星屑のダンジョン攻略してみた3
眠ってる俺の体がゆさゆさと揺らされる。
「俺はピカキンさんを超えたぞー」
「ユウヤさん、寝言言ってないで起きるっす。もう起きるっす」
俺の目がゆっくり開く。
「……あれ? 俺のファン達は?」
「そんなんいないっすよ」
リルナのドスレート正論が俺にぶっ刺さる。
「目が覚めたわ」
「もっとスムーズに覚めて欲しいっす」
俺は顔だけ洗ってテントから出る。
「視聴者の皆おはよう」
(やっと起きた)
(寝癖ヤバ)
あ、顔洗うついでに寝癖直しとけばよかった。
「えっとあ、スーパーチャットありがとうやで。(ミュールちゃんはケンケンとどこで出会ったの?)やって。答えたってや」
「森の中」
「あっとるけど適当すぎんか?」
ケンケン、ちゃんとコメント読めてんじゃん。
俺達はバクバクとご飯を食べ、テントを畳む。
「じゃあ続きいこうか」
「ゴー」
ミュールが腕を上げて気楽に進む。
パカッ。
ミュールの足下が開きまた落とし穴に落ちるが、腕を伸ばして地面をギリギリで掴む。
「ミュール、そろそろ学ばんかい」
ミュールは顔を可愛くかたむける。
(可愛い)
(スクショしますた)
俺達はミュールを救ってまた進む。
「このドアの向こうにもしかしたら宝箱あるかもだしいく?」
「行く」
「落とし穴気をつけろよ」
イスタは細心の注意を払ってドアを開けると部屋の真ん中に宝箱があった。
こんな簡単に取れていいものか?
「宝箱も開ける前に色々調べるね」
イスタは宝箱の鍵穴や素材を色々と調べる。
「イスタさんってなんであんな色々できるんすか?」
「頑張ったんだろ」
「めちゃくちゃ適当っす」
だって、イスタは努力家ってことだけは誰の目から見ても明らかなんだから仕方ないだろ。
イスタは大丈夫と確信したのか宝箱を開ける。
何も起きなくて俺達はホッと安心する。
「あ、これは」
イスタはそう言って懐中電灯のようなものを取り出す。
「なんだそ――」
パカッ。
床全体が開き俺達皆、落とし穴に落ちる。
「あ」
イスタが発した言葉が上空に残る。
「イスタァァァ!」
「ごめーん」
「また落ちてる」
「今回ミュールは悪くなくて良かったやん」
「良くないっすよー」
俺達はダンジョン人生2回目の大きな落とし穴に落ちる。
俺はバタバタと翼を動かすリルナの手を掴みゆっくりと下に落ちる。
「あの宝箱、もの取られたら発動するタイプのトラップみたいだね」
色んな種類のトラップあるんだな。
「リルナ、私達持って上がれる?」
「穴の大きさ的に十分なスペースがなくて無理っす」
「そっか、残念。じゃあ、このどこか分かんないとこ進まないとだね」
今回はいきなりボスじゃなくて良かった。
「ところで、さっき手に入れたものは何?」
「ん? これ? これは星の電灯。星からもらうエネルギーを使って光るものだね。魔力節約になるから普通は嬉しいんだけど……」
そう言ってイスタは俺のちょうどよく光る人魂を見る。
「私達にはそれがあるからね」
「なんかごめん」
俺達は奥へと進む。
意外とモンスターは少なく嵐前の静けさという感じが頭から離れない。
(なんか、ボス戦前とかってBGMなくなったりするよな)
(たしカニ。そして大体強い)
辞めてくれ。
俺達が進む道はこっち方向しかないんだぞ。
「ん?」
「どうしたんや? ミュール」
ミュールは急に立ち止まりクンクンと匂いを嗅ぐ。
「なんか匂いが違う」
「リルナはどう?」
「有翼種に匂いのこと聞かないでくださいっす。うちらは目がいいだけっすよ」
翼も生えてんだろ。
ミュールはケンケンで壁を叩くとガラガラガラと崩れる。
ここだけ素材が違うみたいだ。
「ミュール、お手柄だぞ」
「むふー」
ミュールはドヤ顔になる。
大体こういう隠し通路には面白いものがあるもんだ。
俺達は隠し通路を進むと中には中サイズのゴーレムがいた。
ゴーレムは魔法生物。
核を中心に動く固くて強いやつ。
剣で傷を付けることは並の冒険者には出来ない。
「俺達の頑張り時だな、リルナ」
「そうっすね」
ゴーレムの目がピカリと光る。
ゴーレムの腕がゴゴゴと上にあがる。
そして、バーンっと手を地面に落とす。
俺達の立ってる地面が少し隆起する。
「どんな馬鹿力だよ。行け、こっちのバカ」
「ん、分かった」
ミュールは地面を蹴りゴーレムの方へ飛んでいく。
「ミュールはバカでいいの?」
イスタもミュールに続いてゴーレムの方へ走っていく。
「うにゃ!」
ミュールは思いっきりゴーレムに向かってケンケンを振る。
ケンケンの刀身はポキッと折れる。
(ケンケーン!)
