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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第551話 本当のめんどくさがり屋なら……

「それで、あなたはどちらが勝つと思ってますの」


自分は答えたから、お前も答えろと返すミシェラ。

周りの学生たちもミシェラの考えも知りたかったが……なんだかんだで、学生の中で最強であろうイシュドの考えも知りたかった。


「さぁ…………どうだろうな」


「なんですの、その曖昧な答えは」


「ルドラも良い感じに予想を上回ってきたんだ。ヘレネが同じように上回ってきてもなんらおかしくねぇだろ」


「それは否定しませんわ。けれど、フィリップには視る眼が……読み切る力があるでしょう」


そういったスキルをあるわけではない。


フィリップ本人がそう言ってるだけで確証はないものの、そういった点で噓を付くようなことはしないと、ミシェラは部分的に信用している。


「あるな~~。あいつの読み具合、偶にマジで恐ろしいからな」


「「「「「「…………」」」」」」


周りの一部の学生たちは、一瞬……イシュドが何を言っているのか理解出来なかった。


(恐ろしい…………今、恐ろしいと言ったのか?)


(この狂戦士が恐ろしいって……え?)


(…………恐ろしいって……言ったのよね)


彼らにとって、目の前の変態狂戦士は十分過ぎるほど恐ろしい存在。

そんな狂戦士が、フィリップに対して恐ろしいと口にした。


その言葉に、恐怖や嫉妬などの感情は乗っていない。


それは学生たちもなんとなく解っているが、だとしても……全てが嘘ではなく、本気の感情もあることは解る。


だとしても、あのイシュドがフィリップに対して恐ろしいと口にした事実を受け入れるのに、少々時間が掛かった。


「偶にではあるけど、未来が見えてんのかってぐらい綺麗にカウンターを取りに来るからな」


「……あなたとしては、将来的に一番恐ろしいと感じているのは、フィリップかしら」


「そうだなぁ………………こっから先、あいつが何を手に入れるか次第ではあるが……そうなる可能性は、ゼロじゃねぇな」


「そうですのね」


一番恐ろしいと感じる候補の中に、自分はいない。


イシュドの言葉から彼の心情を察しても、ミシェラの心が乱れることはなく、過去を思い出しながら淡々と事実を受け入れる。


「ただまぁ、ヘレネはヘレネでなぁ…………真正面からぶっ壊すってんなら、闘気抜きだと今んとこころあいつが一番じゃねぇの? 攻撃力だけならぁ、ダスティンパイセンに負けてねぇだろうし」


「「「っっ!?」」」


他学園の先輩ではあるが、昨年の激闘祭二年の部で優勝を収めており、元から令息令嬢たちの中では有名な槍使いの令息であり、殆どの学生が彼のことを知っている。


そのダスティンに攻撃力なら負けてないという言葉に、学生たちは大なり小なり驚いてしまう。


「大剣を使ってるからってだけじゃねぇのもあっけど……後はまぁ、魔力操作の技術も上がってるし、フィリップも最後まで読み切らなきゃ、どっかでぶっ壊されてもおかしくねぇ」


「魔力操作…………っ、なるほど。そういうことですのね」


「おっ、解ったか? つっても、そうなる前に試合が終っちまうこともあるだろうから、どういう流れるになるかは、結局始まってみねぇと解らん」


言い終わると、足を組み替えて視線をリングに集中させる。


丁度一年生の第三準々決勝が終わった。


「「「「「「「「っ……」」」」」」」」」


どうなるか解らねぇ。

だから、後は黙って見てろ。


本人はそんな言葉を口にしてはいないが、彼の姿から……零れる圧から勝手に感じ取った学生たちは、一気に静かに口を閉じ、リングへと視線を集中させた。


因みにこの時、ミシェラがイシュドたちに元に近づく、勝手にイシュドの隣に座っていた学生は立ち上がった結果……ミシェラはその空いた席へ腰を下ろした。


傍から見ると、イシュドが贅沢にも両手に美しぃ華状態になっているのだが……イシュドは完全にリングへ現れたフィリップとヘレネだけしか視界に入れていなかった。







「今更だけ、あんたとこういうところで戦えるの、楽しみにしてたよ」


「おっ、マジ? 別に俺、ガルフたちみたいにレアキャラって感じじゃないと思うんだけどな」


両者、リングへ上がってから軽口を躱し始めた。


表情を見る限り……二人とも、緊張の色はない。


「ふっ、止めなって。他国ではあるけど、私だってちゃんと社交界には参加してたし、同年代たちと偶に行う合同訓練会にだって参加してたんだ……そういう機会で、普段は合えない大人たちとも出会えた」


嘘だとは思っていない。


ニヤニヤヘラヘラダルダルと笑うフィリップの姿も、彼の本当の姿である。


だが、半分は嘘である。

正確には……不本意にも、そういった感情を抱えている。


少なくとも、ヘレネ・ブレヴァラはそう捉えていた。


「だから、あんたがただのめんどくさがり屋じゃないって解るんだよ」


「おいおい、そりゃ俺のこと買い被り過ぎだっての」


それでも、フィリップ本人は自分はそんな人間ではないと、見た目通りの人間だと語る。


昔から知っている人物であれば、やはりそうなのかと思ってしまいそうだが、ヘレネはここ一年以内にフィリップと出会った人間。

そんな彼女だからこそ、冷静に解ってしまうところがあった。


「ふふ、言っておくけど。本当に……悪い意味でのめんどくさがり屋はね、あんなぶっ飛び過ぎた狂戦士と一年以上も関わったりしないんだよ」


「……いや、そりゃ卑怯ってもんじゃねぇの?」


フィリップとしてはそんなつもりがなくとも、そう捉えれてしまうのも理解できてしまい、否定も肯定も出来なかった。


「二人とも、そろそろ試合を始めるよ」


「う~~~っす」


「はい」


ただ……リングに上がってから、男は一度もこの試合に勝つ気がないとは、口にしていなかった。

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