武器作り見学してみた2
俺はスォラの試験内容を聞いて体が固まる。
ミュールとリルナをパーティから出せってことか?
いや、普通に考えて無理だろ。
でも、口だけ追い出すって言って気に入られれば済む話だしな。
ここであえての絆主張が正解ってパターンもあるか……
なんて言うのが正解だ?
俺は口を開きかけては閉じる。
うん、普通に考えて口先だけでも追い出すって言えばいいだろ。
相手勇者教なんだし。
獣人嫌いって自分でも言ってたし。
でも、なんだろう。
釈然としない。
口先だけでも言いたくない。
俺はスォラに近づく。
スォラの威圧はやっぱり怖い。
鳥肌がたつ。
でも、近づく。
差別対象だからなんなんだよ。
ミュールはやばいほどバカだけどいいやつだし、何も考えてない訳じゃない。
リルナは自己肯定感低くて若干めんどくさいけど、頑張ろうと努力してる。
2人ともお前らが差別していい存在じゃないんだ。
歴史がどうであれな。
俺はスォラが手に持ってる手紙を奪い取る。
そして、イスタの方を見る。
「メタルク様の所に行こう。ここ以外のオススメの工房でも教えてもらおうぜ」
「う、うん」
イスタは若干嬉しそうに口角を上げる。
「待つアル」
スォラが背後から話しかけてくる。
「なんだよ、おっさん」
俺は悪態をつきながら振り返る。
「合格アル」
スォラはそう言って俺から手紙を奪い取る。
「は?」
「だから合格アル」
てことは、こいつは俺が仲間を見捨てるようなやつかどうかだけを見たかったのか。
スォラは手袋などをつけて作業の準備をする。
「芝居上手だな。てことは、勇者教や獣人差別は嘘なのか?」
「いや、それは本当アル」
へ?
俺が驚いているとスォラはフッと鼻で笑う。
「勇者教で獣人差別してんのになんで合格なんだ?」
「適当に考えとけアル」
何言ってんだ、こいつ。
「ユウヤ、多分だけど獣人は嫌いだけど仲間を見捨てるやつはもっと嫌いってことなんじゃない?」
イスタは分かりやすく解説する。
たしかに、それなら筋が通る。
「そこの嬢ちゃんの方が余程頭がいいみたいアルな」
「うっせー」
バカにしやがって。
「メタルク様からの手紙でお前が闇の人間じゃないことは分かるアル」
「じゃあなんで試験なんかしたんだ」
「認めたヤツにしか専用武器は作りたくないアル」
なるほどな。
俺は近くにあった椅子に崩れるように座る。
「変に考える必要はなかったってことかよ」
俺はハァと大きくため息をつく。
変な緊張しちったや。
「まぁまぁ。合格できてとりあえずよかったじゃん」
「まぁな」
何はともあれ、あとは専用武器を作るだけだ。
「こっちに来るアル」
スォラはそう言って作業場へと案内する。
「あ、足下のやつ壊したら罰金アル」
「じゃあ、片付けろ」
俺は作業場に入る。
「じゃあ始めるアル」
スォラは俺の体をベタベタと触る。
「え、急にどした?」
「いや、体の構造、筋肉量、柔軟性を調べてるアル。そうしないと最適な武器は作れないアル」
そんな触っただけで何が分かんだよ。
「筋肉量はちょっとだけアル。体の柔軟性はそこまでないアル。体の構造は普通アルな。そして、頭は……」
スォラは俺の頭を力強く掴む。
「こんなに頭攻撃されたらバカになっちまうよ」
「元からアル」
「武器作ったあとこの工房はないと思え」
「また裁判アルな」
スォラは指をゴリゴリと動かす。
いてぇぇ。
「意外と普段から頭を使ってるアル。魔法使いの頭とはまた違う……司令塔の頭の使い方アル」
頭触るだけでそんなん分か――
ゴリゴリゴリゴリ。
痛い痛い痛い。
「まぁ大体分かったアル。お前は杖が合うアルな」
スォラは紙に色々とメモし始める。
「魔法使いって杖か素手以外に武器あんの?」
「素手は武器じゃないと思うんだけどね」
イスタはハハと乾いた笑いをする。
「杖かタクトって武器があるよ。自衛能力は杖で、取り回しのよさがタクトって感じかな」
タクトって指揮棒のことか。
「賢いモンスターは司令塔を集中的に狙うこともある。それなら自衛能力の高い杖を持つのがいいって感じかな」
杖使った護身術とか元の世界にもあるしな。
「タクト使いながら短剣を使うって手段もあるから絶対に杖の方がいいとは言えないけどね」
短剣の扱い下手くそだから杖でいいや。
これから腰の短剣はこれからサバイバルナイフみたいな感じで使うか。
「あ、もう帰っていいアルよ。全部分かったアルから」
スォラは紙に何か書きながら言う。
「せっかくだし、武器作り見学させてくれよ」
「別にいいあるけどうるさくしたら……」
どうせ殺すとかだろ。
そんなうるさくしねぇから安心しろよ。
「生きたまま武器立てにするアル」
俺は一瞬頭が宇宙に行く。
「口が剣を入れるとこアル」
「んな具体例いらないわ!」
グロすぎ、モザイクもんだろ。
「じゃ、私はここで。昨日の続き見よーっと」
イスタはそう言って工房から出ていく。
スォラはまだ紙に何か書いていた。
設計図的なの書いてんのか。
やっぱそういうの大事だもんなー。
――5分経過――
まだ書いてんのか。
まぁ、そんなすぐ書けないか。
――1時間経過――
あ、紙くしゃくしゃしてそこら辺に捨てた。
やり直しか……ま、納得いくまでやるのが職人だもんな。
――3時間経過――
……
――24時間経過――
スォラはペンを机に置いて紙を見上げる。
「やっと、完成したアル」
「遅すぎんだろ!」
遅すぎて途中寝たわ。
起きたあとも書き書きしてるからびっくりして声でかけたわ。
「そりゃ、かっこいいデザインをぽんと思いつく訳ないアルからな」
「それは……そうだけどさ」
作る時は下書きとか構成考えてる時が1番長いのは知ってるけどさ……カナヅチをカキンカキンしてるとこ見たかったァ。
「ちなみに、こっからあと4日ぐらいかかるアル」
「流石に一旦帰る」




