星屑のダンジョン攻略してみた6
ゴーレムは足をプロペラのように回転させて空を飛ぶ。
そして、背中にいるミュールを壁にぶつけて押しつぶす。
そのままガリガリと壁を削るようにコロシアムの周囲を飛び回る。
ゴーレムの動きで砂煙が舞い当たりが見えにくくなる。
「ミュール!」
俺は心配のあまり叫ぶ。
ゴーレムの動きが止まって元の姿に戻ると砂煙がひいていく。
壁に潰されたミュールが血だらけで壁に埋まっていた。
俺は咄嗟に配信を切る。
「ミュールさん!」
リルナは空を飛んでまっすぐミュールに近づく。
そこにゴーレムがパンチを飛ばす。
リルナは避けようとするも羽に当たって地面に落とされる。
ミュールを早く助けないと。
血が出すぎている。
ゴーレムの拳が元に戻る前にイスタはミュールへ向かって走り出す。
ゴーレムは片手で地面をめくりあげてイスタを吹き飛ばす。
「馬鹿力すぎない?」
イスタはハハと乾いた笑いをする。
どうしよう、どうしよう。
こうして考えてる合間にミュールが⋯⋯
いや、もう走るしかない。
ゴーレムの腕はまだ戻ってない。
なら、腕のない方からミュールの方に走れば⋯⋯
俺は勢いで走り出す。
「ユウヤ、横!」
イスタの声を聞いて横を見るとゴーレムが走ってきていた。
焦りのあまり周りが見えなかったか? いや、ゴーレムが走ることを想像できなかったからか?
よく分からないが気づけばすぐそばにいた。
ゴーレムの腕が元に戻る。
「ユウヤ!」
イスタの声がコロシアム内に木霊する。
その声をかき消すような風圧とともにゴーレムの拳が俺の目の前に迫る。
強化強化強化強――
脳が揺れる、全身から熱が吹き出す、メキメキと体がなっちゃいけない音がなる。
俺に走ってきた拳は俺を勢いよく壁に叩きつける。
意識がうすれ⋯⋯る⋯⋯
――――――
ユウヤが壁に埋まる。
「ユウヤァァァァ!」
私が叫ぶもなんの返事もない。
「イタい⋯⋯」
ミュールはまだ息をしているけど、壁から抜けれそうにない。
リルナがミュールの所に行けるようにしたいけど私だけじゃゴーレムを抑えれない。
「イスタさん、これどうすればいいんすか」
「もう⋯⋯どうにもできない」
「諦めんなや、まだ助かる道あるやろ」
「そうっす。まだ何か⋯⋯何か⋯⋯」
ケンケンとリルナはまだ何かしようとする。
「無理だよ」
私はケンケンを強く握る。
「いやまだ⋯⋯」
「無理だよ」
私の冷めた言葉にリルナはびっくりする。
「私はどう頑張ってもミュールほどの火力をまだ出せない。どれだけ相手の動きや弱点を読めてもユウヤほどの作戦は作れない」
リルナにスターロッドを使わせてものけぞらせる以上の火力を出せる気がしない。
「どう頑張っても覆しようのない事実だからさ」
私の胸に悔しさが詰まる。
リルナも私の諦めた顔を見て肩を落とす。
「イスタさんがそこまで言うなら本当に無理なんすね」
「残念やな、ほんまに」
私達は体をプルプルと震わせながら近づいてくるゴーレムを見る。
ゴーレムがドスンと地面に足を置く。
その瞬間、魔力がユウヤの方から流れ出る。
私の瞳孔が大きくなる。
ユウヤは口をパクパクとさせる。
ゴーレムがまたドスンと足を置くと、ゴーレムの足元に魔法陣が浮かび上がる。
「オルビス・ウィンクラ」
現れた魔法陣が光り輝くとコロシアムだった空間がゴーレムを中心に小さくなっていき、本来の部屋に戻る。
ゴーレムは膝をついて倒れる。
壁に埋まっていたユウヤとミュールは地面に倒れる。
私は部屋の奥の方にドアがあることを確認する。
「リルナはミュールを持って早くあのドアに!」
「分かったっす」
リルナは飛んでミュールを回収する。
「イタイ⋯⋯」
「なんかもう色々折れてるんすよ。ウチがいながらすいませんっす」
リルナはドアを開け中に入る。
私もゴーレムに刺さってる剣を取ってユウヤを回収する。
