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異世界でも動画配信者  作者: ワクルス
獣人の困りごと
37/73

再戦してみた

俺達は森の中へと入る。


今度も他の冒険者パーティの観察だ。


今回のパーティは後ろに立っている人が他の人に指示出しをしてる。


「司令塔がいるタイプのパーティだね。しっかりしてる」

「司令塔がいないパーティもあるよな。あれはなんで?」


前のパーティとかいなかったし。


「司令塔が務まるような人はよっぽどの責任感とそれに見合う能力がないとダメだからね。それに、冒険者パーティにも色々あるんだ」


色々?


「私達みたいに目的同じくして活動するパーティ、仲良い人達とだけ組むパーティ、お金稼ぎだけをメインにして集まるパーティとかね」


色んなパーティがあるんだなぁ。


「司令塔がいるってことは大方お金稼ぎパーティだろうね」


チームワークとかにも関わるから仲良い人達とだけ組むパーティも悪くはなさそうだな。


「強い魔力反応があるな。お前らの残り魔力は?」

「戦えるけど、Aランクは勘弁って感じだな」

「同感」

「なら静かに移動するぞ」

「「了解」」


そう言って司令塔パーティはこの場を去る。


「私達も行こうか」

「ん」

「り」


俺達も司令塔パーティについて行く。


「……り?」


イスタは首をかしげた。


観察した感じ、一人ひとりの実力は高いな。

結局、強い魔力反応があるモンスターと戦って勝ってたし。


「てか、魔剣化見れてよかったな」

「だね。魔力の流し方がちょっと特殊だった。けど、同じように私の剣に流しても魔剣にならないんだよね」


魔剣化についての情報は手に入れられたんだし、良しとするか。


「今日はここまでだな。帰るか」

「今日もありがとうな、司令塔」

「その分多く取れるし、別にいいよ」

「子供育ち盛りだっけ? 大変だね」


冒険者パーティは森の外へと出ていった。


「俺達も帰るか」

「だね」


俺達が帰ろうとすると木の枝がワサッと動く。

瞬間、イスタの足を蹴ろうとするクリティカルガモの姿が。


「同じ失敗はしないよ」


イスタはすかさずクリティカルガモへ向かって剣を振る。

クリティカルガモは硬い足でそれを受け止め、剣の勢いを使って距離をとる。


「イスタ、よく反応できたな」

「いつもより多めに魔力使ってたからね。前のこともあったし」


クリティカルガモ、こいつの習性は調べさせてもらった。

前負けたし。


「確実に相手を殺すため、守りが甘くなりやすい足を狙う賢いモンスター。隠密性も高く森の中ではAランク級」

「ちゃんと調べてて偉いね」

「調べるまでの早さは現代っ子の特徴だからな」

「何言っとんねん」


俺達は武器を構える。


「ガモォォォ!」


クリティカルガモは木の枝へ飛ぶ。


木の影が邪魔になって見にくいな。


いつ来るか分からないし、目に魔力を集中させよう。


ワサッ


背中がゾワゾワとする。


「後ろ!」


クリティカルガモが俺に向かって蹴りかかる。


「言ってる側からか、よ!」


俺は腰の短剣を取り出し、クリティカルガモの足を受け止める。


腕が悲鳴をあげそうになる。


グググと押し込まれながらなんとか弾く。


森の中じゃどこから来るか分かんねぇな。


俺に弾かれ宙を舞ってるクリティカルガモにミュールは剣を振る。

クリティカルガモは自前の翼をはためかせ、体勢を変え、足で剣を受ける。


反応速度、足の硬さについては予想通り強い。

だが、空中での体勢制御を普通にやってる。

こいつ、戦い慣れてるな。


「ミュール、そいつを上へ放り投げろ」


ミュールはケンケンを大きく振り上げ、クリティカルガモを宙へ投げ出す。


俺は詠唱し、電気魔法を放つ。


