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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第563話 それだけは、ダメなんだろう

SIDE フィリップ、ヘレネ


「っ……っ、ッッ……ーーーーーッッッ!!!!!!!!」


「おわっっっ!!!!!!??????」


戦況をひっくり返す展開がついに起こり、フィリップの口から情けない声が零れる。


(今、タイミングドンピシャだったんじゃねぇか!?)


大剣が迫る直前、なんとか無理やりサイドに飛んで直撃を回避したフィリップ。


彼の天性の直感がなければ、審判が即座に試合を止めるほどのダメージが与えられ、試合は終わっていた。


「おっと? ちょっと逃げ過ぎなんじゃないの。傷付くじゃない」


「いやぁ~~~~……はは。ほら、あれだ。良い女には棘があるって言うだろ。だからちょっと避けたくなってな」


「嬉しい事言ってくれるじゃん。けど、私もあなたも、そろそろ終わりにしたいでしょ」


「それはどうだろうな~~」


「ふふ……隠したって無駄だって」


ヘレネの強がり、という訳ではない。


一方的に攻めているように見えているフィリップだが、それなりに体力と集中力を消耗していた。


(ありゃ~~。こりゃ、どれだけ言葉で隠しても確信を持たれてそうだなぁ)


魔力量は、まだ問題ない。

しかし体力と集中力に関してはそろそろ危ないと自分でも感じ始めているため、ささっと終わらせられるなら終わらせたい。


「言葉だけじゃ、解んないと思うぜ?」


「そうね……だから、体に直接聞いてみましょうか!!!!!」


先程までとは逆に、ヘレネの方から接近。

フィリップとの距離を詰め、高火力の大斬を叩き込もうとする。


(やっぱり、それしかないよな)


ヘレネの体に何かしらの変化が起こったのは間違いない。

それは解るものの、どの様な変化が起こったのかまでは解らないフィリップ。


それでも攻撃方法がこれまでと変わっていないことから、ヘレネからの攻撃はカウンターのチャンスと判断。


迎撃しようとするが……器用に身を捻ったヘレネの蹴りがフィリップの脇腹を捉えた。


「がっっっ!!!!!?????」


咄嗟に本能が脇腹に魔力を集中させていたが、ヘレネもロックアーマーで蹴りを放つ瞬間だけ覆い、結果として重鈍で強烈な一撃が雷の魔力を容易に突破。


(ごの、感じ、肋骨はイったか!?)


予想外の反撃だった。


先程までのフィリップであれば対応できたように思えるヘレネの動き。

だが……事実として、フィリップは対応できずにカウンター返しを食らってしまった。


(クソっ!! せめて、理由が、解りゃあ!!??)


「ほらほら、どうした、のッ!!! 


既に覚悟が決まっているヘレネは一気に攻めへと転じ、攻守が逆転。


何が原因でヘレネの対応力が変化したのか解らないフィリップにとっては、迂闊に仕掛けられない状況へと追い込まれた。


「いいわ!!! そこよヘレネーーーーーっっ!!!!!!」


フレアの応援もあり、形勢逆転……ここのまま本当に逆転しそうな状況に、ヘレネへの声援が増えていく。


今更周囲の変化などフィリップには関係ないものの、それはそれとしてこれ以上ヘレネがイケイケモードになられると、いよいよ手が付けられなくなり……負けてしまう。


(あぁ~~~、クッソ、が…………こ、りゃあ、何か解った、ところで、っか?)


とりあえず男だし、女に負けるのは~~~っといった勝利への渇望? があったものの、ここから先のちゃぶ台返しが見えず、徐々に薄まっていく。


このまま負けても仕方ない。

ヘレネほどの実力者であれば、負けることもあるだろう。

負けたら負けたで、友人や知ってる連中たちの試合を観れる。


そんなもう負けてしまっても良いかなという気持ちが湧きつつあるフィリップ。

後はどのようにして負けるか……そんな考えが、確かに頭の中に浮かんだ。


「っっ……チッ!! あぁーーーーッ!!! クソ、がッ!!!」


「急に、どうした、のッ!!」


突然の変化に、珍しくフィリップのイライラとした態度を見ても、今のヘレネに動揺は起こらない。


ただ、それでも……フィリップの中で、何か良い方向に変化が起こったことだけは解る。


「諦めさせて、くれねぇなと、思って、なッッ!!!!!」


もう負けてしまっても良いかと、そんな考えが脳裏に浮かんだ瞬間、彼の視界にイシュドという友人で悪友の同級生が映った。


(ったくよ。俺は、こんな……甘ちゃん、だったっけな!!)


幼い頃まで振り返れば友人、らしき人物はいたフィリップ。


しかし、ある時からそういった人物はいなくなり、フィリップ自身も必要としなくなった。

いなくてもどうにでもなるし、生きていける。

寧ろ貴族という世界を考えれば、いない方が楽まである。


そんな考えを持っていた少年は、高等部に上がって直ぐ……本能がこいつは面白いと告げる人物と出会った。


その人物はフィリップの本能、直感通り、本当に面白い青年だった。


彼の性格がフィリップと似ているところもあり、直ぐに仲良くなった。

久しぶりに、友人と思える人物と出会えた……だが、その友人が普通ではない。


(あいつに、適当なところがある、つっても……それだけは、ダメだろう、よ!!!!)


狂人で武人。

そんな男からすれば、わざと負ける……まだ終わってもない、決まってもいない勝負を投げるなど論外。


少なくとも、今迫る問題はフィリップ次第でどうとでもなる話。


であれば……らしくなくとも、吼えに吼えて……本気で、勝利へと手を伸ばすだけ。


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