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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第558話 俺も人だぞ

「とりあえず、なんでフィリップが強いのかなんとなく解ったろ」


イシュドの言葉に、周りの学生たちは……とりあえず頷いた。

ただ、理解は出来るが納得は出来ないといった表情を浮かべている学生が多い。


「あの、イシュドさん」


「なんだ、女王様。その説明だけじゃあ、納得できないってか?」


「いえ、そういうわけではありませんが……その…………」


「……へいへい、解ったよ」


どこまでフレアの意図を読んだのか……とりあえず、イシュドはまだ思い浮かぶフィリップの強さを語り始めた。


「平均以上の身体能力と読む力、そこに体幹の良さ。強味が三つも上手く重なってれば超強ぇって理解してほしいところだが…………そうだな。敢えて上げるなら、お前らとのスタンスの違い、だな」


スタンスの違い。

これに関しては、ミシェラだけではなく多くの学生たちが直ぐになんとなく理解出来た。


「あの男が、騎士の道に進むつもりがないから、ということですの?」


「大前提、そうだな。それに加えて、フィリップの奴はこの激闘祭で……特に優勝するつもりはない。勝っても負けても、悪くない思い出って感じの認識だろうな」


先程同じような内容を聞いた学生たちだが、再度聞くと「ふぜけんなクソが!!!」「だったら最初から参加してんじゃねぇよ!!!!」と怒りが爆発するものの、声に出すことはなく心の内だけで爆発処理していた。


「……イシュド。あなたの言いたい事はなんとなく解りましたわ。しかし、あのフィリップの行動は……試合に対して、どうでも良いというスタンスを取っている者のそれではありませんわ」


現在、どうしても自身の大剣や土槍を潜り抜けてくるフィリップを仕留める為に、狙われるであろうロックアーマーを纏っていない部分から土槍を生やすヘレネ。


だが、大剣の内側に入った瞬間、フィリップはそのまま突っ込まずに無理矢理バックステップを行い、カウンターの土槍を回避していた。


「私も、ミシェラさんと同じ意見です。フィリップさんのあの動きは……彼らしい緩さ、軽さも感じられますが、どこか負けたくないという思いも感じられます」


「解ってんじゃねぇの。問題っつーか要点はそこだ。あいつはこの試合に、そこまで命や運命を懸けるほどのあれはない。ただ、それでも……多少なりとも負けたくない男の意地ってのがある。って、さっき説明したか?」


負けたくない男の意地……そこの部分に、多数の男子生徒が隠すことなく大きく頷く。


「そこが、丁度良い塩梅になっている、と」


「そういうこった。だからこそ、他の連中より比較的広く視野を保ててる。さっきの……フレアの岩の鎧を纏ってない部分を狙った瞬間、土槍のカウンターをぶち込まれそうになってただろ」


「えぇ。正直、あれは当たると思いましたわ」


「だな。俺ももろに当たらねぇまでも、掠って初めてフィリップに攻撃がヒットするとは思った。けど、フィリップには俺らよりも早いタイミングで何かを感じ取れたんだろうな」


何か、という点に関してはイシュドも簡単に断定することは出来ない。


周りの学生たちも、そこは聞くべき点ではないのだろうと思い、自分たちで考え始めた。


(土槍を放つ……魔力の予兆? しかし、そういうのは特別な眼を持ってない限り…………そうですわね。このイシュドが時おり恐ろしいと感じるほどの読む力を発揮することを考えれば、あの男の眼は特別製だと考えても良さそうですわね)


ミシェラとしては、フィリップがヘレネの体に纏われている魔力や、内側になる魔力の動きを細部まで感じ取り、土槍によるカウンターを躱したのではないかと考えていた。


仮に眼が特別性だとして、それはフィリップ本人が元から持っていた特別な眼なのか……それとも、彼の何かしらの習性によって変化したのか。


そういったところまで考えることにより、学生たちは目の前で行われている試合に対する見方が大なり小なり変わってきていた。


「っ……ヘレネ…………」


イシュドの説明により、フィリップという人間が何故あそこまで強いのか、より深く解った。

いつも通り真剣に聞いてしまったが……フレアからすれば、自身の大切な護衛騎士候補が、友人が負けてしまうかもしれない要素を深く思い知らされ、不安が増す。


「見てる側がどれだけ狼狽えたって結果は変わらねぇ」


「っ、す、すいません」


「別に謝らなくて良いっての……そういう気持ちは解らなくもねぇ」


「……はっ!!!???」


再び観戦に集中しながらも聞き耳を立てていたミシェラの口から素っ頓狂な声が零れる。


「んだよ、デカパイ」


「な、なん、だよ、って…………イシュド、あなたに……そのような心が、ありましたの?」


「この野郎……俺も人だぞ」


「「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」」


決して……決してバカにしているわけではなく、ましてや見下しているわけでもない。

ただ、周りの学生たちから見ても、イシュドという生物は……人の形はしている何か、という印象が強い。


クソ強い乱暴な狂戦士かと思えば、教師よりも目の前の戦いについて説明してくれることもあり……もう、目の前の生物のことがよく解らなくなるという意味も込めて、彼らにとって……少なくとも、イシュドは普通の人だとは思っていなかった。



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