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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第577話 引くな

SIDE イシュドと愉快な学友たち


「はっはっは!!!!! 良いね良いね!! 最高じゃねぇの」


目下の光景に、イシュドは笑みを隠せるわけがなかった。


世代最高レベルの細剣士たちが本能に身を委ね、全身全霊で斬り結ぶ。


先程までの戦いは、あくまで準備運動……という訳ではない。

二人が本気で戦っていなかった訳ではない。

それは断言できるが…………しかし、今しがた行われている戦いの方が、何故か激しく苛烈で、観ている者たちの心を高ぶらせる。


「っっ……………………」


何かが変わった。

その変化に気付いたミシェラは、イメージの世界から現実に引き戻され、その変化を確認。


しかし……数秒も経てば、再びイメージの世界へと引きこもった。


(へぇ~~~……良いじゃねぇの。解ってんじゃねぇか、デカパイ)


狼狽えない、慌てない、直ぐに訊かない。

ただ目の前の光景をインプットし、あの二人に勝つにはどうすれば良いのか、自分のどの持ち味を活かせば良いのか……それだけを考える。


「は、はは……いやぁ~~~~、中々熱い戦いを、してくれるね」


「はっ、今すぐにでも戦りたくなってきたか、ヘレネ」


「へっ? い、いやぁ……まぁ…………闘争心が疼いてないか否かって言われると、疼いてますけど」


ちょっとどころではない。

あんな戦いを魅せられては、今すぐにでも戦いたくなる。


自分の方が暴れられると、戦えると……どうしようもない闘争心が熱くマグマの様に煮え滾る。


「「「「「「「…………」」」」」」」


そんな彼女の言葉を聞き、半分以上の学生たちが彼女の言葉を理解出来ず、やや引いていた。


アドレアスとディムナの試合は、リスクを背負って……少しぐらいの切傷は無視して勝利を掴み取る、なんて生温いものではない。


己の本能に従い、戦闘スタイルを一つに拘らず、ただ勝利を掴み取るために、どんな動きだってする。


今の彼らには、理解出来ない異次元の戦いのように思えた。


「てめぇら、勝手に線引きしてんじゃねぇぞ」


「「「「「「「っ!?」」」」」」」


またしても、珍しく自分たちに変態狂戦士が声を掛ける。


「今解んなくても、そりゃ今だけの話だ」


「……っ、強くなれば、解ると」


「そういうこった。解ってんなら、目の前の最高にイカした戦いから眼を背けんな」


「「「「「「「っっ!!!」」」」」」」


嫌いである。

大半の学生は、今でも目の前の野蛮な学生のことが嫌いである。


強いことは認めている。

それでも、自分たちが尊敬する者たちに対して上から目線な態度接しており、公衆の場でも態度が大きく、言葉遣いが貴族のそれではない。


戦闘に関して頭が回って丁寧に言語化出来るところも、彼らを苛立たせるポイントの一つだった。


それでも……彼ら彼女たちは、騎士や、魔術師といった強さが必要な道を進む者たち。

そんな学生たちにとって、全ての学生の頂点に立つであろう男の強さは、どれだけ眼を背けようとしても、戦う者としての心がどうしても敬意を持ってしまう。


だからこそ、素直に従ってしまった。

後から後悔するかもしれない……なんてことを考える余裕はなかった。


ただ、目の前の激闘を少しでも己の血肉に変える。

学生たちの頭には、それしかなかった。


「っっっ……恐ろしい、ですね」


留学してきて約一年。

まず、目的の人物であるイシュドという人間が、本当に情報通り……前評判以上の実力を持つ埒外な存在であることが確認出来た。


そして、そんな埒外の周りにいる者たちも普通ではないと直ぐに気づく。

それまで第三王女という立場からあまり戦闘に関わっていなかったが、それでも王族という貴き一族の人間ということもあり、視る眼は標準装備であった。


本当に、彼らは強い。

しかし、フレアの故郷であるカルドブラ王国にも強き学生たちはいる。


イシュドほどの例外は存在しないが、それでも……どこの世界に、どこの次元にもある言葉通り……世界は、広い。


カルドブラ王国にも天才、鬼才、傑物とという言葉に相応しい実力を持つ学生たちは確かに存在する。

しかし……まず、学生という枠の常識を潰した学生が、イシュド以外にもいた。


それが、闘気を持つガルフ。

既に闘気の応用技術である護身剛気まで扱うことが可能であり、本人に自覚はないかもしれないが、完全に学生の枠を越えた青年だと認識されている。


そんな中、今日……別の国を知るフレアから視て、自国の天才たちを越える圧倒的な強者を目撃した。


(ただ正統派な強さ、技術を有しているだけではなく、互いに奇策を使え……それを実行しようとする度胸も持ち合わせ、それだけではなく完全な武器と魔法の組み合わせに……本能に身を委ねて戦うという戦闘スタイルまで…………)


彼女は少し前まで戦闘に関して素人に近い部類だったが、それでもイシュドという変態狂戦士の傍にいることで、その知識を吸収。


そして過去に観た試合などの多くを覚えているからこそ、自国の学生たちが何を出来て何が出来ず……バトレア王国の天才たちが何を出来るのかまで正確に比べられる。


(……私がこの国に来たのは、本当に正解でしたね)


イシュド、レグラ家の人間がいるから、ではない。


彼らを除外しても……バトレアと対立するのは、カルドブラ王国にとって不利益しかないと、王女は断言出来た。


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