なっ! それはわたくしだって言えることでしょう! わたくしはお父様の寵愛を受ける、トゥローラ家の公爵令嬢でしてよ!?」
「んぶっふ! ……ちょ、ちょちょ待ってタンマ……」
「な、何を笑っているのです!?」
わたしはお腹を抑えながらプルプル震える。
……スウー、ハアー……落ち着くのよ薫!
「オホン……わたくしの目にも寵愛を受けているようには見えませんでしたよ? それと言っておきますが、リリアンを平民だとおっしゃるのでしたら魔力がない貴方も平民でしょう? 髪色も目も黒、不幸を招く……可哀想に生まれましたよね。でも、ピッタリではないです? 傲慢で阿保で馬鹿で……ああ、もしかして気にしてました? ごめんなさいね」
「なんですって!? 誰に向かって言っているのかわかっているのです!?」
わたしはリーズン阿保丸出しの反応が気になって、滅茶苦茶に罵倒する。
なんなら自分も前世は黒髪に黒い目で魔力なんて存在しなかったが、都合よく忘れる。それとこれとは一切関係ない。
……『誰に向かって』って、アンタだよ? 頭大丈夫? 精神科おすすめするよ?
「では、わたくしはセントルーン学園への準備で忙しいので……お父様のご機嫌を損ねないように頑張ってね。リーズン?」
「なっ! なんですって……お姉様、いや……ハーリン•トュローラ! 覚えてなさい!」
……ぷぷう! 『覚えてなさい!』だってさ、ダッサァ! 悪役の捨てゼリフじゃん!
我ながらものすごくウザイ返しをしてあげてしまった。最終的にどちらが悪役かわからなかったが、スッキリしたのでもういい。
……お分かりだろうか? わたしは性格が悪いのです。
プロローグに書いた通りでしょう?
「別にわたしは優しくなんかない」って。事実ではあります。
基本優しいけどムカつく奴には容赦しない。
だからいじめがエスカレートしたのですが……。




