反逆されてみた3
俺はアステルの方を見る。
「アステル、魔法打ちまくってくれ。俺はその隙をつく」
「分かった」
相手に丸聞こえだけど、今こいつ「アステル、アステル」としか言えねぇしな。
「シューティングスター」
アステルは手をかざし、魔法陣を展開すると火をまとった岩が飛び出てくる。
「アステル様……」
宰相さんは杖先から魔法陣を展開すると床から岩を生やしてアステルの魔法を全て防ぐ。
「そんな盾の後ろに隠れたら逃げれなくなるぜ。オルビス・ウィンクラ」
俺が魔法を放つと宰相は床を壊し、1階に落ちようとする。
その行動も読んでいた。
俺は詠唱を素早く済ませる。
「クリスタルレイン」
俺は宰相の頭上にツララを作り、落とす。
宰相は今空中で身動きができない。
ツララに対して魔法で対抗してもいいけどアステルがもう宰相を狙える位置を取っている。
「勝利の舞なのだー」
俺はワハハと笑――
「ビックバン」
宰相の杖先から大きな魔法陣が現れる。
「え?」
凄まじい爆発が起きる。
俺達はその爆風に巻き込まれ、天高く吹き飛ばされる。
「ユウヤ、一体なにやったの!?」
「俺じゃねぇ」
イスタは目を見開きながら言う。
「騎士の人を気絶させるの大変……」
ミュールはしっぽをだらんと垂らしながら言う。
そこまぁ、お疲れ様です。
「そんなことより、アステルだ。アステルは?」
「アステル様は私達みたいに飛んでる様子ないけど……」
宰相はアステルを王に従っているから殺すことはない。
てことは、アステルがいる方向への爆発の威力は弱めたってことか。
すんごいことしてんな、あいつ。
「体鍛えてなかったら死んでたぜ、今の」
「魔力で体守ってるからでしょ、生きてるの」
まぁな。
とにかく、早く落ちよう。
風魔法で上昇気流を発生させて、この高さなら落下の衝撃を防げるだろ。
俺が姿勢を変えて早く落ちようとすると目の前前から火をまとった岩が沢山飛んでくる。
「嘘だろ?」
宰相は上空まで魔法をつたって登ってきていた。
「流石にそれはズルだろうが」
俺は魔法で風を起こし、宰相を吹き飛ばそうとするも、不安定な岩の足場で耐えられる。
「どんな、足腰してんだよ、お前」
俺はちょっと歯を食いしばりながら言う。
「ユウヤ、私達は助けようにも空中じゃ身動きができない。だから、一人で頑張って」
「ファイト」
2人が俺を応援すると俺に魔力の塊がまとわりつく。
そういや、応援されたら魔力渡せるんだったな。
「スタースパーク」
「ちょ、身動きできない状況で使うのは反則だろうが!」
宰相は俺に杖を向ける。
俺は風魔法で空中を動いて、ビームを避ける。
よし、もう地面に落ちる。
2人を上昇気流にさえ乗せれば……
俺は地面を見る地面にはアステルに襲いかかる沢山の洗脳された騎士がいた。
アステルは流石に悪くない騎士には攻撃しかねていた。
アステルを早く助けないと……
俺は風魔法で空中を動きながら魔力を圧縮する。
そして、詠唱する。
「神よ、大気の力を我に宿し、目の前のものらを蹴散らせたまえ」
俺はそう行って手をかざす。
しかし、宰相が俺のそばに向かって岩から飛び降りていたことに気づかなかった。
宰相は俺を遠くへ蹴り飛ばす。
俺は遠くに行く前に魔法を放ち騎士を吹き飛ばして、イスタとミュールが安全に着地できるようにする。
宰相は火をまとった岩に乗って飛んでくる。
俺は町中に落とされる。
町中はあちこちに城の破片が飛んできていて崩壊している家もあった。
「なんなんだよ、これは!?」
「民衆が城から飛んできた俺に問いかける」
「説明はあと! 早く逃げろ!」
俺の言葉を聞いて民衆は後ずさる。
「今日はいい日になるってアステル様は言ってたんだぞ」
アステルの予知が外れてる?
いや、そもそもなんで宰相の反逆に王様は驚いてたんだ?
