反逆されてみた4
俺は路地裏を走り続ける。
スターロッドがある場所を考えよう。
メタルクさんが吹き飛んだ方向とは別の方に飛んで行った。
だが、大体の方向はメタルクさんと同じだった。
それならメタルクさんを探してその付近を徹底捜索するのがいいな。
もちろん、リルナが見つけてくれるのが1番なんだけどな。
俺がそう考えていると後ろに火をまとった大きな岩の塊が飛んでくる。
げ、あんなのもできんのかよ、あいつ。
騎士達大丈夫か?
俺は心配ながらも走り続ける。
まずは誰か、一緒に戦ってくれる人と出会うのが先決だな。
アステル、ミュール、イスタ、この3人は城のところにいるからここまで来るのに時間かかる。
俺はとある通りに出る。
通りには人の気配がない。
もう皆町の外へ逃げ始めているのだろう。
ここは……スォラの工房近くか。
スォラならある程度戦いの心得もあるだろ。
知らないけど。
よし、行こう。
俺はすぐにスォラの工房に着く。
「スォラ、まずい。宰相が暴れて――」
スォラは俺がドアを開ける前に開けて口を塞ぐ。
「今は静かにしろアル。事情は概ね分かったアルから急いでもらってるアル」
スォラはそう言って俺を中へと入れる。
俺は深呼吸をしてスォラの顔を見る。
「我は戦えないアルよ」
「なんで分かってんだよ」
「町の事情は音聞いてれば分かるアルからな」
ドッカンドッカンしてんもんな。
「今、エルフ達に急ピッチでプリマステラ制作をしてもらってるアル」
俺が作業場を見ると耳が長い人達が俺の専用武器である杖に手をかざしていた。
「あと完成まで12分ってところアル」
「12分もかかるのかよ」
「これでも早くしてもらってる方アルよ。感謝するアル」
それもそうか。
「それまでの間、我の武器使うといいアル。全部無料にしとくアル」
「まじか、助かるぅ」
俺はスォラの作った杖を持つ。
持つだけでわかる、スォラはこの武器に沢山時間をかけたことを。
「プリマステラにすら届かないレベルアルけどないよりましアル」
スォラがそう言うと工房の屋根がビームで溶ける。
俺はスォラの工房にある武器をありったけ魔法袋に詰める。
「12分耐えてくれアル」
「無理な気がするけどな」
プリマステラより、スターロッドが先決だ。
宰相は溶けた所から顔を出す。
俺は急いで工房から出る。
「頑張れアル!」
スォラの魔力が俺にまとわりつく。
頑張らねぇとな。
俺が道に出ると宰相が地面に降りる。
「屋根から見下ろすのはやめたのか?」
「お前、近距離、弱い」
実践経験乏しすぎんだよ、俺は。
俺は杖を宰相に向ける。
素早く詠唱を済ませる。
「ファイアボール」
俺は杖先から顔の大きさぐらいの火の玉を出す。
やっぱりスターロッドほどの力にはならないか。
俺は宰相に向かって火の玉を飛ばす。
宰相は背中に魔法陣を出し、体を吹き飛ばす程度の風を吹かせる。
火の玉は宰相の眼前で消える。
俺は腕で顔を覆って耐える。
宰相は何事もないようにこちらに近づく。
どうやって距離をとる?
俺はしばらく考える。
これ、踏ん張らなかったら飛べるぐらい強い風だよな?
俺はあえて手を広げて地面を蹴る。
すると、風の力で後ろに吹き飛ぶ。
「まんまと利用されてやんの、バーカ」
俺がアハハと高笑していると宰相も風に乗って飛んでくる。
あ、俺ができるならあなたも出来ますよね、ソウデスヨネ。
でも、この方角なら城に近づける。
アステルの力を借りれる。
俺が一筋の勝ち筋を見ていると背中から風が吹く。
宰相は俺に杖先を向けていた。
俺、今、空中……踏ん張れない。
「ちょちょちょちょい待てー!」
風邪が止み終わり、俺は地面に降りる。
降りた衝撃で足がもつれる。
宰相は目の前にたっていた。
宰相は俺に向かってスターロッドを振り下ろす。
俺は慌てて杖で防ぐ。
あ、十分な魔力流せてない。
宰相の一撃は杖を破壊し俺の脳天を叩く。
杖の破壊で衝撃は和らげれたか。
たんこぶ1個で済んだ。
めちゃくちゃいてぇ。
俺が歩こうとすると体が倒れる。
なんだ? まっすぐ立てない。
「脳を、揺らした」
宰相はそう言って俺に近づく。
そして、スターロッドを振り上げる。
ゆるれる脳みその中、ある思いつきが頭を走る。
……いいこと思いついた。
宰相は俺を生気のない目で見つめ、俺に杖を振り下ろす。
俺は腕でスターロッドをガキンと受け止める。
いってぇけど腕折れただけで済んだか?
そのままスターロッドを掴む。
「この一瞬じゃそんな大層な魔力圧縮できないからな。流す場所を小さい点に絞って賭けた」
俺はスターロッドに魔力を流す。
「大当たりだぜ」
宰相は慌てて俺の腕を杖から離そうする。
もう遅い。
「神よ、目の前のものを焼く力を。ファイアボール!」
杖から俺と宰相の間に俺達を焼き付くさんとする大きな火の玉が現れる。
「スターロッド離さないと焼きしぬぜ、宰相さんよ」
俺がアハハと笑っていると、火の玉の中から足が出てきて俺の腹を蹴り飛ばす。
「熱くねぇのかよ」
俺は青く腫れた腕を見る。
完全に折れたわ。
いったいなぁ、ほんと。
俺は魔法袋から両手斧を取り出す。
「両手用なのに片手で使うって頭おかしいやつに見えるじゃんか」
俺は斧を地面に引きづりながら持つ。
俺の出した火の玉がうずを巻いて消える。
宰相は体のあちこちに火傷を負っている。
「初めてのダメージじゃないですか、大丈夫ですかぁ? 宰相さぁん」
宰相は杖を俺に向ける。
近距離ちょっと警戒しちゃった?
なら、お望み通り、お互い距離取りながら戦いますか。
「斧投げ攻撃だよぉ!」
俺は斧を体を回して片手でぶん投げる。
宰相は岩の柱を生やす。
斧はその柱に突き刺さる。
宰相は岩の柱から顔を出して俺を見ようとするが俺はすでに路地裏に入っていた。
俺は魔法袋から剣を取り出す。
人魂が撮ってる情報的にはまだ城にアステル、イスタ、ミュールがいる。
洗脳騎士の無力化も結構終わりかけているな。
俺が着く頃にはもう終わってるだろ。
俺はとある人魂の映像を見る。
そこにはスターロッドを持っていってるリルナの姿があった。
【人魂があるってことはユウヤさん見てるんすよね? ユウヤさん、見つけたっす。メタルク様と王様は騎士の人達に守ってもらいながら避難誘導中っす。今から城に向かうっす】
リルナはそう言って羽ばたく。
よし、城へ向かおう。
これなら勝てるぞ。