ガタッ。
ゴーレムが動きそうになるも私はもうドアを閉めていた。
私はユウヤを地面に寝かせると安心のあまり地面にしりを付く。
「良かった、ほんとに良かった」
死ぬかと思ったよ。
「ユウヤさんは止血だけすぐにしますっす」
「うん、ありがとう」
リルナはそう言ってユウヤに神聖魔法をかける。
ミュールは荒いけど息はあるし傷塞がってるし、ユウヤも脈がある。
「私、動けそうにないや」
「流石に一旦休みっすか?」
「うん。もーむり」
今だけゆっくりしたい気分。
――――――
俺が目を開けると天井がやけにキラキラしていた。
体いてぇ。
俺は体を起こす。
「あ、起きた。良かった」
イスタがホッとしたような顔で俺に手を差し伸べる。
俺はその手を取り起き上がる。
ミュールとリルナは2人で焚き火を囲っていた。
「ゴーレムに殴られてからの記憶が曖昧だ。俺殴られたあとどうなったんだ?」
「ユウヤが神代魔法使ってゴーレムをちょっと間だけ無力化してくれたんだよ。覚えてない?」
さっぱり、覚えてないな。
あの時はもう何も考えれなかったし。
「まぁいいや。腹減ったしご飯食うわ」
俺も焚き火の周りに座って保存食を取り出す。
これ味全然しないんだよな。
お腹は膨れるんだけどなぁ。
俺はボリっと保存食をかじる。
「すいませんっす、ウチが火力不足なせいで」
「リルナは悪くない」
「ウチがもっと火力あれば助かったっすよ。本当にごめんなさいっす」
リルナの顔がすごく暗い。
俺はイスタにこっそりと話す。
「どうした?」
「ゴーレム戦は自分のせいで負けたって思ってるみたい」
「なんだそんなことかよ」
俺はリルナの横に座る。
「リルナ、今回火力不足って分かって良かったじゃないか。次に活かそうぜ」
「でも、今回悪かったから――」
「はい! 反省終わり!」
俺はパチンと手を叩く。
「反省は一瞬。進むことに時間使おうぜ。とりあえず、今は帰ったら何食うかでも考えとけ」
「カツサンド!」
「ミュール、お前には言っとらんやろ」
リルナは呆気にとられたのか口をポカーンと開ける。
「ていうか、火力不足うんぬんならスターロッド持ってるのに傷をあんまり付けれなかった俺が悪いだろ。その俺がこうなんだからお前もそうしろ」
リルナはクスッと笑う。
「そうするっす」
俺達は食料をボリボリ食べながら焚き火を囲む。
「とりあえず、今後の動きだけでも今のうちに確認しとこうか」
「そうっすね。うちは治療と魔法でかなり魔力を使ったんで進むなら1日休憩がいいと思うっす」
「俺は体痛いし最低でも1日休みだな」
「ん、なんでも」
「なるほど」
イスタはうーんと考える。
「いやね、考えたんだよ。まだ進むかどうか。でもさ、スターロッドは手に入れたし、星の外灯も持ってる。後者は売るとして前者は流石に収穫としては十分じゃないって思ってさ」
まぁたしかに。
強かったな。
杖が強くてもゴーレムには勝てなかったがな。
イスタはゴホンと咳き込む。
「なので、1日休んで帰宅の準備をしようと思います」
「あ、進まないんすね」
「疲労が溜まりすぎてるしね。これ以上は危ない」
まぁ、イスタがそう言うならそれでいっか。
俺達はこの部屋でゆっくりすることに。
この部屋ならモンスターも魔法生物も出ないから本当にゆっくりできる。
「それでね、お父さんったら砂糖と塩間違えて⋯⋯」
「うちもそれよくするっすよ。だから失敗した時は本当に⋯⋯」
「ん、私料理しない」
女子達がなんか焚き火囲んで色々話してる。
いわゆらなくても女子会だ。
男1人の俺は部屋探索しとこ。
ケンケンって自認男なのかな?
俺は周りを見て回る。
すると、埃を被りつつもキラリと光る羅針盤があった。
なんだ、これ?
俺は気になって羅針盤に触れる。
すると、ぶわっと情報の海に沈んでいった。




