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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第557話 強味はなんなのか

SIDE イシュド


「っっ……フィリップの攻撃が、当たり始めましたわね」


先程までヘレナが有利な戦況だったにもかかわらず、ふとしたタイミングから急にフィリップが果敢に前に出始め、軽い切傷ではあるが……確実に攻撃を当て始めた。


「みたいだなぁ……………………試合が始まって、もう五分は経ったか」


「? おそらく経っていると思いますが、それがどうかしましたか?」


「時間的に、二人とも冷めた体が完全に温まってる筈だ。スキル使用の有無で差が生まれるだろうけど、体のテンションに関しては最高潮に達してる筈だ」


イシュドの言う通り、二人の体は既に温まっており、普段通りの動きを行えている。


これ以上……素の身体能力が向上するとすれば、それが限界突破した時だけである。


「だからこそ、フィリップの奴は見切り始めたのかもな」


「っ!? この時間で、ヘレネさんの動きを全て把握したと言うの!!??」


あり得ないと思いたい気持ちと、これまでの経験からあの男ならあり得なくはないという感情がせめぎ合うミシェラ。


もう……フィリップのことを認めていないとは言えない。

だが、今しがたイシュドが説明した内容に関しては用意に受け入れられなかった。


「鍛錬と本番の違いはあるだろうけど、普段から一緒に鍛錬はしてたんだ。ある程度解ってはいたんだろ。その上で、この試合の中で向き合うヘレネの雰囲気や身体能力にも慣れた……だから、後は攻めるだけなんだろうよ」


「……情報は揃った、ということですわね」


「感覚的な部分だろうけど、そういうこったな」


二人の会話を聞いていた周りの生徒たちは、内容は解るが理解は出来ずにフリーズ。


そんな中、一人の女子生徒がなんとか口を開き、二人に尋ねた。


「そ、その……であれば、ヘレネさんは……も、もう勝てない、と?」


接近戦を学んでいる学生たちであれば、イシュドやミシェラだけではなく、留学生のヘレネも実力者であることをよ~~~く知っている。


彼女たちから視ると、両者にそこまで大きな差があるとは到底思えない。


「別に俺は神じゃねぇんだ。ただまぁ、敢えて答えるなら……ヘレネがフィリップの予想を動きを上回る動き、攻撃をしないことには、現状を打破するのは相当難しくなったな」


「……あの男であれば、その予想を上回る行動や攻撃まで予想し、対処しそうなのですけれど……どうなんですの、イシュド」


「ふっ、おいおい。どうしたよデカパイ。今日はいつになくフィリップの事を認めてるじゃねぇか」


「うるさいですわ。からかうのは止めなさい…………ここで認めなければ、私はただのピエロですわ」


認めなければならない。

そうしなければ、前に進めずに置いていかれる。


ここ一年で、それが嫌というほど解ったミシェラ。

だからこそ……身体能力に大きな差はなくとも、総合的な戦闘能力……一対一の実力に関してはフィリップの方が上だと深く認識していた。


「はっ!!! 良いんじゃねぇの。負けん気は必要だが、それと事実を認めねぇのはまた話は別だ。んで、デカパイの考えだが……その可能性はあるだろうな」


「……イシュド、さん」


「ん? その……あいつの強みって、なんなんですか」


同級生なのだが、思わずさん付けでイシュドに声を掛けた男子生徒。


今でもまだ引っかかるところはあるが、彼らも否が応でも現実を受け入れなければならないと解っていた。


フィリップは、強い。


去年のトーナメント結果でも、今年も……自分たちが参加したかった激闘祭に連続で参加しており、今も国外の強者であるヘレネを相手に優勢な戦いぶりを見せている。


だが……ミシェラやイブキ、ガルフたちの様に明確な強さを感じられない。


恥ずかしい事に自分の眼だけでは解らないため、変態狂戦士であるイシュドに尋ねた。


「読む力が半端じゃねぇ、ってとこ意外の話か?」


「は、はい」


「…………防御力は置いといて、全体的な身体能力が平均値を越えてる。それだけで、相手がどういうタイプだったとしても、ある程度は対応出来るってもんだ」


「それは……なんとなく、解ります。ただ、それは相手を倒すほどの強みにならない、のでは?」


男子学生の言う通り、身体能力の平均値が高いということは、飛びぬけた部分がないとも言える。


フィリップの基本武器が短剣ということもあり、相手を倒すための攻撃力が欠けているところは否めない。


「一回戦とか二回戦を余裕で倒せたのは、単純なレベル差だ。満遍なく高いタイプだとしても、レベル差から生まれる身体能力が相手を上回ってれば、それだけで刺さる。んで、バカみたいに優れた読む力……これが重なり合えば、そこら辺の連中なら無傷で倒せる」


「「「「「「「「「「うぐっっ!!! ……」」」」」」」」」」


変態狂戦士の言葉により、質問した男子学生も含め、そこら辺の連中たちに見えない刃がグサグサと刺される。


「そこに加えて……あれだな。あいつは、体幹がかなり強い」


「バランス感覚、ということですの?」


「そうだ……あれだ、次フィリップがヘレネに攻撃を当てる瞬間を見てろ」


一旦解説がストップしてから数十秒後……再びフィリップの斬撃がヘレネのロックアーマーで覆われていない箇所を捉えた。


「っっ……体勢を、崩しながらも」


「そういうこった。ありゃ無茶して斬撃を当ててるわけじゃねぇ。あいつにとっては、あれが当たり前なんだ。そこが地味なように思えて、フィリップの強いところだ」


イシュドの説明を聞き、なるほど~~~と思う反面、やはりそれだけでは足りないのでは? という思いもあった。


しかし……現実として、そのバランス感覚が要因となり、ヘレネを相手に着実にダメージを与えていた。

納得出来ずとも、理解しなければならない事がある。


そこら辺の連中たちは……自然と、その現状を受け入れ、無意識に活用しようとしていた。


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