星に導かれてみた1
俺達は城へと到着する。
城は町の中央で、大きな天文台と併設されている。
やはり、星に関連する王族だからだろうな。
「アステル様、そちらの方々は?」
「ユウヤにーにとその仲間達」
「あぁ、なるほど。お越しくださりありがとうございます」
兵士は頭を下げてまた見張り作業に戻る。
星の力による予言の力はこの国の基盤みたいだ。
かなり古いがニュース映画のようなものなんだろう。
どこにでもある訳じゃないが一般人も見聞きできるものって感じ。
俺達は王の間へと案内される。
アステルがドアを開けると夜空と見間違うかのような美しい夜景の絵が壁や天井にびっしりと描かれてあった。
「おぉぉ」
「きれいっすね」
「あの星々から力を貰ってるみたい」
ミュールでさえ絵に没頭してしまう。
俺達が見とれていると玉座に座る王様が口を開く。
「よく来たな」
俺達は王様に声をかけられすぐに膝を着く。
ミュールは立ったまま頭を傾げる。
「ミュール、ユウヤ達の真似しいや」
「ん、分かった」
ケンケンに小声で何か言われミュールは膝をつく。
めっちゃ王様っぽい王様だ。
「話は聞いておる」
王様は真剣な眼差しで俺達を見る。
今日来たばっかだってのに、流石星詠みの国だ。
「ユウヤ殿、貴殿は……」
そうです、俺は
「動画配信――」
「アステルのお婿さんじゃろ」
「父上、それはまだ早いです」
「ちょっと待て」
俺はイスタ達とコショコショと話す。
「イスタ、俺はお兄ちゃんだよな? 結婚は無理だと思うんだが」
「お兄ちゃんじゃないからできるよ。大丈夫。私、元女神教だから同性愛とかもOKだよ」
「ユウヤ、王様になる?」
「ユウヤさん、今までの旅路は楽しかったっす」
「待て待て、なんで俺結婚する前提なんだ」
本当に王族になっちまうじゃねぇか。
アステル、気持ちは嬉しいけど結婚はまだ早い。
「ほほほ、冗談じゃ。予言者ジョーク」
王様は高笑いしながら自身の髭を触る。
「え、そうなんですか父上?」
「流石にですか。一瞬心臓止まりましたよ」
ん? アステルは納得してなさそうだな。
俺達は王のもとへ案内される。
「よくぞ来てくれた。お星様の導きに感謝し今宵は宴としようぞ」
「本当ですか? ありがとうございます」
「宴!?」
ミュールが一番に反応する。
予言者じゃない俺でも予想できた展開だ。
ミュールはダバーとヨダレを出しグルグルとお腹を鳴らす。
イスタはハンカチでミュールのヨダレを抑える。
「今宵は無礼講じゃ、好きなだけ楽しむが良い」
王様がそう言うと従者の人達がドアから入ってきて机を用意する。
そして、ズラズラと美味しそうな料理が乗ったお皿が並ぶ。
「ミュール、待て」
「ワン」
「よし」
「ワン!」
犬となった腹ぺこ猫耳はご飯にかじりつく。
さてと、早く自分の取らないとな。
「ケンケン殿、貴殿の事情はおおむね把握しておる。この場では好きに喋ると良い。この中に貴殿を言いふらすやつなど極刑にしてやるわい」
「いや、めっちゃ怖いですやん。でもほんま、恩にきります。さてと、ユウヤ」
ケンケンはミュールの背中で揺れながら話す。
「ミュールは犬ちゃうわ! せめて猫扱いせーや!」
「勝手に犬になったミュールに言え」
待てって言ってほんとに待つとは思わないじゃん。
「2人も、早く食べようぜ」
「うん」
「こここここ、こんな豪華な食事、うちが食べていいんすかね? 藁人形食べてた方がいい気がするっす」
「お前の趣味を簡単に食うなよ」
せっかくの豪華な食事だし、動画撮るか。
「どうもー、今回は城に来てまーす。この豪華な食事を今から食べてみたいと思います」
ミュールの様子をカットとカットの間に挟む用に撮って尺稼ぎでもしよ。
金入ってこないからやったところで意味ないけど。
「ミュールが全部食べちゃう前に早く取ろうか」
「今日のミュールは食いつきがすごいからな。油断してると多分なくなる」
「そうそう、ほら見てよ」
イスタは自身のハンカチを絞る。
すると、そこから大量に水が出てくる。
「これ、ミュールのヨダレ」
「地味に汚いな。まぁ、そういうことだ。急いで食わないと俺達が死ぬぞ」
「あぁ、すまぬ。それはミュール殿専用で、貴殿らのはここだ」
王様がそう言うと横に長い机が運ばれてきてその上に料理が置かれていく。