「イスタ、右前!」


クリティカルガモは翼を大きくはためかせる。

すると、とてつもない風圧が俺達に降り立つ。


細かな土がブワッと飛び上がる。

辺りの木々の葉が揺れる。


クリティカルガモは俺から見て右前の木に飛び移り、俺の魔法を避ける。


「残念だったな、俺の予想通りだ」


近くにいたイスタがクリティカルガモの頭に向かって剣を突き出す。


クリティカルガモは多分無意識に1番避けやすい所を選ぶ。

だから、わざわざ右前なら避けやすいと思うように魔法を打った。


「ちょい賭けって感じだったけどな。でも、賢いのはお前だけじゃ――」


クリティカルガモはイスタの剣を蹴り上げる。


あ、こいつ反射速度いいんだった。


「でも、そこまでいいとは思わないじゃん」


イスタの突きだぞ。


クリティカルガモはまた木の影へ隠れる。


「今の決まらないの流石に傷つくね」

「しかも、また隠れやがって。正々堂々戦いやがれ」

「それなら私達も一人ずつで戦わないと」

「ミュールがまともなこと言っとる」


ケンケン、ミュールは食べ物以外ではまぁまぁまともだぞ。

天然入ってるだろうけど。


好きな物がなかったら案外普通……


「……あ、そうか。あいつをミュールと思えばいいのか」

「頭おかしくなっちゃったの?」


イスタが心配そうに俺を見る。


「違わい」


俺はミュールを見る。


「ん?」

「ミュールに問題。ミュールが持ってる食べ物を誰かに取られたらミュールはどう思う?」

「すごく嫌……かな?」

「つまりはそゆことだ」


イスタが何言ってんだこいつみたいな顔してる。


「クリティカルガモ目線で考えたらあいつは潜伏が言わば好きな事って訳」


イスタは理解したのかパァっと明るい顔になる。


「潜伏する所を取ればいいんだ」

「そゆことー」


反撃パートと行きますか。


「てことで、ミュール。この辺の木全部伐採しろ」

「ん」


ミュールはケンケンを振り回し木を次々となぎ倒す。


倒れゆく木の枝から別の木へ飛び移ろうとするクリティカルガモをイスタが木々が倒れてる中心へ誘導する。


倒れた木は俺が魔力で無理やり持って遠くへ投げ飛ばす。


魔力使っても重いな。


しばらくすると、木がない広場にポツンとクリティカルガモが立っている。


「もう隠れ場所はないな」

「ガモォ」


クリティカルガモは苦しそうな顔をする。


木から木へ移動できる機動力がこいつの強みだった。

それがなくなったんだ。


「条件付きA級ってことはその条件を無くせばA級ではなくなるもんね」


かなり脳筋攻略だけどな。


「ガモ」


クリティカルガモは羽を広げペタペタと走り出す。


「姿が見えれば怖くない」


俺は詠唱し、電気魔法を放つ。


「ガモ!」


クリティカルガモは翼を振って羽を飛ばす。

その羽が電気を吸収し俺の腹へ飛んでくる。


「危ない」


ミュールは俺を横から軽く押す。


飛んできた羽は俺の腕に刺さり、ビリビリと電気を流す。


刹那、体に熱が走る。


バチバチと俺の体が光り輝く。


熱がトゲのように俺に刺さる。


「いてぇぇぇぇぇぇぇ!」


俺の叫びが空へ響くと同時にミュールが走り出し、クリティカルガモにケンケンを振る。

クリティカルガモは剣を足で受け止める。

同時にイスタの剣先がクリティカルガモの脳天を突き刺す。


クリティカルガモの目から光が消える。

クリティカルガモはケンケンから落ちる。


俺も痛みで地面へ倒れる。


バタンという音が二重に重なる。


「ユウヤは大丈夫なんか?」

「教会に急ごう。ミュールは後片付けしてギルド集合で」

「ん」


俺はイスタにおぶられて王都へと戻る。


今日の公演が……

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