表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
違う世界で、ただ野球がしたい  作者: 月照建速
小学生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/11

第5話

「は? 初戦岡山なんすか?」

「てへっ♪」


 鞍本さん、俺、リカの三枚看板、尚且つ打撃力もそこそこあり、地区予選で県大会の切符を手にした。県大会出場自体このクラブは初らしい。県大会ではベスト四以上で地方予選に出場できる。そしてその予選で準優勝以上になると全国に行けるらしい。俺たちはこのまま全国大会に出るぞ!と意気込んでいたが……


「岡山って......去年出てましたよね?」

「うん。私たちが生まれてから岡山は地方予選に出れなかったことはないね」

「マジっすか......」


 その後全体ミーティングが開かれまずは初戦突破を最優先事項とし、文字通りの総力戦を実行することになった

 まずは先発に鞍本さん、中継ぎ俺又はリカ、抑えは中継ぎをやらなかったどちらかと言った形だ。少なくともそれ以外の投手だとコールドになる可能性が高い。俺たち以外で百㎞/hを越えている選手はいないから仕方ない。ここで最小限の投球数にしないとなんて考えれない。三日というごく短期間に行うがゆえに連投は避けられない。本当は三人のうち誰かを休めたいという思いもあっただろう。けれどこうなってしまったのは仕方ない。やるしかない


 試合日当日。俺は驚いていた


「鞍本さん......元気っすね......」

「前日入りしてたからね。学校終わってすぐ近くのホテルにゴー」

「すごいっすねえ......」

「......まあね。ていうか......」


 そう言いスタンドの方を見る。人が多い。地区予選でも思ったがいつもこのくらいなのだろうか。いや、俺と言う客寄せパンダを見に来たんだろう。あー、嫌になる


「まあー、今日はお目当ての星野君は見られないから残念だねー。この人たち」

「そうしてくれると助かります」

「じゃあ、皆。行こうか」


 試合が始まると鞍本さんは圧倒的な、支配的な投球を見せる。球数を節約するために打たせて取るピッチングで三回が終わっても球数は三十球を割っていた。小学生の場合一日に七十球までの六回制なのでこのままいけば完投ペースだ。一方こちらも塁に出て、三塁まで行くものの本塁までが遠い。さらに言えば回を追うごとに打てなくなっている。投手戦の様相を呈しているこの初戦はどちらが先に崩れるかがカギを握っている。相手の先発は球数制限に近づいており、その点ではこちらが有利であると思う。しかし、相手は一番(エース)を出してきていない。つまり二番手に無失点だ。もし、一番(エース)が出てきたら難しいかもしれない。だから今のうちに援護する必要がある。が……


「フーっ!」


 相手は尻上がりタイプだったようでこの回もう一個ギアを上げていた。ていうか抑えるたびにこっちを見るのをやめてほしい。集中しろ、集中。そしてその投手戦は五回に一気に変化した。こちらが無死満塁のチャンスを一点で終えてしまった裏、相手にホームランが飛び出し、連打を浴び、間を取ったものの送りバントを決められ、一死二、三塁。次の打者はここまでノーヒット。バッテリーは勝負を選択し、無事ツーアウト。次の好打者を敬遠して満塁策を取る


 カーン


 無常だった。代打が勝ち越しの二塁打を放ち、鞍本さんは項垂れ、投手交代。リカが投手、控えの梨田さんが捕手。その後後続をきっちり仕留め最後の回が始まった


「......ごめん」

「あれはしゃーないっすよ。打った相手が悪かったっす。しかもまだ二点差っすよ! まだ取り返せる範囲じゃないっすか!」

「......そうだね」


 そうだ、まだまだだ。たかが二点差。しかも野球は終わるまで何が起こるかわからない。さらに、一番(エース)の、四年生からずっと投げてきた鞍本さんが項垂れたあの姿を見て、やり返してやろうと思わない選手なんてこの場にはいない。鞍本さんが本格的に試合に出始めてチームは変わったと前監督は言っていた。それまでは勝てないチームだった。点を取られても仕方がないで投手野手双方終わらせていた。けれど鞍本さんのピッチングを見て、今の五年生から徐々に勝ちたいという感情が湧き出て戦うチームになっていった。俺もチームを背負う鞍本さんの姿を見て、より一層練習に励むようになった。鞍本さんはそういう選手だ。そして、その姿が一番(エース)足る所以だ

 六回が始まり連打でもう一度無死満塁のチャンスが来た。そしてここで相手も選手交代。岡山マスカットカールズの背番号一番(エース)にして、U十二にも召集された天才山本夢。身長百七十㎝。最速百二十八㎞/hの豪腕。彼女は簡単に三振でツーアウトにした。試合を支配する。正直言ってこの時の彼女は試合序盤の鞍本さん以上に試合を支配していた


「星野」

「は、はい!」

「代打の準備を」

「わかりました!」


 俺がネクストバッターズサークルへ向かうと歓声が上がる。多分、こんな状況じゃなかったら舌打ちをしていただろう。けど、今はそんな暇はない。頼むぞ……リカ



 リカSide


 次のバッターはトモか……。うーん、中々に難しいね。仮にシングルなら満塁継続で、同点申告敬遠の可能性もある。ツーベースなら同点で申告敬遠からの満塁継続。少なくとも男子であるトモを出すのは並みの投手なら崩れる可能性が高い。けど……チッ、まったく動揺してない。なんだ? どうせ私で終わりって思ってる? なら……その鼻っ面圧し折ってやる……!


 カーン


 ッチ、重い……! 普通なら持って行ってる。やっぱすごいわ。けどさ……この重さはもうすでに知ってる……!


 カーン!


「!?」

「しゃあ!」



 智Side


「しゃあ!」


 リカ吠える! 後一点だ。さあ、どうする。勝負するか……それとも申告敬遠か……。同点策ならタイブレークまで持ち込む。相手の選手がマウンドに集まる。選択は……勝負......!

 いいね……これこそ野球だ……正直バッティングは苦手だ。けど、今なら打てる気がする


 パーン


 速いし……


 カーン


 重い! あっという間に追い込まれた。相手は遊び球を使わないタイプ。一気に仕掛けてくる。……よし、外と下は捨てる。インコース高めに山を張る。さあ……こい!


こんにちは、月照です。野球漫画ではドラフトキングとダイヤモンドの功罪が好きです

誤字脱字、誤記等ある場合は報告してくださると幸いです

そしてこの作品のコメント・評価・ブックマークも是非ともお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