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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第569話 今度は、戦士として向き合う

「「………………」」


少しの間を挟んだ後、ついに……アドレアスとディムナの試合が始まる。


「アドレアス様ーーーーーーーっっ!!!!!」


「今年こそ優勝ですわーーーーー!!!!」


「ディムナさん!! 頑張ってくださいまし!!!!」


「ディムナならいけるわよ!!!!!!!!」


二人が心を落ち着かせるため沈黙を貫く中、観客たちは……主に女性客、女子学生たちは色めきだっていた。


「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」


男性客、男子学生たちにとっても、この一戦が一年生のトーナメントでメインイベントの一つと言っても過言ではないことを知っている。


そのため、本来であれば自分たちも声援を送って盛り上がりたいところだが……あまりにも二人がモテ過ぎていた。


女性からモテる奴を応援したくない。

なんとも情けなく、心が狭いんだと思われるかもしれないが、男は割と単純な生き物であり、致し方ない部分。


とはいえ、今回は例外だった。

二人以外にも黄色い歓声が送られる出場者たちはいた。

それでも野郎観戦者たちは気にせず声援を送っていたが……今回ばかりは、その声援の量、色めき具合が段違いだったこともあり、男としてのプライドを打ち砕かれた者が多数いた。


「……イシュドがいれば、からかわれそうだな」


「ふふ、そうだね」


だっはっは!!!!! よっ、色男二人!!! 試合もちゃんと色があるものにしてくれよ!!!!! ……と、大声で笑いながら口にする変態狂戦士の姿が簡単に思い浮かんでしまうアドレアスとディムナ。


「アドレアス……強くなったか」


「うん…………強くなったよ。そういうディムナはどうかな」


以前の激闘祭よりも、確実に強くなった。


イシュドが傍にいるからだけが理由ではない。

彼の傍にいる他の者たちは、絶対に歩みを止めない。

あのフィリップですら、口ではなんだかんだ言いながらも、歩み続け……今年も四強まで進出している。


元より止まる暇はないが、それでも周囲が絶対に前へ進むと決めて歩続けているからこそ、余計に止まっている暇はないと向上心が常に奮い立たせてくれる。


だからこそ、アドレアスは一年前よりも……半年前よりも、一か月前よりも、昨日よりも強くなっていると断言出来る。


「俺も、強くなったぞ」


「っ……」


沈黙を破る闘志の放出。

それだけでも、ディムナが明確に最後に出会った頃と比べて成長しているのが解る。


「俺は、あくまで外の人間だ。それでも……イシュドの理不尽とも言える強さ、その強さに至る狂気や信念を知れた…………だからこそ、言い訳はしない」


アドレアスだけではなく、ミシェライブキ、フィリップにガルフに負けたとしても、傍にイシュドが居なかったからだと言うつもりはさらさらない。


「それと……俺はもう一度、あいつと戦いたい」


「去年のリベンジマッチがしたいと」


「そうだ」


リベンジマッチと言うものの、正確にはガルフと引き分けたディムナ。


負けというのは正しい表現ではないが、ディムナの中で引き分けは負けも同じだった。

その屈辱を振り払いたい、なんて思いはない。


ただ……後悔があるだけ。


「俺は、あいつの事を、ガルフの事を侮っていた。だから……あんな情けない試合をした。だが、今は違う」


思い知った。

一か月ほどだが共に過ごすことで、更に知った。


ガルフという人間は紛れもなく強者であり、戦士であると。


「今度こそ、あいつの真正面に立ち、俺が勝つ」


「……良いね。こんな事言われるのは、あまり嫌かもしれないけど……良い意味で変わったよ、ディムナ」


「…………そうか」


アドレアスとは元々知らない仲ではなく、以前から認めていた数少ない人物ということもあり、ディムナとしては悪い気は一切しなかった。


「それでは、両者構えて!!!!」


試合前の多少の会話は許容しているものの、あまり長すぎると観客たちから不満が零れだすため、キリの良いところで試合開始の準備を促す。


二人としても、試合前になんとなく語りたいことを語れたため、丁度良いタイミングだった。


「すぅーーーーー……………………始め!!!!!!!!!」


「「ーーーーッッッ!!!!!!」」


開幕直後、両者は示し合わせていたかのように互いの細剣を突き出し、超高速剣戟が始まった。







SIDE イシュド、フレア、ミシェラ、ヘレネ


「おーーおーーおーーーー、こりゃまた……二人とも開始から飛ばすね~~~~~」


リングで始まった今大会の優勝候補同士のぶつかり合いに、イシュドはこれまた狂戦士らしい笑みを浮かべていた。


まだ……ちゃんと序章であり、二人とも身体強化のスキルを発動しただけの状態で刺し合っている。


それでも、並みの学生であればそれだけでやられてしまうほどの速さと鋭さを有しており、イシュドの周りにいる何人かの男子学生は引きつった笑みを浮かべていた。


イシュドという学生であって学生ではない人物の言葉も受け……何度か心が粉砕されることもあったが、助言らしい言葉を受けたこともあり、向上心に満ちていた。


それは間違いないのだが、二人の序章はそんな彼らの向上心をかき消しかねない程学生離れした美しさを有していた。


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