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異世界でも動画配信者  作者: ワクルス
レッツゴー異世界
20/25

初心者用ダンジョン攻略してみた5

イスタは驚いたように本をパラパラとめくる。


「イスタ、どうしたんだ?」

「ここ最奥じゃないのに、日記っぽいのがあって」


ダンジョン製作者はなんとなくだけど最奥にいるイメージあるもんな。


ミュールがちょうだいと言うとイスタはミュールに本を渡す。


「中身気になるし、読んでみようぜ。ミュール、俺にも見せてく……え、ミュール?」


俺が言ってようやく気づいたのかイスタもミュールを見る。


「え、ミュール、どうしたの!?」

「イスタまで言ったんなや」


ミュールが本を持つなんて。


俺の脳みそが噛み合わない歯車で無理やり動かされてるようだ。


ミュールはケンケンに本を見せる。


「ん」

「はいはい、分かったわ。ちょっとその辺にワイを置いてくれ」


ミュールはケンケンをイスタに渡す。

そして、ミュールはケンケンに見せるように本を開く。


「え、なにこれ?」

「すまん。本見つけたら基本的にワイに見せるよう言っとんねん。ワイも読みたいってのもあるんやけどな。1番はこの無知っ子にちょっとでも知識を蓄えて欲しいからや」

「ケンケンは心配性」

「あんた見てたら誰でも心配性や」


ケンケンはイスタに角度を調節してもらい本を読む。


(ケンケンさん、お義父さんと呼ばせてください)

(いや、私に)

(おいおい、イスミュルが1番って学会で決まってるだろ。とりあえず、イスタがケンケンのことをお義父さんと呼ぶ所から始めさせよう)


このコメント欄は読まないでおこう。


(ユウヤ、自動読み上げ君入れろ)


入れたらイスタ達が可哀想だからいやだ。

あと、入れ方分からない。


イスタは本をじっと見つめるケンケンを疑問に思う。


「……これ、古代エルフ文字だけど 読めるの?」

「ん? あぁ、平気やで。ワイには自動翻訳魔法の術式が刻まれてんねん」


剣にそんなん刻んだ鍛冶師は絶対バカ。


ケンケンは1ページ全てに目を通すと口を開く。


「私は気高きエルフ族だ。この戦争には勝たねばならない」


そうか、昔、神話期と呼ばれる時代には戦争があった。


恐らく、その戦争のことを言ってるんだろう。


(昔のことが書かれてるとか激アツ)


俺はケンケンにしっかりと耳を傾ける。


「そして、私はとんでもない魔法を作ることに成功した。これで、戦争に勝ったも同然だと思った」


多分、それが今回のダンジョンにある神代魔法なのか。


「でも、味方に反対された。ハハハ、ひでぇなぁ」


それは、可哀想に……


「俺頑張って作ったのに。100年間ぐらい頑張ったのに。ほんと、ひでぇヤツらだ。あ、やべ鼻くそほじってたら血が出てきた、やべぇ」


エルフは長寿だから100年の価値は人間とは違う。

だけど、エルフでも100年は長い。


そんな時間を魔法の研究に費やしたのに反対されたんだ、そりゃ辛いよな。


……ん? 鼻くそ?


「魔法に対しての執念を無くした私はダンジョンを作ることにした」


うん。そうなる。


俺だって頑張って作った動画に低評価押された日は1週間は引きずって普段はしないシャドーボクシングを始めた。


別のことしてストレス発散したくなるよな。


「やっべ、ダンジョン作りたのしー。ドワーフ共が作りまくる理由分かるわー。これを機に俺もドワーフっぽくなろっかなぁ」


ケンケンはここで口をモゴモゴとさせる。


ミュールはどうしたの? と聞いてケンケンはためらいながらも続ける。


「ドワーフの遊びトラップ作んの楽しい。あ、そうだでっかいの作ろ。ここのドア開けたやつにはでっかいミキドーン。めちゃくちゃええじゃーん。あー鼻くそうめぇ。酒のツマミに合うわー」

「「「…………」」


この場にいる全員がシーンとなる。


さすがのミュールでも鼻くそ食べるのはなしみたいだ。


ミュールはパタンと本を閉じる。

そして、ケンケンに向ける。


「ケンケン、火」

「ワイはご主人様に忠実な剣や」

「ちょ、ダメ。一応歴史的資料だから。売るなり図書館に寄贈するなりしないと」


イスタは慌てながらミュールから本をとる。


「そうだぞ、ミュール。俺の方が火力強いんだし証拠も残らん」

「分かってなーい!」


イスタは本を抱えながら叫ぶ。


(一応、残しとけ)

(マニアに売ればいいんじゃね? 金にもなるし)


確かに。


「どんな歴史でも過去を解明する手がかりなるかもしれないんだから」


イスタはブツブツと言いながら本を魔法袋に丁寧にいれる。


でも、絶対いらねぇよなぁ。


とんでもない魔法作ったとか言うけど絶対そこまで強くないだろ。

だって、鼻くそ食うようなやつが作る魔法だぞ。


俺はあんな本いらないだろと思いながらもハシゴを登る。


結構高かったから怖かった。


俺達は落ちた所の近くに出る。


改めて再確認した。

ここのダンジョン製作者は絶対性格悪い。

神代魔法の1つや2つ貰わないと割に合わない。


俺は腕をグッと構え決意を固める。


俺達はそのまま足を進める。


先に行くにつれてモンスターの出てくる頻度や強さが変わる。

が、ミュールはそれ以上に強かった。


ほんと、腹ぺこじゃなけりゃもうBランク以上だろ、コイツ。


「モンスターの数、頻度が増えてきてるし、もうそろそろなはず」

「分からんぞ、イスタ。ここの製作者のことだ、その逆を取るかもしれん」

「まぁ、難易度自体は高くないし可能性の高い方先行って、1番可能性のないところ、その次に真ん中ぐらいの可能性がある所から1個1個しらみ潰しだね」


最終的には人海戦術か。

人魂使えば一瞬だけど撮れ高的に言えば苦労の末に最奥に辿り着く方が絵になるしな。


今回のダンジョンの難易度的にも絵になる方をとろう。


「この道が無理だったら今日は帰ろうか」

「はーい」


暇だなぁ。


敵はミュールが倒すし、イスタは地図作ってるし。


(ユウヤ、何もしてなくて草)

(やばい、班活動の時の俺を思い出す)

(涙拭けよ)


酷い言いようだ。


俺はこの配信のどこを切り抜こうか考えているとスイッチのような何かを踏む。


すると、ゴゴゴゴと隣の壁に穴が開く。


「また隠し部屋? どうする?」

「行こうぜ。いい絵を撮るんだ」

(再生数のために命を捨てる馬鹿者)


うるせぇ。

イスタはダンジョンの地図を見る。


「構造的にもここは最奥じゃないし、寄り道になっちゃうけど……」

「大丈夫大丈夫。行こう」


俺達は空いた穴の方に足を踏み入れる。


すると、1本の大木が生えている空間に出る。


部屋は大きなミキがいたところの広さと同じくらいか。


「おっきい」

「ここの製作者、自然好きすぎないか? 今度は大木て」


俺達は大木を見つめる。


なんとなくだけど……


「「多分あれ動く」」


イスタとハモる。


俺達は目を合わせてグータッチする。


(めちゃくちゃ仲良いやん)

(ワイのイスタが)

(遠距離恋愛ニキ)


俺達は警戒心を出しながら大木に近づく。


すると、風もないのに木の葉がサラサラと揺れ、突然周りが森の中の風景になる。


「「まじ?」」

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