武器作り見学してみた1
俺は今、イスタと城からほど近い工房に向かっている。
「いやぁ、よかったね。専用武器作ってもらえるなんて」
イスタはニコッと笑う。
俺はイスタのほっぺを掴む。
「生きてることを褒めてくれよ」
「ごめんごめん」
俺はイスタから手を離し大きくため息をつきながら歩く。
「いやでも、専用武器作ってもらうのは本当にすごいよ。専用武器なら魔剣化だってしやすくなるし」
「魔剣化、ねぇ」
ドワーフの記憶頼りに試したけど無理だったんだよなぁ。
本当に条件さえ揃えば誰でもできるもんなのか?
「ま、いっか」
俺達は工房前に着く。
あれ? 地図ではこの建物になってるけど明らか料理屋だ。
隣の方が工房っぽい。
「ちなみに専用武器作るお値段はなんとびっくり3980万ビット。サンキュッパで買えるんだよ」
「イスタ、そのサンキュッパは全然お得に見えない」
いや、待てよ?
専用武器は魔剣化しやすくなるから悪いやつが金にもの言わせて作らせるかもしれない。
それ対策としてあえて、ご飯屋を裏の入口として使ってるのかもしれない。
HUNTER○HUNTERの試験だってそんな感じだったし。
「イスタ、こいつらは頭いいぜ」
「ん? どったの? 工房そこにあるし、早く――」
俺はイスタの唇を人差し指で抑える。
そして俺はキランと歯を見せながら笑う。
「いいか? イスタ。専用武器ってのは悪いやつが持てばそれだけで悪に力が付く。だから、アイツらは見定めてるんだ。俺らが専用武器を作るのにふさわしい人物かどうか」
「まぁ、それはありそうだけど、工房はあっち――」
俺はイスタの忠告を聞かずに店の扉を開ける。
「いらっしゃい。何名様で?」
「2名だ」
「え、私も入らないとダメ?」
イスタは嫌そうに店の中に入る。
店員は俺達の席に水を運んでくる。
「ご注文は?」
ふ、来た。
「ステーキ定食、弱火でじっくり」
店員さんはメモする手が止まる。
「もちろん、2人前だ」
俺はスマした顔で立ち上がる。
「あの、お客さん?」
「奥の部屋に行けばいいんだ――」
「ここパスタ屋です」
……
俺の顔が固まる。
イスタが顔赤くして恥ずかしそうに顔を隠す。
俺達はナポリタンを頼んだ。
トマトソースの効いたパスタは俺には酸っぱく感じた。
「よし、気を取り直して工房行くぞー」
「おうち帰りたい」
俺達はパスタ屋を出て隣の見た目工房の工房に向かう。
「裏の裏をかかれたぜ」
「それ表」
俺達は工房の扉の前に立つ。
そして、ドアをコンコンと叩く。
「ちゃんとメタルク様の手紙持ってる?」
「安心しろ。持ってるよ」
ガチャ。
扉の鍵が開く音がする。
よし、じゃあ早速鍛冶師とご対面といきま――
ドアが開いた瞬間ボクシンググローブが顔に向かって飛んでくる。
「ぶへし」
俺は顔を殴られて後ろに吹き飛ぶ。
「いいストレートだね」
「俺の心配してくれよ」
俺は立ち上がる。
これ顔陥没してるわ。
前見えねぇ。
「これに反応できないのに我の所に来るとはどういうことアルか?」
低い声の誰かが扉から出てくる。
男の語尾アルに需要ねぇだろ。
「メタルク様がこの店の者がここで1番腕がいいと言っていたんです。これ、メタルク様の手紙です」
俺はメタルク様の手紙を取り出し、前に立ってる人に向かって手紙を差し出す。
「おい、舐めてるアルか?」
前に立っている人が下から手紙を取る。
下から?
「我がドワーフでチビだからアルか?」
へぇー、前に立ってる人どドワーフなんだ。
へぇー。
俺は大きく息を吸ってふぅーと吐く。
そして、ドワーフがいるであろう方を見て、
「お前のせいで前が見えねぇんだよ!」
大声を出す。
「いつまで顔が埋まってるアルか」
ドワーフは俺の後頭部を殴る。
すると埋まっていた顔が飛び出てくる。
「お、前が見える……じゃねぇ。痛いだろうが!」
ドワーフはチビのおっさんのようだが腕の筋肉がすごくたくましい。
「とりあえず、ユウヤ落ち着いて」
「そうだな。さ、話を戻そう」
「急に落ち着かないでよ」
イスタが驚いてるのを尻目にドワーフと顔を合わせる。
「とりあえず、自己紹介からといこう。俺はユウヤだ」
「知ってるアルよ。昨日の裁判野郎アル。珍しくてもうこの町にお前の顔を知らないやつはいないアルよ」
うん? これ、もしかしたら200兆ビット払ってることに違和感感じられるのではないか?
だって200兆払わないといけないのに3980万の物買いに来てんだもんな。
「手紙の内容は全て読んだアル。全てメタルク様に請求すればいいんアルね。国宝盗んだやつに国宝返すなら専用武器あげるとは、メタルク様もかなりのお人好しアル」
あ、よかった。
大丈夫そうだ。
「でも、一応試験は受けてもらうアル」
「やっぱ、あるのか、試験」
「話早いアルな。ま、中に入るアル」
ドワーフはそう言って中に入ろうとする。
「ところでお前の名前は?」
「あー言ってなかったアルな。我はスォラ。よろしくアル」
俺達はスォラに案内され工房の中に入る。
客間は綺麗に整っているが、ここからチラリと見える作業場には物が散らかっていた。
「で、試験内容は?」
「試験内容と言ってもそんな大したもんじゃないアルよ」
スォラは1本の剣が飾られたネックレスを付ける。
なんだ、そのネックレス。
「それは、勇者教のネックレス?」
イスタはネックレスに反応する。
勇者教なのか。
スォラは1本の剣を強調するように俺達に見せる。
「あぁ。そうアル。我は勇者教の教徒アル」
その感じでただの教徒なのかよ。
ドワーフは剣を握り、口を開く。
「我は勇者教教徒アル。獣人は臭い獣だと思っている過激派の教徒アル」
スォラはそう言うと、俺を威圧しながら近づいてくる。
俺の全身に鳥肌がたつ。
「試験内容は簡単アルよ。確か、お前らのパーティには獣人がいたアルな?」
スォラは俺の肩を掴む。
「我に専用武器作って欲しいアルならそいつをパーティから出すアル。試験開始アル」




