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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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552/574

第552話 ただ、勝利を掴むだけ

「それでは…………始めッッ!!!!!」


気合の入った声と共に腕が振り下ろされ、第三準々決勝が始まった。


「シャァアアアラッッ!!!!」


まず動き始めたのはヘレネ。

初っ端から強化系のスキルを発動し、所々に土甲を纏っていた。


「ぅおい、おい!! 初っ端から、飛ばし過ぎなんじゃあ、ねぇの、かっ!」


「はっはっは!!!! 私なりに、色々、考えはしたけ、どッ!! あんたみたいな、策士相手に、あれこれ考えた方が、逆に、ヤバいと思ってねッッ!!!!」


重さを感じない速さで振るわれる大剣。


ガルフやダスティンであればまだしも、フィリップの様な見た目通りひょろっちい男がまともに受ければ、ガード下腕ごと粉砕されてしまう。


(ちっ! 腐るほど、解ってたつもりだけど、やっぱり……練習と本番は、違う、な)


これまでフィリップは何度もヘレネと模擬戦をしてきていた。


時にはスキルの使用ありの模擬戦、試合も行っていた。

そのため、今しがた感じている圧を受けるのは、初めてではない……筈だった。


「ははっ!! どうした、よッ!!! そんなもんじゃ、ないでしょ!!!!!」


「さ、あ……どうだろう、な。てか、そんなかっ飛ばして、たら、直ぐにスタミナが、尽きるんじゃ、ねぇの!!!」


「そうなる前に、お前を仕留めるだけだッ!!!!!」


ヘレネは、決してフィリップという同級生のことを嘗めているわけではない。


それこそイシュドと同じく、フィリップと模擬戦などを行っている際、ときおり完全に自分の動きを読まれていると感じることがある。


こっそり視るようなことが出来るわけがなく、もしかしたらそういったスキルを有しているという可能性も考えられる。

しかし、そうでないのであれば……ヘレネからすれば、ガルフ以上の末恐ろしさを感じる。


(悪いが、その手には、乗らないぞッッ!!!!!)


ときおり恐ろしいほど正確にカウンターを決めてくるフィリップ。


フィリップの場合、ただカウンターが上手いだけではなく、隙を見つけてサクッと突いてしまうのも上手い。


現状、フィリップとヘレネはステータスをグラフにすれば、確かに色々と大きな差はある。

それでも、数値化して合計した場合……そこまで大きな差はない。


なんなら、ヘレネから見ておそらくスキルではなく、フィリップ自身のセンスや優れた感覚によって読むことが出来てるであろう力を考えれば、自分よりも一回り上だと捉えている。


そのため、スキルや魔力を纏うことで生まれる差をそのまま放置していれば、間違いなくそこを起点として突かれ、一瞬で持っていかれてもおかしくないと考えていた。


「ふんッッッ!!!!!!」


「っと、っ!! 器用なことすんね~~~」


フィリップをぶった切る、と見せかけて大剣がリングに当たった瞬間、フィリップ目掛けて石の槍が地面から噴出。


丁度フィリップが逃げた先に生えていくも、フィリップは一瞬だけ脚力を強化し、なんとか串刺しにならずに済んだ。


「簡単に避けといてよく言うよ」


「どうかなぁ~~~。少なくとも、完璧に逃げ先を読まれたのは、ちょっと驚かされたぜ」


嘘ではない。


体の向きなどからある程度相手が逃げる先を予想することは出来る。

しかし、フィリップの記憶ではそういったことが得意なのはヘレネではなくルドラだった。


得物を地面に突き刺し、属性による槍を生やして相手を貫く……その技のチョイスもあり、脚力の強化が遅れていれば、少なくともリズムに嫌な乱れが生じていた。


(あの大剣……邪魔くさいなぁ)


スピードでは、フィリップが勝っている。

しかし急接近したとしても、完全にヘレネに試合を有利に進められるほどのダメージを与えられる気がしない。


(んな事言ってたら、なんてのは百も承知なんだが……難しいもんは難しいし、な)


どうやって攻めようかと考えながら、さらっと短剣から雷の斬撃波を飛ばし始めたフィリップ。


一本だけなので、ミシェラほどの手数はないものの、切れ味に関しては負けていない。


「そんなんじゃあ、止まらないよッッ!!!!!!」


両腕や腹に纏ったロックアーマーを盾に、雷の斬撃波をものともせずに突き進んでいくヘレネ。


全く効かないという訳ではないが、雷魔法と土魔法とでは、土魔法の方が属性相性的には有利。


ヘレネの慣れもあり、ただの雷斬波程度では頑丈なロックアーマーを突破し、彼女の体を傷付けることは出来ない。


(あぁ~~、そこら辺はやっぱり解ってるよな~~~~)


再び距離を詰められ、位置関係的にフィリップがリングの端に追い込まれるが、なんとかヘレネの大斬を躱して位置を逆転。


「ふぅ~~~、危ねぇ危ねぇ」


「…………余裕、って感じね」


ヘレネとしては、フィリップが自身の脇を抜けて位置関係が逆転した時点で、即座に攻撃が飛んでくると思い、身構えていた。


だが予想に反し、フィリップはせっかく手に入れた位置関係を利用して攻めることなく、呼吸を整えるように軽いステップを踏むだけ。


「そんなことねぇぜ? これまでの試合と違って、勝利への道筋が全く見えなくて超焦ってるぜ」


「ふ~~~ん……じゃあ、ちゃんと焦ったかを、見せてもらおうかしらッ!!!!」


嘘か本当かなんて、どうでも良い。


ただ、勝利だけを掴めれば良い。

まだ試合は序盤も序盤……ヘレネがイシュドたちと共に行動するようになり、向上したのは技の腕前だけではない。


魔力の使用配分に問題はなく、まだまだフィリップをぶっ潰す大斬が何度も何度でも……勝利を掴み取るまで迫り続ける。


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