星屑のダンジョン攻略してみた2
俺達は進んではモンスターの大群、大群、落とし穴、大群、落とし穴と出会っていった。
「うわっ落ちたァァ!」
俺は落とし穴に落ちる。
下を見ると触手がうねうねしていた。
「ひやぁぁぁぁぁ!」
俺は気合いで壁を登る。
「ユウヤさん、なにやってんすか」
リルナは呆れたような顔でダンジョンを歩く。
パカッ。
リルナの足下に穴が開く。
「っすーーーーー」
「羽根使えよ、バカ鳥ぃ!」
イスタがすぐさま縄を穴に投げリルナがそれに捕まる。
そして、皆で引っ張って助け出す。
落とし穴はイスタ以外全員引っかかった。
「足下ちゃんと見なよ」
「ほんと」
「なんでミュールがドヤってんだ?」
「私が引っかかったの1番昔」
回数自体は変わんねぇから同類だ。
「あ、また大群っす」
またかよぉぉぉ。
スライムや小型ゴーレムの大群がやってくる。
俺は詠唱を済ませ魔法を放つ。
俺の魔法でスライムを倒し、リルナので小型ゴーレムを傷つけミュールとイスタでトドメをさす。
かなり大変だがダンジョンの中を進むのはそこまで辛くはない。
「ここから地図ないゾーン、ワンチャン宝箱あるかもってとこだね」
(それ、大丈夫か?)
(面白いのも見たいがそれ以上にお前らには生きてて欲しい)
視聴者さんの意見には賛成だがこれは話し合いで既に決めたことなのだ。
俺は偵察用人魂を出して前に行かせる。
「視聴者さん、心配してくれてありがとう。でも、地図はこれで作れるから余裕だわ。はっはっはっ」
俺は高笑する。
(心配返せ)
(逆にホッとした)
(よかった)
流石に撮れ高どうこう言ってたら本当に死にかねないからな。
イスタは懐中時計をパカッと開ける。
「とりあえず、ここでキャンプだね。テント建てよっか」
イスタはそう言って布巾着からテントを出す。
テントはこの道の横幅ぐらいある。
俺達は地面に釘を刺しテントを固定する。
「こんな狭いとこで建ててええんか? 他の人の邪魔ならん?」
「うん。夜はテント建てて休憩っていう鉄則があるからね。そうしないと休むタイミングの違いでしっかり休めないこともあるし」
イスタはテキパキと作業を進めながら言う。
「そなんやな」
「ケンケン、そんなことも知らなかったのか?」
「うっさいわ」
俺は今日の朝知ったぞ。
俺達は持ってきた食料等を食べながらワチャワチャと話し合う。
「アステルのやつが5歳の時さー」
「あれ? ユウヤって弟いた?」
「ミュール、これは見ちゃダメな人だよ」
(存在しない記憶ってほんまにあるんか)
コメントも読みながら楽しく休む。
「じゃあ、私とユウヤが先に見張り。リルナとミュールは寝てて」
「はーい」
「分かったっす」
そう言って2人はテントの中に入る。
俺は人魂を動かしイスタに地図を書かせる。
(結構いい時間だし寝ようかな)
視聴者さん達も眠そうだな。
「この配信、多分数日間ぶっ続けでやるから寝た方がいい。あ、猫耳信者さん、スーパーチャットありがとうございます。(ミュールちゃんはいつ起きる? )そうですね、今から4時間後とかですね」
俺がそう言うとイスタ教以外の人は配信から抜けていく。
ミュール達にコメントの見方は教えたから多分視聴者さん達も退屈はしないはず。
文字に関してはケンケンに読ませることにしてるし変なものは読まないだろう。
「金髪ちゃんネーさん、スーパーチャットありがとうございます。(イスタちゃんってなんで魔王倒そうとしてるの?) だってさ」
「ん? 魔王が人族を滅ぼうとしてるかもだから。倒すのはあくまでも最終手段……ってことにしてるけど多分倒すことになると思う」
「(どうして? 教えて、イスタちゃん)だってさ」
「私独自の調査結果」
イスタはそう言ってまた地図作りに集中する。
イスタって賢いよな。
分かりきってたことではあるけど。
識字率が他に比べて低い人間なのに字をちゃんと覚えてるし。
エルフ語読めるし。
もしかして、いい所の出か?
でも、その場合、皆のイスタへの認知度が低すぎるってなるし違うか。
よくて辺境貴族のご令嬢ってとこだな。
「ユウヤ、ありがとね」
「ん? 急にどした?」
「いや、今考えたらユウヤのおかげで助かったことたくさんあったからさ」
俺、そんな大層なことしてない気がする。
「ミュールのことも、リルナのことも。ユウヤが仲間じゃなかったらこの2人に出会えてなかったし、会ったとしても話そうともしなかったと思う。だから、ありがとう」
イスタの耳はほんのりと赤くなっている。
恥ずかしいことを言った自覚はあるんだな。
「いいよ、別に。ミュールに関しては棚ぼただし、リルナは俺が助けたかっただけなのにお前に協力してもらったし。お互い様だ」
(え、リルナちゃんとの出会いって何かあったの?)
あっそうか、リルナとの出会いを語ろうとすると人に危害を加えたことを言わないとダメだから言ってなかったんだ。
これは秘密にしておこう。
(魔王討伐ならパーティメンバー集まりそうだけどなぁ)
「そう思うだろ? でも、この世界じゃ魔王は舐められてるからな。魔王討伐するって言ったら大体のやつがなんでって顔するよ」
俺はハハと笑いながら言う。
……ん?
俺は改めて魔王のことを言って気づいた。
イスタのバカさに。
独自の調査結果で魔王がなんかしてると思ったから活動し始めたんだよな?
俺に会うまでの2年間一人でずっとそのために努力し続けた。
周りから変な目で見られただろうに。
俺はスクリーンから目を離しイスタを見る。
結構辛かっただろ。
あの目で見られるの。
イスタは俺の視線に気づき俺を見る。
「どしたの?」
ほんと、バカだなぁ。
「なんでもない」
でも、そのバカさを勇気と言うんだ。
俺の口角がそっと上がる。




