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異世界でも動画配信者  作者: ワクルス
お星様の言う通り
61/73

弟に癒されてみた

俺達はヘニョンヘニョンになりながら町へと戻ってきた。


星屑のダンジョン、まじやばかった。


俺達は疲れきった顔で互いを見やる。


ギュッ。


俺達は全員が全員で抱きしめ合う。


仲間って暖かい。

仲間っていいな。

仲間って素晴らしい。


「今回は頑張ったね」

「うん」

「もうしんどいっす」

「うん」

「ごはん」

「うん」


ミュールはいつも通りだ。

俺はこいつらが仲間で本当に――


「にーに、おかえりー」


アステルが笑顔で手を振りながら走ってくる。

俺はすぐに仲間を見捨ててアステルを抱きしめる。


「あ、裏切り者!」

「よくないっすよ、そういうの」


グギュルルルル。


1人だけお腹の音で返してくる。


「アステル、お留守番できたか?」

「にーに、セイは屋台とかで基本外だよ?」

「そうかそうか。よーしよしよし」


 俺はアステルの頭を撫でる。


あぁぁぁ、いやされるぅぅ。


「ちょっと、にーに、そういうのは後でもできるよ」


アステルは頬を赤らめながら言う。


「今は……お前が必要なんだ」


俺はキザっぽく言う。


「にーに、今日も一緒ので寝る?」

「そうだな、そうしよう」

「え、待って。同じベッドで寝たの?」


イスタは慌てながら俺に問いただす。


愚問だな。


「もちろんイエスだ」

「衛兵さーん、こっちっすー」

「リルナ、俺はアステルの兄だぞ? 捕まる訳が――」


騎士の人が俺の肩にポンと手を置く。

ニコニコ。


「……あのぉ、俺はそのぉー」

「はい、不敬罪ね」


騎士の人は俺を引きづる。


「ちょっ、理由は!? 理由はなんですか!?」

「王国の王子にベタベタと触れたから」

「俺、こいつのお兄ちゃん!」

「はい、王族自称でさらに刑期アップ、刑罰のレベルも上がりましたー。死刑」

「お前騎士だろ。そんなん決める権利お前には」

「経験則」


くそったれぇぇぇぇぇ。


俺は助けを求めるように周りを見る。


「俺はやってねぇよ。なぁ、周りの人達ぃ!」

「いい? あぁいう何歳も年下の子に抱きつくような人にはなっちゃっダメよ?」

「キモっ」

「あれ? 今日誰か捕まる予知出てったっけ? まぁいいか」


なんでだよぉぉぉぉぉ!





俺は牢獄の中に入る。


……なんで?

