特訓してみた2
――2日目――
俺はトレーニング場へと向かった。
今日も今日とて筋トレした。
「おい、どうした。50kgも持ち上げれねぇのかヘタレクソナス。お前なんてスライムの糞以下だ」
「うっせぇ、ダルマ共。算数勝負で戦ってやるよ」
「口動く前に手を動かせやぁぁぁ!」
俺は鼻からフンと息を出す。
100%殺す。
俺にこんなことさせやがって。
俺は歯を食いしばりながらダンベルを上げた。
こうしてまた一日が過ぎた。
若干体が仕上がってきた喜びも束の間。
晩御飯を食べた後に寝てしまった。
アステル、本当にごめん。
――3日目――
「100kgがなんぼのもんじゃい!」
俺は100kgダンベルを持ってスクワットする。
「やっと、人間になりやがったか、うんこ野郎」
騎士の人達はうぅぅと涙を流す。
「はっ、てめぇらごときの涙なんか見たら目が腐っちまうだろ」
「喋る余裕あり、もう50kg追加」
「うぇ!?」
あ、死ん……
「……でない! 50kg追加程度で俺が死ぬわけねぇだろ」
俺はフンッと足を上げきった。
「これだけじゃねぇぞ」
俺はさらにそこから何回もスクワットしてみせた。
今日は晩御飯食べる前にトレーニング場で寝てしまった。
これ、朝起きたらすぐトレーニングだな。
――4日目――
俺は200kgのダンベルを軽々と上げる。
はい、5セット完了っと。
俺はダンベルを元の場所に戻す。
「ふ、やっと完成したな」
「ユウヤ殿覚醒ッ、ユウヤ殿覚醒ッ」
騎士達が俺の名前を連呼する。
俺は騎士達をギロリと見て筋肉に力を入れる。
すると、服がビリビリと破れる。
騎士の人達が俺に向かってパチパチと拍手し、歓声をあげる。
「肩にちっちゃいドラゴン飼ってんのかい!」
「腹筋レンガ造りぃ!」
俺はそこら辺のボディービルダーぐらいムキムキになっていた。
ふ、こうなるまで大変だったぜ。
今ならなんでもできる気がする。
俺がムキムキさを見せつけていると騎士の人が歩み寄ってくる。
「ちゃんとこれからも筋トレしろよ」
「お前らの筋肉下に見るまではやってやるさ」
互いに見つめあ合ってフッと笑い合うと手をがっしり握る。
「じゃあな」
俺は手を振ってトレーニング場を去っていった。
てか、なんで俺筋トレさせられてんだろ。
俺は城内を歩いて部屋に向かう。
「……ん? 何か大事なこと忘れてないか?」
俺はあごに手を当て考える。
「あ! 神代魔法の練習忘れてた!」
俺はトレーニング場に向かって走る。
向こうにメイド人がいた。
メイドさんは俺に気づく。
「あ、ユウヤ様。先日の夕食の際はいかがなさい――」
俺は力に任せて床を蹴って走る。
あれ、俺に話しかけてた?
うーん、まぁいっか。
俺はトレーニング場についてすぐに魔法練習場に着く。
そこにはリルナもいた。
「お、リルナ。なんか久しぶりだな」
「あ、ユウヤさん久しぶ、ってえぇぇぇ!?」
リルナは俺のムキムキな体を見て驚く。
「どうしたリルナ。そんなに驚いて」
「いや、これは驚きっすよ。どんな体になってんすか」
まぁ色々あったんだ。
「今はそんなことより――」
「そんなことで済ましていいんすか? それ」
リルナの呆れ顔を横目に手を前にかざす。
なんだろう、不思議とできないって感じがしない。
筋トレの方が辛かったし、できないとも思ったからか?
まぁいい。
魔力は空中で絵を描くように動かして魔法陣を書いてっと。
魔法陣を書いた瞬間、辺りの空気が変わる。
とんでもない力が湧き上がってくるかのような雰囲気だ。
リルナがゴクッと固唾を飲む。
「オルビス・ウィンクラ」
俺がそう唱えると白い光が部屋の中を埋め尽くす。
若干、力が持っていかれた感覚が手に残る。
「できたのか?」
「前見た時もこんな感じだったっす」
でも、何も起きてないような……
俺はあのダンジョンのエルフの記憶を思い出す。
そうか、これはトラップ式。
踏まないと発動しない。
俺は恐る恐る魔法を発動した場所に近づく。
そして、1歩足を踏み入れると複雑な線が絡み合った美しい1つの絵になっている魔法陣が現れる。
すると、体の中で何かが重たい鉛のようなものがある感覚におちいる。
でも、その鉛に重さはない。
「どうしたんだろうか?」
俺は自分の手を握る。
「たしか、ゴーレムは動きが止まってたっす。多分、魔力の動きを止める魔法だと思うんすけど」
俺はリルナが言っていたことを聞き、早速魔法を打とうとする。
しかし、体の中の魔力が一切動かないことに気づく。
俺は何回も試すも魔法が打てない。
「これが、神代魔法か。やっと、やっと使えた」
「良かったっすね」
リルナはそっと微笑む。
俺は嬉しさのあまり大きく息を吸い込んで大きく口を開ける。
開けた口から一気に空気が出ていき――
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
町中に響き渡るような大声となる。
リルナは俺の声を聞いて羽耳からぴゅるーっと血が吹き出る。
俺は息を出し切り、ぱあっと笑顔になる。
「やっと、俺にも使えるようになったんだ」
何がトリガーになったのかさっぱり分からないけど。
やった!
リルナは耳を神聖魔法で治しながら俺に近づいてくる。
「ん、どうした? リルナ」
「ユウヤさん」
リルナは俺の体を触る。
そして、俺の顔を見て一言……
「筋肉落とすっす」
リルナは冷たく言い放つ。
「え、なんで」
「ユウヤさんの大声で鼓膜破れたっす。普通にやばかったっす」
リルナはまじまじと俺を見つめてくる。
俺は根負けし「はい」とだけ呟いた。
「てか、なんでリルナがここに?」
「ダンジョンの時、やっぱり火力不足だなと思ったんす。だから、魔力圧縮をもっと早く出来るようにならないかなと」
「なるへそ。じゃあ俺ももうちょっと――」
リルナはマジマジと俺を見つめる。
……はい、先に筋肉落としてきます。




