夢と礼拝堂と謎の花園 後編
「うぅ……目がチカチカする」
何度か瞬きを繰り返して、状況を確認しようと薄く目を開く。
わたしの視界に広がったのは、蛍のような、星空のような、そんな幻想的なたくさんの光だった。
「何、これ……」
わたしはそっと、礼拝堂に浮かぶ小さな光に触れる。
わたしが触れると、さらに明るく、美しく光りを放つ。
「すごい……」
すると、次第に礼拝堂に満ちていた光が小さくなって、消えていく。
……今のは一体、なんだったんだろう。
しばらくボーっとしていると、我にかえる。早く戻らなければ、大事になりそうだ。
わたしはゆっくりと礼拝堂の扉を開いて、外に出る。
すると、階段の方から、誰かが登ってくる音が聞こえた。会話からして、おそらく見回りの警備兵だろう。
わたしはビクッとして、影に身を隠す。
わたしは警備兵の声が聞こえなくなったのを確認して、パニックになりながら、上に行っては駄目だと判断し、階段を急いで駆け降りる。
一番下の階まで降りてきて、昼間に行った庭園に、体が勝手に向かう。
わたしは昼間と違った表情を見せる植物たちに、うっかり見惚れる。
「……って! どうしよう。と、とりあえず窓から見えない位置に行く?」
小声で一人で話しながら、庭園を囲む蔦で覆われた塀に走っていく。
はあ、はあ、と息を切らしながら塀に手をついた時だった。
わたしが触れた蔦に、金色の光が宿った。そのまま金色の光は、ついてこいと言わんばかりに、すーっと動いていく。
……うぎゃー! 目立たないで! どうしよ、どうしよ!
どうしたら光を消すことができるか考えている間にも、光は突き進んでいく。
「あ〜! もうっ!」
わたしは早々に諦めて、金色の光を追う。
すーっと動いていた光が、ピタッと止まった。すると、光が他の蔦から蔦へ伝わり、退くようにカサカサと音を立てて、動いていく。
蔦がなくなった場所に現れたのは、なんの変哲もないただの壁ーーそれはただの願望で、現れたのは装飾が施されたアンティークなアイアンゲートだった。
わたしは獅子のようなヘッドプルノブを手に取り、扉を開いた。
「なんなの……一体……」
アイアンゲートの奥にあるのは、華麗に咲き誇るシェルティスに、鉄でできた古びた机と椅子ーー美しい花園だった。
……絵に、残したい……。
心の底からそう思った。
この美しい情景をそのまま、絵画として……。
でも、今は無理だ。なぜなら、絵筆もパレットも絵の具も何も持っていないのだから。
……明日、もう一度ここに来て、絵を描きたい……。
わたしはもう水城薫じゃない。もう、縛られるものなんてないのだ。それに気がついて、涙が出そうになった。
……大好きな絵を、描いていいんだ。
ファンタジーですね、ほんとにやっと。
転生•絵筆•ファンタジー! 全部出揃いました。
始まったって感じです。




