星に導かれてみた2
俺達がはしゃいでいると金ピカの星のバッジをそこかしこに付けて趣味の悪い成金が着る服を着ている男が現れる。
「アステル、言ってたお客さんかい?」
「あ、メタルクにーに」
アステルは現れた男に近寄る。
成金男はお腹を膨らませたミュールを見る。
「お、猫耳ちゃんもちゃんと言ったこと守れたみたいだったね。良かった」
ミュールに城に行くこと伝えたの本当にメタルクって人だったんだ。
俺は人魂を望遠鏡を取り合ってるイスタ達に向けてメタルクさんの所に行く。
「あ、どうも。アステルの兄です」
「何を言ってるんだ、君は」
「メタルクにーに、ユウヤにーにだよ」
そうですよ、ユウヤにーにですよ。
「貴殿のことは知ってる。異世界から来たんだろ」
「お星様って本当に凄いですね、そんなことまで分かるなんて」
「いや、これはアステルから聞いた話なんだ」
メタルクさんはアステルを見る。
アステルは「ん? 」と首を傾げながら微笑む。
「……そうだな。ユウヤどの、少し席を外して貰っても構わないか?」
「いいですよ。あ、ちょっと待ってください」
俺は人魂の前に立ちしばらくコメント見れない旨を伝える。
(しゃーなし)
(アステルをあの2人の中に入れてくれたら許す)
視聴者さん達の変な想像力をかき立ててしまうが致し方ない。
「ねーね達、セイにも見せて」
「アステル様ならいいですよ」
「イスタさん、それはないっすよ。差別っす」
「リルナがいうと冗談に聞こえないからやめてよ」
「うち、演技派なんっす」
「そういう意味じゃない」
俺はメタルクさんの後ろについて行くようにお城内を歩く。
「動画なるものを路上などで公演しているのだろ? また今度、よかったら見せてくれないか?」
「いいですよ。見てて度肝抜かさないでくださいね」
「言ってくれる。まだステージの上に立ったことのないエンターテイナーが」
俺の冗談にメタルクさんも笑って返す。
いい人だな。
「それで、俺に言いたいことって何ですか?」
「察しがよくて助かるな。恐らくわかってると思うがアステルのことだ」
メタルクさんは窓から見える星々を見ながら話し出す。
「彼は星詠みの王族の中でも別格の予知能力を持つんだ。だが、第6王子だし、王になれないだろう」
「だから、冒険者とか自由にやらしてるんですよね?」
「あぁ、ただ我々は代々星読み能力が1番のものを王としてきた。王は国政などを担う必要がある。未来が1番見えるものがした方がいいだろ?」
未来が分かりきってる状態ならずっと最善を選び続けられるもんな。
「そのせいで家臣の中で対立が起きていてな。次期王としてアステルを推薦する者も現れている。だが、彼は――」
メタルクは喉から出かけた言葉を止め、口を開く。
「あの性格だ。王は務まらないだろう」
確かに。
あの感じで17歳だもんな、アステル。
見た目詐欺すぎるけど。
メタルクさんは暗い顔をする。
伝統というのは切り離そうにも切り離せない。
王の権力で無理やりするというのも一つの手だ。
しかし、それは家臣の不満が溜まって反乱を起こしかねない悪手だ。
そこは元の世界でも異世界でも変わらない。
「なぁ、ユウヤ殿、アステルを旅の仲間にしてやってはくれないか? アステルはあれでもA級冒険者。仲間として申し分ないと思うのだが」
メタルクさんは王族らしい堂々とした態度だがどこか切実な面持ちで俺に頼む。
「すみませんが、それはダメです」
俺はメタルクさんの気持ちをすくい取った上で腹に流し込む。
メタルクさんは悲しそうな顔をする。
「アステルはこの国に必要です。民にも慕われる王というのはいつの世も良き統治者になります。それに、俺はアステルの兄ですよ」
「だから、何を言ってるんだ君は」
メタルクさんは理解不能と言わんばかりの目で俺を見る。
「兄である俺があいつを危険な目に合わせることは出来ません。例え、A級で俺達より強かろうとそれは同じです」
メタルクさんは俺の顔を見てあぁと声を漏らす。
「……だから、お星様も気に入ったのだな」