俺、お兄ちゃんなのに。


あぁ、アステルに会いたい、会いたいよぉ。


「にーに、大丈夫?」


俺が願っているとアステルがひょこっと顔を出す。


「アステル、俺の誤解だよな? 俺、悪くないよな?」

「大丈夫、セイがちゃんと言っといたから。ほらっ」


アステルはそう言って鍵を取りだしガチャガチャと開ける。


アステル、大好き。


俺達はすぐにリルナ達の所に向かう。

リルナ達はおいしそうな店でモグモグと食べていた。


「あ、やっぱり帰ってきたっす」

「リルゥナァァァ。一時はどうなる事かと思っただろ」

「豚箱の飯はおいしかった?」

「食ってねぇよ。懲役10分だからぁ!」

「良かったね、アステル様がいて」


俺は腹をグーグーと鳴らし席に着く。

アステルは俺の膝の上に座る。


何も言わずに膝上着席。

この子……お兄ちゃんたらしっ。


俺はにんまりする。


「ユウヤ、感情の起伏やばいよ。こうードラゴンの急降下からの急上昇みたいに」

「お前らドラゴンで色々例えるの好きだよなぁ」

「実際強いからね」


俺の感情の起伏が激しいわけが無い。


「すいません、ニキビーフのバンバーガーください。アステルはどうする?」

「セイはにーにのと同じの」

「すいません、もう一個ください」


俺は自分のとアステルのを店員に頼む。


「あ、私も」

「ミュール、お前は自分で頼め」


ミュールは無言でドンドンと皿を積ませていく。

ハンバーガーが運ばれてきて、俺達はガブリと頬張る。


「にーに、おいしいね」

「そうだな。あ、ほっぺにケチャップ付いてるぞ」

「え? 取って取って」


俺はアステルのほっぺに付いたケチャップを取る。

アステルはまたカブリとかぶりつき笑顔で俺を見る。


「マジ天使」

「え? うちのこと呼んだっすか?」

「お前はペテン師」

「最初のペはなんすか! ペは!」


リルナは心外だとばかりに立ち上がる。


「リルナ、この国とユエス国は食事の文化同じだぞ」

「食事中に立たせるようなこと言うからっすよ」


天使にペを付けただけだと言うのに。

リルナは鼻息荒くイスに座る。


「そういえば、リルナねーね、目綺麗だよね。お星様みたい」

「え、そっすか?」


怒りはどこへやら。

リルナはアステルに褒められただけでもうえへへと照れる。


「そうそう、ほらっ」


アステルはそう言ってリルナの前髪をあげる。


「あっ……」


リルナはあまりの恥ずかしさに目が死に、体が固まる。


「あれ? リルナねーねどうしたの?」


悪意がないというのがこれまたひどい。


まぁ、アステルだし許せ。


「ふぅ、満腹」


ミュールはそう言ってダンジョン用に買ったご飯を食べる。


「満腹なら食うなよ」

「ん? ユウヤはバカ。大バカ」

「お前に言われたくない」

「いい? デザートは別腹」

「せめて甘いもの食べてから言え」


もう1回言おう。

こいつが食ってるのはダンジョン用の食料だ。

賞味期限とか考えると食べてもらえるのはありがたいけど。


「にーに、今日どうだった?」

「今日は全然ダメだったよ。ダンジョンの隠しボスみたいなのが強くて強くて。逃げてきちゃった」

「そうなんだ。でも、にーには頑張ったよ。お星様も言ってたし」


アステルはそう言って俺の膝から降りると俺の頭に手を置いてなでなでする。


「偉い偉い」


……


「意外だね。アステルに負けたこと言うの」


イスタは興味深そうに俺を見る。

なでなでなでなでなでなで。


「……ユウヤ?」


……あぁぁ、俺は弟だったかもしれない。


「お兄ちゃん」

「どうしたの? ユウヤにーに」



――俺はアステルお兄ちゃんに連れられてお城内を駆け回る――


「ユウヤ、早く行こ」

「アステルお兄ちゃん待って」


アハハアハハアハハ。

執事もメイドも家臣もその様子を笑って見送る。

俺達は城の庭で追いかけっこをする。

アステルお兄ちゃんは強いけどたまにワザと負けてくれたり俺も楽しめるようにしてくれる。

いいお兄ちゃんだ。


「アハハ」

「アハハ」

「アハハ」

「アハハ」

「「アハハ」」



――――――


 俺は弟だったみたいだ。


俺は兄に甘える弟の顔でアステルを見る。


「えへへ」

「……」


アステルはびっくりしたような様子で俺を見る。


「ユウヤ、ほんと大丈夫? 薬草取ってきた方がよかった?」

「イスタ、ユウヤはもうダメ。完全に弟になった」

「ミュールさん、何言ってんすか」

「私、お姉ちゃんだったから分かる」

「「え!?」」

「嘘」


ミュールの嘘に一安心するリルナとイスタ。


「……セイはお兄ちゃんだったの!?」

「アステル様ァ!?」

「アステル、受け入れるしかない。ユウヤはアステルの弟」


……お兄ちゃん。

俺はアステルに抱きつく。


「とりあえず、一旦頭冷やしてもらいますっす。えいへーい」


リルナが外に向けて言うとドコドコと騎士がやってくる。


「はい、来ました。不敬罪もういっちょ入りまーす」

「余罪マシマシ冤罪からめでっす」

「お兄ちゃーん!」


俺はそうしてまた衛兵に連れてかれたのだった。

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