お星様の力ってすげえ。
ミュールが卓上の料理を貪ってるのを見ながらも俺達も食事をする。
「ユウヤにーに、これ食べて」
アステルはピーマンのようなものを指して言う。
「好き嫌いしちゃダメだろ。にーに、心配」
「ぶー」
アステルは俺をもう一度チラッと見ると覚悟を決め、ピーマンをパクッと勢いよく食べる。
苦そうにしながらもちゃんと噛んで飲み込み口開けて食べたことを見せてくる。
「よく頑張ったな、偉いぞ」
わしゃわしゃわしゃわしゃ。
「にーに、それあーんってして」
アステルは俺の皿の上に乗ってある明らかメインディッシュの肉を見て言う。
……可愛い弟の頼みだ。
俺はフォークでそれを刺しアステルにあーんってする。
アステルはもちゃもちゃと食べると俺にもあーんってしてくる。
やっぱり、俺達は結婚適齢期なのかもしれない。
「式っていつあげましょう?」
「何を言っとるんだね、君は」
アステルは準備万端なんだけどな。
俺達はそのまま食事を楽しんだ。
食べ終わったあと、ミュールが満足そうな顔でお腹を大きくしたのは言うまでもない。
「おいしい……おいしい……」
良かったな、ミュール。
俺達はアステルに案内され天文台へと向かう。
ミュールは食べて気持ち良くなったのかぐっすり寝ている。
こいつ、いつか絶対太るな。
「ユウヤにーに、見てみて」
俺はアステルに言われた通りに大きな望遠鏡を覗く。
すると、宇宙に散らばる星々が綺麗な集団を成していた。
星達が大きな何かに引き寄せられ星団に。
その星団もまた大きな何かに引き寄せられ光の渦を巻き銀河に。
一つ一つのキラメキが小さくとも集まって塊となり大きな何かになるその様子に宇宙の積み重ねの大きさを思い知る。
「綺麗だ」
「ユウヤ、私も見たい」
「うちもっす」
イスタは俺を引っ張り剥がそうとする。
これは視聴者さんにも見せたいな。
俺はイスタと交代してる間に人魂を出し配信を始める。
「どうも、ユウヤです」
「おぉ、すごいすごい」
「イスタさん、うちも早く見たいっす」
「あと5分」
皆がはしゃいでる姿を映す。
突然の配信なのにすぐにコメントがつく。
(やっぱ、リルナちゃん可愛い)
(は? イスタちゃんが1番なんだが?)
(ミュールちゃんはどこだ?!)
ミュールは今寝ております。
俺が配信してるとアステルが覗き込む。
「ユウヤにーに、これ撮影ってやつ?」
「これは配信だよ。リアルタイムで色んな人に情報を届けるんだ」
待てよ?
……うちの視聴者にはロリコンがいる。
そんなやつがアステルを見てどう思うだろうか。
……あ。
(ヴァァァァァァ!か゛わ゛い゛い゛い゛!!!)
(心臓バクッバクッ)
(俺、初恋しちゃったかもしれない)
(無くなってた感情蘇ってきた)
やっぱり、そうだ。
このロリコンどもめ。
「だが、残念。こいつは男だ!」
(逆にあり)
(一緒に風呂入れるじゃん)
(俺、トラックにひかれてくる)
あ、ダメだぁ。
男の娘好きがたくさんだァ。
「あ、猫耳信者さん、スーパーチャットありがとうございます。皆、ミュールちゃんを裏切るというのか? そうだぞ、お前ら! 猫耳信者さんがミュールをまだ見てるんだぞ」
(うるせぇ)
(ミュールちゃんも好きだけどその子も好き)
予想できたことだったのにな。
アステル、ごめんよ。
こんな変態視聴者さん達に視線を向けられるようなことになって。
「あ、猫耳信者さん、またまたスーパーチャットありがとうございます。何はともあれ、その子の名前教えて」
猫耳信者ぁ!
裏切るなぁ!
「セイはアステル」
(個性的な一人称だ)
(かわいいからなんでもあり)
どうしよう。
アステルは王族だからずっと俺達と一緒という訳にはいかない。
そうなるとアステルファンがガチギレしそうだ。
俺は頭をポリポリとかいて悩む、
「おぉぉ、きっ綺麗っす」
「すごいよね、これ。望遠鏡っての初めて見たけどすごいよね!」
イスタが子供のようにはしゃぐ。
意外な一面に俺は思わずふふと笑う。
「にーに、お星様綺麗でしょ」
アステルは白い歯を見せながら笑う。
「そうだな。本当に、綺麗」
ほんと、綺麗。
夢物語のような掴むことの出来ない絶対的な綺麗さだ。
その綺麗な星にいつか手を届かせたいな。




