カフェ作業してみた
俺はこの前の白い羽根を生やした天使みたいな子に神聖魔法をかけてもらう。
「きもちぇー」
お日様の日を浴びながら昼寝してる感じがするぅー。
「今日は安静にしててください」
「はい、ありがとうございます」
俺達は教会を出る。
体の調子がめちゃくちゃ良くなった感じがする。
「俺も神聖魔法使えたらなぁ」
「パーティに1人は欲しいよね。私達は入ってくれる人がいないから無理だろうけど」
倒さなくてもいい魔王を倒そうとかいうイカれた集団扱いだもんな俺ら。
「俺ちょっと公演に向けて準備しないとだからギルドに行ってて」
「わかった」
俺はイスタと別れ物静かなカフェに入る。
作業する時はこういう所が1番いいんだ。
ス○バみたいな。
「マスター、いつもの」
「お客さん誰?」
初めてだからそりゃそうか。
「オレンジジュースで」
「うちコーヒー専門です」
ありゃりゃ、ダメ客のコンボ決まったな。
「ならオススメ1つ」
「かしこまりました。そちらの席に着いてください」
マスターはそう言って厨房へと戻って行った。
俺は席に着き、スクリーンを出す。
クリティカルガモ戦の撮影は完璧。
俺が途中で倒れた所をかなり強調すればクリティカルガモに勝った時のシーンで観客の興奮を煽れる。
でも、編集が間に合わないから今日のはゴブリンエンペラーのやつを使おう。
「こちら、当店オススメのキャーラメルプラペティーノです」
「コーヒー専門はどこいったんですか」
「昨日適当に作ってたらおいしくて」
新作をオススメにするな。
「ご一緒にパフェとかどうですか?」
「どんなのがあるんですか?」
「ブドウの甘さとイチゴの酸味をアイスにかけ、その下に――」
「おいしそうだしそれで」
変に時間取られたくはないんだ。
俺はプラペティーノを飲んで広告動画の編集を始める。
まずは雑貨屋の広告だ。
この爆弾のおもちゃを紹介してくれと頼まれたがどうしようか。
一応撮るには撮ったがあまり納得のいかない出来になりそうだ。
雑貨屋の店長の演技が下手くそだからってのが1番の理由な。
俺は魔法袋から爆弾のようなものを取り出す。
「サンプルで貰ったし明日撮り直すか。広告のスケジュールの組み直しだな」
俺がため息をついているとマスターがやってくる。
「サービスの甘い豆で――」
マスターは俺の手元にある爆弾を見て顔が青ざめる。
俺はその顔を見てすかさず人魂を出して撮影する。
「金目のものはございませんよ!?」
マスターはゆっくりと後ずさる。
俺は爆弾についてた縄を引っ張る。
すると、縄に火がついたように見えその火がどんどん爆弾へと向かう。
「まだローンが35年も残ってるのにぃぃぃ」
マスターは縮こまって泣き叫ぶ。
火が縄を全て燃やす。
そして、爆弾はドカーンと大きな音とともに爆発した――
「いややぁぁぁぁ!」
――ように見えるだけだった。
「え?」
マスターは涙目で俺を見る。
俺は金貨を10枚ほど渡す。
「迷惑料です」
「え?え?」
「あ、あとあなたの姿を皆の前に晒してもいいですか? この店の宣伝にもなりますよ」
マスターはまだ混乱中のようだ。
「まぁ、はい。いいですよ?」
マスターは何がなんだが分からないと言った表情で豆が乗った皿をテーブルに乗せて、厨房へ去っていった。
……やべぇ、やりすぎた。
冷や汗止まんねぇ。
心臓バクバク。
次は武器屋の広告だ。
剣の切れ味を強調するために他の店の剣と題したナマクラと切れ味を比較する動画だ。
単純だが広告慣れしてないこの世界の人間達にとってはこのシンプルさが丁度いい。
次は防具品の広告だが……
この店の防具品は弱すぎる。
イスタにも見てもらったが流石に広告詐欺レベルだ。
「見た目はいいんだがなぁ」
請け負った以上利益はあげないと……
