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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第554話 超上等な原石

「あくまで俺の予想ではあるが……フィリップの場合、去年の大会で優勝してっからな~~~」


今回の激闘祭に参加しているフィリップは、あまり乗り気ではないのではないか。


そんなイシュドの言葉を聞いたミシェラが、詳しく事情を説明しろと詰めた。

毎度のこと、変態狂戦士は軽くため息を吐きながら、あくまで自分の予想を説明し始め……その主な理由が、去年優勝しているから、というものだった。


「デカパイを倒してアドレアスを倒して……準々決勝か? で、ガルフとディムナがダブルノックアウトになったから、アドレアスとの試合が事実上の決勝戦になったんだな。んで、そんな時にフィリップが勝ってあいつが優勝した」


「「「「「…………」」」」」


今しがたイシュドが語った内容は、特に機密性が高い情報などではなく、学生たちであれば誰でも知っている情報。


周囲の学生たちも当然知っている筈だが……改めてその情報を思い出すと、真っ先に信じられないという思いが浮かび上がる。


あのミシェラを倒し、事実上の決勝戦では王子であるアドレアスまで倒した。


あの……フィリップが、である。


「? えっと……それほど、驚くようなことなのですか?」


周囲の学生たちが過去の出来事を思い出し、なんとも言葉にならない表情を浮かべているのを見て首を傾げるフレア。


それもその筈であり、フレアはイシュドと出会ってからのフィリップしかしらない。


基本的にちゃらんぽらんである……その点に関しては、確かにそうかもしれないという思いはある。

だが、強さという点に関しては非常に評価が高かった。


フレアは遠距離専門……魔術師であるため、基本的に接近戦組の模擬戦には参加していない。

それでも彼らの模擬戦光景は何度も観ていた。


それらを思い出す限り、最も勝率が高いと思われるのは……間違いなく、フィリップである。


そのため、何故自分よりフィリップのことを大なり小なり知ってるであろう学生たちが変な表情で固まっているのか、本当に解らなかった。


「随分と自堕落な生活を送ってたらしいからな。つっても、それでも持ってるもんは一級品だ。さっきも言ったが、あいつの読みは偶にマジで神がかってる。二次職も悪くねぇから、身体能力でがっつり劣ることはねぇ」


「センス……器用さも私たちの中では頭一つか二つ抜けていますわ」


日々の模擬戦の中で、フィリップは二次職で就いている職業、傭兵の特徴上、短剣以外の……それこそ剣だけではなく槍や斧などの多種多様な得物を扱え……当然、双剣を使うこともある。


そしてミシェラと模擬戦を行う際に、彼女のメインウェポンと同じ得物を使用。

その結果、ミシェラがなんとか勝利を収めはしたものの、フィリップの動きに何度か嫉妬を覚える場面があった。


「お前らがどう思ってるのかは知らねぇけど、あいつは普通に光る原石だったんだよ……つか、寧ろ既にある程度カッティングされてたか? 自分自身で錆びさせてたのかは知らねぇけど、抜刀しようと思えばいつでも抜刀出来る人間だったんだよ」


「「「「「…………」」」」」


残酷な言葉で表すなら、持って生まれたものが違う。

勿論、腐る前のフィリップ自身が積み重ねた研鑽もある。


だがそれ以上に……フィリップという男は、ゲルギオス公爵家の令息。

高貴な生まれであり、その血に流れる大きな才を間違いなく受け継いだ光り輝く原石である。


「じゃ、じゃ……俺らなんかは、どうすりゃあ」


この約一年間、フィリップは決して温くない環境で生活してきた。


その生活内容を考えれば、そりゃそこら辺の学生じゃ相手にならないよね、という強さに至れるのは当然。


しかし、フィリップが去年……激闘祭で優勝した際は、イシュドと出会ってからまだ半年も経っていない時期。

それでも彼は同じ参加者たちを蹴散らし、準決ではミシェラを……決勝戦ではアドレアスという強敵を討ち破って優勝した。


その事実は、これまで懸命に将来強い騎士に、魔術師になるために鍛錬を積んできた学生たちにとっては、どうすれば良いんだと膝を付きたくなる。


「気にしなきゃ良いんじゃねぇの? 別にこの先の人生でお前らがフィリップと関わることなんてそう多くねぇだろ」


「っっ……」


「って、勝手に語っちまったけど、そうなりそうか? デカパイ」


「そうですわね……おそらく、関係は薄まるでしょう」


「やっぱそうだよな。んじゃあ、世の中そういう奴もいるって割り切れば良いだけっつー話だ。別にフィリップの存在が原因でお前らの人生が狂わされたってわけじゃないだろ」


さすがの彼らも、そこまでは言えない。


ただ……一部の生徒たちに関しては、この変態狂戦士のせいで人生が狂わされたと断言できる。


「それで割り切れないんだったら、死に物狂いで頑張るしかねぇんじゃねぇの?」


「あなたがいつも言っている、本当の意味で本気であるならば、一切の躊躇いなく積み重ね続けることに集中できる……それが出来ないのであれば、それは本当の意味で本気の心を、意志を持っていないというやつですわね」


「そういこった。まっ、てめぇらの人生はてめぇらのもんだ。好きにやれっつー話だ」


「「「「「…………」」」」」


解らない。


周りの学生たちは、イシュドという存在がますます解らなくなる。

ただ……悪い気はしなかった。


「って、イシュド。まだ説明が全て終わってませんわよ!!」


「あぁ~~~、クソが……もう良いだろ」


「よくありませんわ!!」


だが、本題はどうしてフィリップが今回の大会に乗り気ではないのか。

その説明はまだ半分ほどしか行われていなかった。


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