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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第570話 警戒筆頭

「二人とも、開幕からというのはしませんでしたのね」


開幕ぶっぱ。

それは……試合を観に来た観客としてはあまり好ましくないが、それでも立派な戦術の一つ。


初手から最高火力の攻撃をぶちかまして大ダメージを与え、そのまま勝利へと持っていく。

決まれば、本当にそれだけで試合が決まってしまう戦術だが、当然リスクもある。


「選択肢の一つではあるだろうな。ただ、二人ともお前と同じでスピードタイプだ。そうしてくるって読めれば、一気にカウンターで終わらせることも出来る」


「……お互いにそれが出来ると読んだからこその、一般的な開幕になったといったところかしら」


「解ってんじゃねぇの、デカパイ」


「世辞はいりませんわ」


もう一年ほどこの男の傍にいる。

今日もまた、観客席に来てからこの男の考えを聞いていた。


それを左から右に流していなければ解ること。

これで解らなければ、正真正銘の馬鹿……という言葉は、さすがに口にしなかったミシェラ。


(解ってはいましたけれど、速い……単純な技の最高速度であれば、間違いなく二人の方が速い)


勿論、ミシェラは優勝するつもりだったので、どうすれば……どのように戦えば二人に勝てるかも考えていた。


策と呼べる戦い方も用意していたが、実際に試合を始めた二人の姿、動きを見てその策が通じるかと言われれば、やや怪しいところである。


「フィリップも速かったけど、二人はまぁ基礎的な速さが違うね。アドレアス様が違うのは解ってたけど、ディムナさんって人もあそこまで速いなんて」


ある程度話は聞いていた。


ディムナ・カイス。

去年の激闘祭で、闘気を会得したガルフと引き分けた男。


手に入れたばかりとはいえ、闘気を使う相手と引き分ける時点で強者であることが窺えるものの……それでもヘレネたちからすれば、普段から共に行動することが多いアドレアスの強さの方が身に染みて解っている分、王子の方が有利かと考えていた。


だが、いざ試合が始まってみれば、序章ではあるものの身体能力も技術も互角。

現段階では、どちらが勝つか全く予想出来ない。


(これはルドラでも結構解んないかなぁ……)


ヘレネの中では、相方であるルドラは贔屓目を抜きにしても、同世代の中でルドラはトップクラスの細剣使いだと思っていた。


模擬戦では同じ風属性の細剣使いであるアドレアスに勝利を収めたこともある。


だからこそ、どこかでルドラ以上に同じ細剣使いでアドレアスと渡り合える同世代の学生はいないと思っていた。


「速いけど、それだけじゃないのがあの男なのよ」


体を見れば解る。

去年までと比べて、一回り大きくなっていた。


ただ、闇雲に大きくなった、大きくした訳ではない。

彼の武器である速さをそこなわず……寧ろ上げる程度に抑え、尚且つ速さ以外の身体能力も底上げしていた。


(前世と違って、まだ筋トレでどうすれば必要なここの筋肉がどうこうって知識はないと思うんだが…………はっ!!!! あいつの本能が、強くなりてぇって執念が最適解を選び続けたのかもしれねぇな)


ただ技術と経験だけを磨き続けた訳ではないと、イシュドもディムナの体から気付いていた。


しかし、それはアドレアスとて同じこと。


「まぁ、速さ以外のところを比べることになりゃあ……それはそれで面白れぇ展開になるだろうな」


今回の激闘祭で優勝を目指す優勝候補たちから見て、前年度優勝者であるフィリップは確かに警戒すべき相手ではあるが……一番警戒すべき学生が、闘気を扱うガルフである。


ガルフ自身、闘剣士という二次職に就いているため、元々それなりのパワーは有しており、イシュドたちと共に積んだ実戦経験のお陰で更に向上していた。


そこに闘気が加われば……学生という枠に限れば、ガルフの剛力はイシュドという例外を除き、最強と言える。


相手が闘気を持っていたら、仕方ない。

なんて弱音を、言い訳をアドレアスは許さない。


(そういうところは、良い意味で王子らしくねぇんだよなぁ~~~~)


泥にまみれようが、滝の様な汗を流そうと関係ない。


窮地に立たされた時、それでもこじ開ける力を欲した。

今のアドレスは、細剣と速さだけに頼る王子ではない。


「しかし、二人とも属性魔力を使いませんね……これも、先程おっしゃっていた探り合い、なのでしょうか?」


「多分な。その読み合いに勝ったところで終わらねぇとは思うが、それでもそこで付けた傷が試合を左右する可能性は十分あり得る。だからこそ、慎重に計ってる……か、もしくは、だな」


「? もしくは、なんですの?」


「それぐらい自分で考えろ脳無しデカパイ」


「なっ!!!!????」


いきなりの解説放棄と暴言に青筋が浮かぶミシェラ。


そんな彼女の怒りをそのまま放置し、リングに視線を向け続けるイシュド。

現在の差し合いを破る手段はいくらでもある。


だが……終わりまで一気に持っていく手段は限られている。


(つっても、あくまであの二人は綺麗寄りの戦いをすっから、ぶっぱもしねぇってなるとやる可能性、は………………ぷっ! だっはっは!!!!!!!!!)


ほんの一瞬……僅かな出来事だった。

身体強化だけではなく、風を……雷を纏って加速して勝負を仕掛けた。


しかし、奇しくもそれは同じ内容のものであり、イシュドが無意識に狂戦士としての笑みを浮かべるものだった。


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