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異世界でも動画配信者  作者: ワクルス
お星様の言う通り
53/73

星屑のダンジョン攻略してみた1

――夜、広場にて――


俺は顔が真っ赤になるぐらい力む。


魔法陣は空に描くイメージで……


「オルビス・ウィンクラ!」


空中にうっすらと魔法陣が現れるが何も起きずに霧散する。


「出力は十分だと思うんだけど何がダメなんだろうね?」


俺はイスタと一緒に神代魔法の練習をする。


イスタは神代魔法についての本を撮ったスクリーンを見る。


エルフ語なのによく読めるな。


「神代魔法には通常魔法とは別のプロセスがいるらしいけど……そのプロセスはまだ言語化されてないみたいだね」


皆なんとなくでしか使ってないのな。


「エルフの記憶で何かなかった?」

「別にそんな大したものはなかったな」


せっかくの神代魔法なのにまだ使えなさそうだな。

ていうか、俺なんかに使えるようになるのか?


俺は焦りを覚える。


「今日も悪いな」

「いいよ、早く寝よ。明日は早いからね」

「はいよ」



――――――



俺達はダンジョンの地図を買って話し合う。


ここは難易度の高いダンジョンらしい。

流石のミュールにも慎重になってもらう。


「だから、私がドカン。イスタがストトトトカキン」

「ミュール、それだと俺達がいなくなるだろ」

「あ、そっか、なら私とイスタがビューン。ユウヤとリルナがドピュンドピュン」

「OK、それでいこう」

「「???」」


イスタとリルナが首を傾げたまま固まる。


ダンジョン内での立ち位置を決め町へ買い出しに行く。


この様子も動画にしておこう。

文化祭の準備動画が映えるんだしこれも映える。


「食料は何日分っすか?」

「予定では1週間、もしもを含めて10日分は買っておこう」

「はいっす」


俺は暴れるミュールを抑える。


「ミュール、そんなでかい肉は買わねぇぞ」


お前の食料は俺達の2倍なんだからそれで我慢しろ。


俺達は武器屋に入る。


「イスタ、研石なんか見てどうした?」

「ダンジョン内で戦うってなったら剣の消耗も激しいだろうからね」


あ、そうか。剣って刃こぼれするわ。


ケンケンの自動再生見たせいで刃こぼれなんて気にしたことなかった。

俺の短剣あんま使わないし。


「杖の手入れ用品買い足しといた方がいいっすかね?」

「そうだね。杖ってダンジョン内じゃ知らぬ間に魔力暴走しがちだから」

「魔力暴走ってなに?」


サラッと新しい単語出さないでくれ。


「魔力暴走は各々の限界魔力保有量を過度に超えることで崩壊を起こす現象のこと」


え、こわ。


「杖の魔力抜きは別に自力でできるんすけどやっぱりダンジョン内だと……」


リルナとイスタは色々と話し合う。


うん、何言ってるかわかんね。


「あの大きい剣かっこいい」

「ワイの方がかっこええやろ」


お前ら見てるとほんとに安心する。


「俺も杖買おうかな」

「買うなら慎重に選びなよ。魔剣化させるぞぐらいは思っておかないともったいないからね」


1本1本高いもんな。

今日はいいや。


「買うものはこんな所かな」

「はいよ。じゃあ、行くか。星屑のダンジョン」

「あ、その前に」


俺達はアステルを呼ぶ。


「にーに達の運勢だったよね? 大丈夫ってお星様は言ってたよ」

「ありがとうございます」

「あ、でも魔族が絡むとなぜか予知が狂うらしいから気をつけてね」


へー、そうなんだ。


俺は半分聞き流す程度に聞く。


「じゃあいこっか」

「にーに、絶対帰ってきてね」

「おう、任せとけ」


この国ではダンジョンや旅立ちなどの日には王族の誰かがその日の運勢を星に聞くという文化があるらしい。


お星様が大丈夫って言ってるし大丈夫か。


俺達は町を出てダンジョンへと向かう。


「そういえば、なんでこの辺に風(ふう)キリンが現れたんだろうな」

「確かにね」

「ん?」


あ、ミュールは知らなかったな。


「風キリンっていうのはな……」

「おいしい?」

「言うと思った、食べるとこ残ってなかったから食ってねぇ」

「ふーん」


ミュールは手持ちのカツサンドをかじる。


食べれないものにはとことん興味ないな。


俺達は地図を見ながら進み、目的の場所へと到着する。

ダンジョンには星マークの装飾が散りばめられ内部はほんのりと星の輝きで明るい。


「着いたよ。星屑のダンジョン」


ここら辺一体星大好きだなぁ。

昨日と今日で星という単語は一生分聞いた。


「ここは神話期初期のダンジョンって言われててドワーフが作ったみたい」

「前のダンジョンの製作者よりマシな性格なことを望む」

「前行ったダンジョンってどんなんだったんすか?」


リルナは興味津々に聞いてくる。


「製作者が鼻くそ食べてた。べー」


ミュールが舌をべーっと出す。


ミュールですら気持ち悪がってる鼻くそ食いをして酒のつまみにピッタリと言ったやつだ。


俺が人魂を出し配信を始めると各々適当に挨拶しダンジョンへと入る。


「落とし穴とか普通にあるから気をつけてね」

(今回は地図あるみたいだな)

(なんだ、つまんねぇの)


どんだけラノベ展開が好きなんだ。


「地図があるから最奥まで余裕と思われそうだがその誤解を1つ正しておく、視聴者さん達よ。地図はあったら楽なんじゃない。ないと死ぬんだ」

(どゆこと?)

(kwsk)


異世界非常識な視聴者さん達よ、俺が教えてやろう。


「いいか、地図がないとな……」

「うわっ、いきなりモンスターの大群っす」


リルナがそう言うとスライムなどの魔法生物がうじゃうじゃとやってくる。


それをなんとか退け俺は説明を再開する。


「いいか、地図がないとな……」

「ミュール!」

「た、たすけて」


ミュールが落とし穴に引っかかりイスタがそこから助けようとする。


大丈夫か?


落とし穴の下には触手のような物がミュールの足をつかんで引っ張っていた。


(危うくR18展開になってたな)

(別にいいだろ)

(猫耳信者さん、意外と変態)


ほんと、年齢制限かかる展開は心臓に悪いからやめて欲しい。


「さてと、いいか? ないとな……」

「また大群っす!」

「なんだよもう、またかよぉぉぉ!」


俺は魔法をモンスターに向かって乱れ打ちする。


(巨人化しそう)


俺は疲れきってため息をつく。


「な、分かったろ? 地図ぐらいないと死ぬ」

(うん、言葉ではなく心で理解した。マジで)

(ユウヤ、お前大変だな)


分かってくれて嬉しい。

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