(惜しい人を亡くした……)
ゴーレムは空中で身動きができないミュールを見て拳を構える。
俺はミュールに向かって土の床を飛ばす。
あっぶね。
ミュールはそれを足場にしてゴーレムから距離をとる。
ミュールがゴーレムの視線から外れたからかゴーレムは握った拳をイスタに向ける。
イスタは振り下ろされた拳をサッとかわす。
リルナはその間に氷魔法をゴーレムの足元に放って動きを鈍らせる。
ミュールはケンケンを見る。
「分かりきってたことやろ」
ケンケンはそう言ってニョキと刀身を生やす。
((((知ってた))))
ケンケンは剣なのにため息を吐く。
「ミュール、流石に今回はワイなしの方がええんちゃう?」
「えぇぇ……」
ミュールはすごく嫌そうにする。
どんな状況でも好きな武器使いたいよな。
ゲーム実況してた時に俺も同じこと思ってた。
「ミュール、私の力じゃゴーレムにダメージ与えれないからお願い」
ミュールはなくなくケンケンをサヤにしまう。
ミュールは手首を回してほぐす。
「分かった」
ダメージ与えれなかったらゴーレムも後ろ攻めようってなるもんな。
リルナは杖をゴーレムに向ける。
ゴーレムはリルナに向けて足を踏み込む。
イスタがミュールを見るとミュールはすぐさまイスタのもとに行き、イスタを上に投げる。
イスタはゴーレムの顔に掴まる。
そして、光る目の部分に剣を突き刺す。
ゴーレムは体をブンブン振ってイスタを振り落とす。
「クリスタルニードル」
リルナの杖の先に描かれた魔法陣から氷のトゲが回転しながらゴーレムに向かって飛び出す。
ゴーレムはそれに当たって大きくよろめく。
(おぉ、すげぇ!)
(ドリルハリケーン!」
視聴者はこのシーンに盛り上がる。
「視聴者のみんなよ、俺を忘れてないか?」
俺はゴーレムに向かって手をかざす。
そして、詠唱をすませる。
「俺は何もしてない訳じゃ⋯⋯」
俺は大きな岩の塊を飛ばす。
発射時の風圧で俺の髪の毛が逆立つ。
「ないぜ」
さっきまで魔力を圧縮してたんだ。
ゴーレムは腕でガードする。
しかし、当たった瞬間ゴーレムの上半身が弾ける。
そして、核が露出する。
核まで破壊できなかったか。
ミュールは地面をゴリっと蹴り、核へ向かって飛ぶ。
ミュールは核に近づき拳を構える。
すると、大きな光の獣がミュールの傍に現れ空間を揺るがす大きな声で咆哮する。
ガオオォォォォォォォォ!
その咆哮に背筋を凍らせてると獣の牙が核に深く突き刺さる。
そして、気づいた時にはミュールは拳を強く振り下ろしていた。
「原獣牙」
パリン
核が割れる。
ゴーレムの体はボロボロと崩れる。
ミュール、スキル持ってたのかよ。
(かっこよすぎ)
(これで編集なしなのやっぱ異世界ってすげぇわ)
それな。