メタルクさんは納得したかのような顔をする。
「君はいいやつだ。アステルとこれから離れるかもしれないが、出来れば文通……あ、字書ける?」
「まだちょっと厳しいです。読む分にはもう慣れてきたんですけど書くとなるとまだ元の世界のが出てきて」
「まぁ、我々はお星様で繋がってる。大丈夫、貴殿の勇姿はちゃんと見届けるぞ」
「ちゃんと字を書けるように頑張るんで大丈夫ですよ」
「すまん、頼んだ」
服のセンス悪い割には人柄いいな。
「ここにはどれほど滞在する?」
「あんまり分かんないですけど、ここでやることは本格的にダンジョンに潜ることですからね。できれば、魔剣化も習いたいですけど」
「そうか、ならこの城の客室を使うといい。話はつけておく」
「え? いいんですか?」
「貴殿はアステルの兄なのだろ? なら、ここに間だけは兄らしく高貴に振る舞え」
メタルクさんはそう言って立ち去って行った。
やったぜ。
「……ということでここに泊まれるようになりました。はい、拍手」
ミュールだけはパチパチと拍手する。
「なにやったの!?」
「何やったんすか!?」
「何やらかしたんや!」
何もやってねぇよ。
「ということなんで、アステルはお兄ちゃんと寝ようね」
「うん。にーに、寝よ」
あ、そうだ配信切るの忘れた。
切らないとな。
(死ね)
(一緒に寝ていいと思ってんのか?)
(うらやまけしからん)
(ユウヤ潰すのにひよってるやついるぅ!?)
(皆の者、黒の剣士様につづけぇ!)
おぞましいほど怨念のこもったコメントが次々と流れてくる。
怖い……
俺は涙目になりながらも笑顔を保つ。
「は、配信はここまで……皆! チャンネル登録よろしく!」
俺はすぐに配信を終わらせる。
配信のアーカイブのコメントで、
(ユウヤアンチクラブ、入る人はいいねして)
に5万いいねがついたのは翌朝の話。
俺達は風呂場へと向かう。
かけ湯とサウナしかないが立派な風呂場だ。
なんで湯船ないねん。
俺はかけ湯から桶で水をすくい体にかける。
「え、あったか!」
「にーに、何驚いてるの?」
今までちめたい水で体洗ってたから温かい水で体流せるのが嬉しすぎる。
「うわっ温かいっす!」
「涙が出るね、これ」
「ん、気持ちいい」
イスタ達も壁の向こう側で喜んでるようだ。
「にーに、洗いっこしよ」
「はいはい、ほんとアステルは甘え坊さんだなぁ」
小さい頃からずっと変わってない。
そう、忘れもしないアステルが5歳の頃、転んで泣きじゃくって俺からずっと離れなかったなぁ。
……
「にーに、どうしたの?」
「あれ? 俺ってお兄ちゃんだったっけ?」
「何言ってるの? にーにはにーにでしょ」
あぁそうか。
本人が言うならそうだよな。
うん。
俺達は風呂場に入り濡らしたタオルで洗いっこする。
アステル、まだ小さくて可愛いなぁ。
いつか、嫁に行ったりするのかなぁ。
あ、婿か。
大丈夫とは思うが悪いやつが結婚相手なら最悪殺すか。
まだ情緒酌量の余地ありなら打首、ないなら社会的、精神的に殺して命だけは残し生き地獄を見せる。
死のうとしても無理やり生かす。
生きて死を味わえ。
「にーに、どうしたの?」
「ん? なんでもないよ。ちょっと、未来のこと考えてただけ」
「お星様に聞くね」
「そこまでは大丈夫だよ」
背中を洗うのを交代しアステルが俺の背中を一生懸命洗う。
「にーにの背中大きい」
「お前も、大人になったらこれくらいになるよ」
「セイ、一応大人だよ?」
そだった。
身体を流し終わり、サウナに入る。
「明日は何するの?」
「明日はダンジョンだな。地図とか見て必要な分の食料買ったりして」
「ダンジョン!? セイも行きたい!」
「ダメだよ。アステルは占いの屋台っていう仕事あるでしょ」
「ぶー」
アステルは不貞腐れたような顔をする。
「そう拗ねるなよ。たくさん動画見せてやるから」
「セイ、にーにの動画っての見てみたい」
「いいぞ。今日は俺の動画鑑賞会だ」
てかアステル、サウナ強いな。
俺もう汗ダラダラ。




