ディナーでの衝突 前編
「お父様、お母様、こんばんは。今日もお元気そうで何よりです」
「あぁ」
「こんばんは、ハーリン。さあ、席につきなさい」
わたしは両親に向かって挨拶し、ドレスの端を掴んで丁寧にお辞儀するする。
リリアンが食堂のアンティークな長机に配置された椅子を引いてくれる。わたしの席はリーズンの目の前の席だ。彼女は今日もわたしのことを鋭い目で睨んでくる。
お父様の食事の挨拶と共に、食べ始める。
今日の夕食はミートパイや、マスカットなどの果物、ローストチキンのようなスライスされた肉が並べられている。
……美味しいんだよ、美味しいんだけど……ほんとにいつも空気悪いよね!
食事中はカチャカチャというカトラリーの音以外に何も聞こえない。
しかしそんな中、お父様が口を開いた。
「ハーリンをセントルーン学園に通わせようと思う」
「お、お父様!? どうしてお姉様を……」
「……わたくし、何の相談も受けていませんよ?」
当然、お母様もリーズンも驚きの声をあげた。というかわたしもビックリだ。こんなところで話すなんて思わなかった。
「当たり前だろう。私の独断なのだから」
「お、お父様! どうして、どうしてお姉様なのです!? どうして、わたくしならお姉様より……」
「黙れ。私は次期公爵にハーリンを推薦する。そのためにはセントルーン学園に入学させる必要があるのだ。それに、当人の了承も得た。其方には関係のないことだ」
金切声をあげるリーズンにお父様は軽蔑した目を向けた。やはりお父様はリーズンのことを良くは思っていないようだ。
「あ、あの、お父様。わたくしは別に爵位など欲しくはありません。それに、お父様には令弟がいらっしゃると存じております。ですから、その方に……」
わたしは別に爵位など必要ない。わたしはただ絵を描ければそれでいい。それに、政治についてなんてわからないし、興味もない。しかし、お父様はその提案を呑まなかった。
「あいつには無理だ。この領国が崩壊するぞ」
……はあ? 崩壊? 一体どんな人なんだよ。
「ソルシオール様、あまりアルトール様を悪く言わないでくださいませ。それにあの方は……」
「口を慎め。私の前であれの話をするな」
ソルシオールはお父様の名前だ。アルトールはきっとお父様の弟の名前だろう。
わたしには怒らなかったのに、お母様には冷たい声で叱った。
……本当に一体何者なんだろう。お父様の弟って。
これがこの世界でのディナーの様子です。
ハーリンとリーズンの中の悪さが、
よく分かったのではないでしょうか。