流石にこんな大きな出来事、予知できないわけがない。
俺はダンジョンに出る前のアステルの言葉を思い出す。
――――――
「あ、でも魔族が絡むとなぜか予知が狂うらしいから気をつけてね」
――――――
あいつ、魔族関連の人間か。
なんで、魔族が絡んでるのか、何を企んでるのか。
イスタの魔王が人類の敵説がここで立証できるかもしれない。
「まぁ、そんな理由なくても勝たないといけないんだけどな」
俺は人魂を町中に出しまくる。
ちょうどその時に宰相が岩から降りてくる。
「宰相様?」
民衆は宰相を見て安心する。
「てか、この男、よく見たらこの前の裁判野郎じゃねぇか」
「何が逃げろだ。お前が逃げてんじゃねぇか。200兆払ってねぇのかよ」
こいつら、びーちくびーちく言いやがって。
宰相は俺に杖を向ける。
「スタースパーク」
俺は横にかわして避ける。
宰相は避けた俺に照準を合わせようと杖を動かす。
「あ、俺の家が!」
「おい、裁判野郎逃げんな」
「逃げさせろや!」
当たったら死ぬぞ、これ。
「最後に言うぞ。お前ら逃げろ。宰相はもう宰相じゃない」
「はぁ? 何言って――」
俺は民衆の声を無視し路地裏に逃げ込む。
「おい、どこに逃げて――」
「シューティングスター」
宰相の出した魔法はあちこちの家を破壊する。
「え?」
民衆の驚きを背に俺は路地裏を走り続ける。
宰相は家の屋根の上を走って俺を追いかける。
「なんで俺追いかけんだよ。王族殺すんじゃねぇのか?」
「お前、アステル様、たぶらかす。王族、かばう。倒しておく」
宰相はそう言って俺に向かって杖先を向ける。
「スターフレイム」
火の雨が俺の頭上に降る。
大火事になんぞ。
「オルビス・ウィンクラ」
俺は宰相の移動先に神代魔法を放つも、宰相は家から家を飛び回り罠を避ける。
トラップ式使いにくいな。
でも、発動遅いし、仕方ないんだけどさ。
俺はスクリーンを出して、人魂が撮った情報を確認する。
「俺もスターロッドを探さないと」
宰相の魔法かわしながらスクリーン見るの辛すぎ。
「うんこ野郎」
何人かの騎士が俺の傍にやってくる。
こいつら、トレーニング場で俺を何回も何回も追い込んだヤツらだ。
「今回俺は何もしてねぇぞ」
「知ってる。宰相どのがおかしいんだろ。助太刀する」
「お前ら……」
やっぱ、持つべきものは友だな。
「シューティングスター」
騎士の一人がフンッとその場に止まって仁王立ちする。
「フジルド随一の防御力見せてやる」
騎士の鎧が変形していく。
「魔剣化、魔鎧サーバント」
鎧も魔剣化すんのかよ。
「気合!」
騎士が腕を顔の前に覆うとうっすらとバリアのようなものが見え、火をまとった岩が当たって砕ける。
「さすが、硬いだけはあるな」
「よし、俺らも行くぞ」
騎士達は屋根の上に飛び乗り、宰相に向かって剣を抜く。
「早く、行け。ここは食い止める」
「食い止めるだけじゃなくなっちまうかもな」
「ちげぇねぇや」
騎士達は宰相に向かって切りかかる。
流石だぜ、お前ら。
――――――
宰相は騎士の剣をスターロッドで受け止める。
「スタースパーク」
宰相は腹から魔法陣を展開する。
「杖通さなかったら威力そんな出ねぇだろうが」
魔鎧をまとった騎士が切りかかった騎士を押しのけ宰相の前に立つ。
魔鎧騎士は宰相から出たビームを受け止める。
鎧は一瞬赤く光る。
「さっすがだぜ」
数人の騎士が一斉に宰相に切りかかる。
「終わりだ、反逆者」
宰相は杖でそれを防ぐも、後ろから騎士が剣を持って突進してくる。
あと、少しで突き刺さ――
「ビックバン」
騎士達を吹き飛ばす超爆発が宰相を中心に起こる。
騎士達は足で踏ん張ろうとするも、足下の家は崩壊する。
騎士達はバキボキと骨を鳴らしながら吹き飛ぶ。
魔鎧騎士は崩壊した家の瓦礫を踏んで立ち上がる。
頭からは血が出ても宰相を見る。
「へっちゃら」
宰相はその騎士を見て杖先を騎士に向ける。
魔鎧騎士は腕で顔を覆いうっすらとバリアのようなものを出す。
「シューティングスター」
魔鎧騎士はフッと笑いながら身構えていると先程とは違う小屋程の大きさの岩が火をまとう。
「マジかよ」
岩が魔鎧騎士に向かって飛ぶ。
岩は魔鎧騎士にどんな金属すらも砕くような力をぶつける。
岩にまとっていた火が騎士を焼く。
魔鎧騎士は歯を食いしばりながら耐える。
「んぐぐぐぐぐぐ」
一瞬、止めれたが勢いを殺しきれず魔鎧騎士は岩に押される続け、ついに足を地面から離してしまった。
岩は直進し続け、何軒もの家を潰す。
魔鎧騎士は岩の下敷きになる。
家にぶつかる衝撃を受け続け、魔鎧騎士は力がなくなり、下敷きになったまま出てこない。
岩が壊した道の先にユウヤの影がある。
宰相はそれを見てすぐに走って向かった。