「こちらマジウマウマフルーツパフェです」
マスターが机にパフェを置く。
「ありがとう」
「何かあればお呼びください」
マスターが去ろうとすると扉が開く。
「今日頑張ったー」
「稼げたし、今日ぐらい奮発しよ」
冒険者らしき女性が入ってくる。
「いらっしゃいませ」
「マスター、甘ーいコーヒー2つとサンドウィッチ」
「分かりました、あちらの席へ」
マスターが案内した席に女性冒険者が移動する。
「マスター」
「どうかなされました?」
俺はマスターに呼びかける。
「この店の客の男女比率は?」
「詳しくは分かりませんが、女性が多いですね。冒険者の方であることも多い気がします。料理の腕がいいからですかね」
マスターは嬉しそうに腕を見せる。
コーヒー専門なのに料理で勝負するなよ。
てか、ここコーヒー専門じゃないよな、絶対。
「商売の話がしたい」
「少しだけなら」
「あぁ、十分だ」
マスターは「少々お待ちを」と言って厨房に戻って料理を済ませる。
作った料理をお客さんに持っていき、俺の所へ来る。
料理の手つきいいな。
コーヒー専門のくせに。
「で、商売の話とありましたがどういう?」
「いや、簡単な話だ。これをここに飾りたい」
俺はそう言って防具が写ってるスクリーンを見せる。
「このデザインを見てどう思う?」
「かなりオシャレですね。女性が好きそうです」
「で、ここは女性、特に冒険者の女性が多いと言っていたな」
「なるほど。ですが、飾るだけなら別にタダでも……」
マスターは頭上にハテナを浮かべる。
こいつ、もしかして商売下手くそか?
商売の話してんのに金はいらないとか1番言っちゃダメだろ。
まぁ、無料で引き受けてくれるなら願ったり叶ったりだ。
けど、後でワーワー吠えられても困るな。
「そうですね。ですが、僕はこの町に長くは滞在しません。今後の防具品の展示はあなたとこちらの店の店主2人で作業していただくことになります。そちらの作業を金貨1枚の1万ドットでこれから先受けていただけませんか?」
この方法の広告はこっち都合。
ある程度の損失は覚悟の上だ。
それに、広告業者としての顔が広がればカネルや他のヤツらが広告をしても俺の地位は揺るがない……はず。
俺は金貨1枚をマスターに渡す。
「それなら全然受けます」
マスターは嬉しそうに金貨を受け取る。
設置費とかかからない分安く済んだな。
ある程度の損失は覚悟の上だが、損失は少なければ少ない方がいい。
俺はニヤッと口角を上げるとすぐに営業スマイルをする。
「あ、僕の広告をやってみませんか?」
「広告ですか?」
「はい、広告というのは――※長いので割愛――とにかく、やれば利益が上がりやすくなるでしょう」
「いいですね。やります」
そんなすぐ答え出すのか。
こいつ大丈夫か?
「他の方は広告費用で金貨1枚。そして、利益が以前より伸びていた場合その利益の4割を貰うことにしております。ですが、あなただけは特別に8000ドットのみでお受けしましょう」
「おぉ、いいんですか? ありがとうございます」
「話は以上です。お時間ありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました」
マスターは嬉しそうに厨房へ戻る。
このマスター、これから先心配だな。
詐欺とかに会わないといいけど。
俺はふぅとため息を着く。
これで防具品の広告は完了。
見た目がいいからで女性には売れやすくはなるだろ。
性能は……うん。
まぁ、元々防具品って必要ないからな。
魔力で自分自身を固くできるし。
素の力を上げるだけだし。
……飾るのは魔法職用の皮装備とかにしてもらうよう交渉しておこう。
さ、切り替えて次の広告も作るとするか。




