↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも動画配信者  作者: ワクルス
獣人の困りごと
45/73

悪者倒してみた3

俺達は男を囲む。


「チェックメイトってやつだ。逃げるなら今のうちだぞ」


男は深く息を吸って吐く。


「俺はボスだぞ」


男はそう言うと足を深く踏み込む。

そして、全身に影をまとう。


俺以外は見えないんだよな。


男は俺に向かって走ってくる。


「イスタ、ちょっと目が見えにくくなる」

「わかった」


俺はイスタの目の周りをスクリーンで覆い男を見えるようにする。


男が俺に剣を振り下ろそうとするが、イスタが剣を弾く。


「2人もちょっと目が見えにくくなるからな」

「わかった」

「分かりましたっす」


ミュールとリルナにも同じことをする。


ミュールは見えるようになった瞬間、男に向かって飛んでいく。

そして、ミュールはケンケンを男に力強く振り下ろす。


「エクリプスビースト(月喰らう影獣)」


男はケンケンの刀身を獣に食わせギリギリ当たらなくする。


「カースドクリスタルエッジ」


リルナは男に向かって氷のトゲを地面から生やす。


男はステップ1つでかわす。


存在消しは対策完了だ。


「見られるなら意味はないな」


男はそう言って影を消す。

俺も皆の視界を元に戻す。


男は剣を強く握る。


「《《剛》》」


男の剣の獣が大きくなる。


「急に魔力が普通になった」


ミュールはそう言う。


獣はみるみる大きくなっていき人ひとり余裕で飲み込めるぐらいになる。


「食らえ、ビースト!」


男は剣を振り下ろすと獣が男の立っている地面を食らう。


俺たち全員何をしてるのだろうと思っていると突如地面が壊れる。


俺達は大きな穴の中に落とされる。


「どんだけ魔力で守ろう落ち続けたら関係ないだろ」


穴の中は落下に身を任せてる男とムシャムシャと地面を食らい穴を大きくし続けている獣がいた。


俺達もずっと落下し続ける。


ものすごい風が体を突き抜ける。


「お前らは狩られる側だ、冒険者ども!」


あ、これやべぇ。

ダンジョンで落下の恐怖味わったとはいえ怖え。


いや、怖いときほど考えるんだ。思考に集中しろ。


「ユウヤ、風魔法で私たちを上に……いや、せめて壁に」

「え、なんて?」


風圧強すぎて聞こえな……あ、人魂を近くに持ってけばいいんだ。

人魂、マイクもついてるし。


俺は人魂をみんなのそばに持っていく。


「ユウヤ、風で私たちを壁に―――」

「吐き出せ、ビースト」


獣はムシャムシャと地面を食いながら時折こちらを見る。


稲妻のごとく頭に危険の文字が浮かぶ。


まずい、早くARゴーグルを……


「がはっ」

「うぐっ」

「もげっ」

「むぐわっ」


ミュールとイスタに何か固いものが当たった音が何度もする。

そして、見てみると頭から血を流しぐったりしていた。


「ごめん、もう無……理……」

「ん……」

「ミュールももう無理そうや」


二人ともさっきまでケガやばかったもんな。


俺は風魔法で二人に近づき、土魔法で一塊にして背中で背負う。


このままだと全員やられる。なにか打開策は……


「ユウヤさん、さっきみたいに見えない魔法打たれてるっす。空中だと身動きできないっすし、どうすればいいんすか」


俺はリルナの方を見る。


「お前、羽あんじゃんか!」

「あっそうだったっす」


俺は俺とリルナにARゴーグルをつける。


そして、リルナはツバサを広げる。


バサバサとツバサを動かし、飛んでくる岩をよける。


「リルナお前がやれ。大丈夫、俺が支える」

「分かったっす」


俺は風魔法で落下方向を制御し、壁に足をつける。


壁踏んで動ける分まだ岩を避けやすいな。


リルナは穴の中央、男は身動きできないのかずっと下のほうにいる。


俺は手をかざし土魔法を放つ。

土の塊が岩を砕く。


「そんなことしても俺には近づけねぇよ」


リルナは横に飛んで岩を避け徐々に近づく。


「リルナちゃんは近づけるってさ!」

「なんでユウヤさんがいってるんすか」


リルナは来た岩を横に避けると壁にぶつかる。


「あ、やばいっす」


リルナに向かって飛んできた岩が間近に迫る。

俺はリルナに向かって飛んでる岩を魔法で打ち壊す。


「気を付けろよ、リルナ」

「見えにくいんすよ、この視界」


リルナは憎まれ口を叩きながら翼を動かし飛ぶ。


陰にだけピント合してるからそうなるのは仕方ないけどさ。

岩へのピントも合わせつつ壁にもピントを合わせるなんて......


いや、まてよ?


 俺は緑色のスクリーンを壁一面に貼る。

そしてリルナのカメラの映像を編集し、緑色を壁の画像に変換してやれば......


「あ、急に見やすくなったっす」

「一面緑で気色悪いな」

「動画撮影の裏側なんてこんなもんよ」


このグリーンバックなら壁との遠近感も掴みつつ岩を見れる。


リルナは岩を避けながら男に近づく。


男の頬に汗が流れる。


「大人しく、俺に売られてろ! 天使!」


岩の量がさらに増える。

が、リルナはものともせず進む。


「うちは天使じゃないっす。うちの名前はリルナ、リルナ・ラインっす」


そして、リルナは男の背後を取る。

すると、リルナはぶつぶつと何かを呟き始める。


「うちはダメなやつっす、うちはダメなやつっす、うちは……」


リルナの呟きに応じて紫色のオーラがリルナから溢れ出る。


俺は大きく口を開ける。


「頑張れ! リルナ!」


もう俺にできるのは応援で魔力を送るぐらいだ。


「頑張れ! リルナ!」

「頑張るんや!」


リルナは杖を構える。


「人殺しに加担するのか。お前も俺達と一緒だな」

「一緒にすんじゃねぇ、リルナとお前ら悪人共を!」


リルナの重い前髪から目が見える。

真剣でキラキラ光る綺麗な目が。


リルナの杖から魔法陣が展開する。


「頑張れ、リルナァ!」


俺の声が穴の中で反響する。


「カースドフレアバースト!」


紫がかった炎が魔法陣からあふれ出す。

そして、男を燃やす。


「ボスゥゥゥウウウゥゥゥ!」


穴の中を一人の子分がすごいスピードで落ちる。

軌跡には血が舞う。


子分は自分から燃え盛る炎に突っ込んで男を押しのける。


「お前、何してるんだ」


全身に火傷を負った男は子分に手を差し出しながらいう。


「日頃のお礼っすよ、ボス」


男はそれを聞いて歯をぐっと強く噛む。


「リルナ、まだ間に合う、次の魔法を!」


男は壁に剣を刺す。

獣が引っ込み、穴堀が終わる。


「ここで穴掘り止めんなよ!」

「一応言っとく頭上注意な」


男は剣から獣を出し、獣に横穴を掘らせる。

作った穴はすぐに埋められる。


リルナは俺を手で引っ張り、空中を飛ぶ。


「頭上注意ってどういうことっすかね」

「さぁ……あっ!」


俺が上に指さすとリルナも上を見る。


「男がバカスコ打ってた岩だ」


岩が上から落ちてくる。


「リルナ避けてー!」

「ユウヤさん重いんすよ」

「俺じゃねぇ、背中の2人だ」

「合計でっすよ」


リルナは必死にツバサをはためかし、かわす。


「うわ、かすったかすった」

「暴れないでくださいっす」


俺たちは命がけでなんとか穴から出ることができた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。