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異世界でも動画配信者  作者: ワクルス
お星様の言う通り
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星屑のダンジョン攻略してみた7

――――神話期より前の創世期終期――――

俺はカナヅチをあっためた鉄に振る。


カキンカキンと火花を散らしながらも不純物を取り除く。


のばして叩いて、削って冷やして一振の剣が出来上がる。


「この持ち手部分にドラゴンの彫刻でもいれるか?」


俺が剣の柄を見て悩んでいると工房の扉がバーンと開く。


「来てくれ、今夜のお星様はすごく綺麗だぞ」


人間の友が鼻息荒く近づいてくる。


「昨日もそう言ってなかったか?」

「お星様は毎日姿を変えるからな。いつだって綺麗なんだ」

「なんだそれ」


俺は呆れ返る。


「さぁ行こう」


友は俺の手を無理やり引っ張る。

俺はため息を漏らしながらも笑みをこぼす。


「はいはい」


俺は友と星を見る。


空に光るだけの物体の良さが全くと言っていいほど分からなかった。

だが、これを楽しそうに見る友人の横顔は見ていて悪くなかった。


本当に、平和だった……


――神が、死んだ――


太陽が登らなくなった。

野原に草が生えなくなった。

世界に赤い血が広がる。


種族間で資源を奪い合う争いが増える。


俺は強かったから前線で戦った。

俺の武器(子供)が血で染まる。


俺をたたえるやつは沢山いた。

でも、俺にとってはそのどれもが空虚だった。


血で染まってる我が子を見つめる。


「お前は悪くないからな。俺が悪いんだからな」


俺は子供から血を拭う。

ベッタリとくっついていて完全には落ちることはないと分かっているのに拭く。


罪悪感で潰れそうだ。

俺は食料を奪って、命を奪って、我が子を汚して何がしたいんだろう。


俺はこれ以上考えようにも疲れていてできなかった。


俺は子供を持って前線に立つ。


今回は人間か。

魔族じゃなくてよかった。


「覚悟ぉぉ!」


人間が剣を振り下ろそうとする。

俺は子供を力強く振り、真っ二つに切る。


人間はベチャッと地面に倒れる。


我が子を強く握る。


「……すまん」


自然とつぶやく。


俺は前を見る。

すると、びっくりしたように目を見開く人間が立っていた。


俺は言葉をなくした。


「久しぶり。何年ぶり? いや、そんなことどうでもいい」


人間はニッコリと笑う。


「また会えて嬉しい」


昔、一緒に星を見た友だ。


だが、こいつは人間だ。

俺達の敵だ。


俺は、こいつを殺さないといけないのか?


俺の体がワナワナと震える。


俺はぐらつく腕で子供を構える。


「あ……」


友人は悲しそうだが納得したような顔をする。


「そう、だよな。仕方ないさ。こんな状況なんだから。今日はいいことあるってお星様は言ってたんだけどな」


友人も杖を構える。


お星様? 何を言ってるんだ、こいつは。


俺達は見つめ合う。


「「魔剣化」」


子供が成長する。


「魔斧(まふ)、ステラアックス」

「魔杖(まじょう)、ステラロッド」


友人は魔法で岩を飛ばしてくる。


俺はそれを切って友人に向かって突っ走る。


「ふん!」


子供を力強く振る。

友人は杖で抑える。


「君、結構強かったんだね」

「工房に引きこもりの武器オタクとでも思ってたか」

「多少は、ね!」


友人は俺の子供を押し返し、後ろに下がる。


「僕も中々やるだろ?」


友人はニッと笑う。


「そうだな」


全く、こいつはこんな時でも笑うのかよ。


俺もフッと笑う。


「ギアを上げるぞ」

「いいね」


子供が俺の体を包む。


「「人武合体」」


――――


俺達は戦場で息を荒らげながら倒れる。


「決着、つかなかったな」

「あぁ」

「どうする?」


友人は俺に問いかける。


「どうするってどういうことだ」


友人は立ち上がって俺の顔を覗き込む。

優しい笑顔だった。


「僕を殺すか、殺さないか」


友人は何の気なしに言う。


そうだ、今は――


「……何言ってんだ」

「君だって分かってるだろ?」


――戦争中なんだ。


俺も立ち上がる。


「殺すなら俺を殺せ。お前は子供いただろ、たしか」

「あいつももう立派な大人だ。別に僕が死んでもいいさ」

「死んだら悲しむ人がいるって点が違ぇだろ」


俺はカナヅチ振ることしかしてなかったから嫁すらいねぇし。


それなら、俺の方が……


友人はあっと何かを思いついたような顔をする。


「そうだ、いい方法がある」

「は?」


友人は何もないところに向かって指をさす。


「2人で逃げよう。ずっと、遠くに」


そう言ってニヒッと笑った。


俺の口が開いたまま塞がらない。


何言ってんだ、こいつ。

集落から離れたら食料とかどうするんだ?

もうそこら辺に生えてるような時代じゃねぇんだぞ。

それにお前には家族がいる。

そいつらから離れるのか?


俺の頭には色々な考えが巡った。

しかし、友人が指さした方に不思議と足が進んだ。


そんな俺を見て友人はフッと微笑む。


「行こうか」

「あぁ……」


俺達は遠く離れた所に向かった。

そこでの生活は貧相ではあったものの充実していた。


「見てみろ、今日のお星様は綺麗だぞ」

「何が違ぇんだよ」


星を見る時間が増えたのは懸念ではあるがな。


だが、星の持つ不思議な力に俺も少しづつ魅了されていった。


この力を使えば、もっと強い武器が作れる気がする。



「おぉ、今日も今日とて沢山作ってるな」

「まぁな。あ、これやるよ」


俺は1本の杖を渡す。


「これは?」

「スターロッド。めちゃくちゃいい出来だったからな。俺魔法使わないし」

「凄くかっこいいな、これ」

「だろ」


俺はニッと笑う。

友人もそれに呼応するようにニッと笑う。


「あれ、これ似たようなやつが沢山あるな」


友人は俺の後ろを見る。


「あぁ、性能は一緒なんだが見た目の出来が悪くてな」

「いや、全部一緒だろ」

「は?」

「は?」


こいつ、バカじゃねぇの。


こんな日々も何年も何年も過ごした。


「今日もお星様を……」


友人はガタンと地面に倒れる。

俺は慌てて友人のシワだらけの手を引っ張り起こす。


そろそろ、人間の寿命か。


「今日も、お星様を、見よう」


友人の声は日に日に弱々しくなる。

俺はそれが見てられなくなる。


「俺が何とかしてやる」


俺は友人の目をまっすぐ見る。


「君、薬は作れないだろ」

「薬は無理でもお前を助ける何かは作れる。俺は鍛冶師だぞ」

「じゃ、頼んだよ」


友は少し悲しそうな顔をしてそう言うと手を振って俺を見送る。

俺は背中を向けてその場を去る。

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