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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第559話 出来る事は、ある

「ったく、まぁそこはどうでもいいか」


自身があまり人と思われていないことに関して一瞬だけイラついたイシュドだったが、直ぐにどうでも良いやと判断。


そしてフレアに伝えようとした言葉を続ける。


「王女様。あんたはただ、ヘレネが勝つことを信じてれば良いんだよ……まっ、あとあれか。こっち側に出来ることが一つだけあるぜ」


「それはなんですか!!!!!」


観客席で観ている自分にも、ヘレネの為に出来ることがある。


それを聞いたフレアは瞬時にイシュドに顔を詰め、教えてほしいと迫る。

その距離は……あと少し動けば、唇と唇が触れ合う程の距離。


それだけヘレネの勝利を願っていることは、十分伝わってきた。


だが、近い。


「近いっての。キスすんぞ」


「っっっ!!!! す、すいません!!!!」


指先で額を押され、強制的に距離を取らされたフレア。


キスすんぞ……そんな変態狂戦士の言葉に、無意識にその光景を想像して頬を赤くしてしまう。


「い、イシュド!!!」


「んだよ、デカパイ。俺は素直な感想を言っただけだろうが」


「そ、そういう問題ではありませんわ!!!!」


「ば~~~か。そういう問題なんだよ、男の性欲嘗めんなよ令嬢共……って、今そんな話どうでも良いんだよ」


ちなみに、一部の令息たちはイシュドの感想を耳にすると、小さく頷いていた。


彼らもフレアほどの美女があと少しでキス出来るほどの距離まで詰めてきたら……思わずキスしてしまう自信しかない。

女性の……王女の香りが鼻孔に漂い、豊満な果実が自身の胸に触れ掛かる。


思春期の野郎たちからすれば、超上等な香辛料が使用された最高級の焼き肉をぶらさげられた状態。

大抵の野郎たちであれば、咬みつくなという方が無理な話。


イシュドは精神力はあるが、別に貴族紳士的な部分が鍛え上げられている訳ではない為、気持ち的には全然そのまま押し倒したかった。


だが、変態狂戦士にも一応マナーとモラルが……そして、そうしてしまった後に降りかかる面倒な問題を考えられる理性はあった。


「こっち側が出来る一番大きいことっていやぁ、応援に決まってんだろ」


「あっ」


「祈るも良いが、応援する声が届けばやる気が更に出るってもんじゃねぇの?」


「……イシュド、あなた」


「もうその流れは良いっての、デカパイ」


実際のところ、イシュドもしっかり人間的なところはあり、強大な力を持つモンスターとタイマン勝負を行っている時、後方で見守っている騎士たちから声援を送られれば……イシュド自身は自分がただ勝ちたいから、強い奴との熱い戦いで勝利するために戦っているだけだが、それでも心の奥底から湧き上がる何かがある。


「俺から言えんのそんだけだ」


「……ありがとうございます、イシュド」


イシュドに感謝の言葉を告げると、フレアは最前列の席から腰を上げ、一歩前に進む。


「すうーーーー、頑張れーーーーーーー!!!! ヘレネーーーーーーっっっ!!!!!」


会場は劣勢だったフィリップが盛り返し、前年度の優勝者がその強さを知らしめようとしている流れに盛り上がり、声援を送っている。


ヘレネは悪人ではなく、悪い噂もない。

筋肉質なところはあるが間違いなく美女であり、野郎たちからも応援が飛びやすいはずだが……他国の人間である。


前年度優勝者というブランドも強く、多くの者がフィリップを応援しているため、彼女の声は届かないかもしれない。


それでも……彼女は何度も何度も、少しでもヘレネの為にと、彼女に勝ってほしいと願い、声援を送り続けた。








(っっ!!!! はぁ、はぁ……こんなに、的確に、正確に、動けるなんて)


遡ること数分前。

ヘレネはフィリップの動きに翻弄され続けていた。


フィリップはヘレネが振るう大剣、飛ばす岩石斬や土槍を全て掻い潜り、ヘレネのロックアーマーを纏っていない場所を正確に斬り裂いてくる。


確実にロックアーマーを纏っていない場所を狙ってくるならばと、敢えて隙を作って土槍によるカウンターをぶち込もうとするも、寸でのところで回避されてしまう。


フィリップの動きと止める、封じる為に対策しようとするも、悉くを上回られてしまう。

それならばその次の動きも封じるように……としたいところだが、残念ながらヘレネの腕は二本しかなく、大剣と同時に発動出来る土魔法にも限りがある。


どれだけこうすれば、こう対応すれば良いと頭では考え付いていたとしても、出来ることには限度がある。


「はぁ、はぁ」


「息切れてきたな……どうする? 降参しとくか?」


「はっ!!! そういうのは、つまらないお誘いってやつよ。それに……フィリップ。あんたも疲れてるんじゃないの? 汗、結構流れてるけど」


「今日は随分と暑いからな~~~」


解っている。

フィリップも自身が汗をかいている理由が普段より暑いから……たくさん動いているからなど、そんな単純な理由ではないとは気付いていた。


(集中出来てるから……集中してるから、だよな)


普段以上にヘレネの動きが良く見える。

未来が見えるとまではいかないが、それでもヘレネがどのような策を講じようとも当たる気がしない。


ただ、それはやはりイシュドたちの予想通り、スキルによるものなどではなく、フィリップの驚異的な観察力や集中力、眼からくるもの。


つまり……高まれば高まるほど、大きく集中力を消耗することになる。


(見た目ほど、焦ることはないって、ことよねッッ!!!!!)


まだまだ勝機はある。

そう思ったタイミングで……薄っすらとフィリップの雰囲気が変わるのを感じ取ったヘレネ。


次の瞬間、咄嗟に構えた大剣の箇所に、強い衝撃が走った。


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