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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第545話 真の騎士だ

SIDE イブキ、ルドラ


(こ、こッッ!!!!)


自分の方が上手……そう思っていた打撃戦で、予想以上に粘られ、ときおり手痛い攻撃を食らってしまう。


イブキは真剣白刃取りの時と同じく、高速で繰り出される拳打の一つを見極め、掴み取ろうとした。


「っ!?」


(あなたなら、そうすると思いましたよっ!!!!)


本気で放った……それは、間違いない。


だが、ルドラは理解していた。

イブキの一撃を見極め、捉える能力は一級品だと。


その素直に認める心が、本気で放つ拳打とフェイントを両立させた。


ルドラの本命は右拳ではなく、横っ腹を狙った蹴り。

対応を見誤れば肋骨が砕け、そのまま内臓へと突き刺さり、一気に終幕まで持っていく。


(堅、めるんだっっっっ!!!!!!!)


しかし、今のイブキにはどんな状況、劣勢であっても諦める……敗北を受け入れるという考えが消えており、現状に対してどう対処すれば良いかという意思しかなかった。


その結果、イブキの体はルドラの右拳を受け止めようとした体勢のまま……全身を固めた。


(なっっっ!!!!!?????)


魔力を纏っていようが関係ない。

確実に決まると、肉を叩いた感触が伝わると思ったその蹴りは、振りぬくことが出来なかった。


それどころか……人の体を蹴った感触がしなかった。


その理由は、不格好であり、不完全ではあるがイブキが武技スキルレベル四の技……三戦。


本来は特定の動作で発動し、肉体の強度を一時的に高める防御技。


イブキはまだ会得していなかったが、土壇場で不完全ではあるが発動に成功。


「ふっ!」


「っっっ!!!!????」


そして、守って終わりではない。

絶対に勝つぞという燃え叫び続ける意思が体を動かし、ルドラの足を両手でがっしりと掴んだ。


(これで、終わらせるっっっ!!!!!!!!)


場外に投げ飛ばす、なんてことはしない。

そんなことをしても、ルドラであればなんとか着地、対応して最悪……ノーダメージで終わってしまう。


そこでイブキが取った行動は……そのまま一回転して跳躍。

空中でも回転しながら、ジャストタイミングで……地面の一本釣り叩き。


「っっっっっっっーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!! っ、ァ…………」


ルドラはルドラで、足を掴まれ……振り回された瞬間に、自分が何をされるのか悟った。

だからこそ、全力で後頭部を守った。


両腕で抑え、魔力もそこに集中させた。

叩きつけられる瞬間には背中に溜めた風を噴射し、少しでも叩きつけられた際の衝撃を和らげようとした。


ナイス咄嗟の判断であり、やれることは全て行った。


それでも……ただ叩きつけるだけではなく、回転で加算された威力……イブキの腕力がそれらの対策を上回り、リングに亀裂が走るほどの一本釣り叩きをぶちかました。


結果……あまりの衝撃に数瞬だけ意識は覚めるも、次の瞬間にはこと切れていた。


「はぁ、はぁ……」


「っ、そこまで!!!!! 勝者、イブキ・アカツキッッッッ!!!!!!!!!」


「「「「「「「「「「「「「ーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」


先程まで限界を越えんとする盛り上がりをみせていた観客たちが、本日何度目になるか解らない限界突破を果たし、歓声を腹の底から伝える。


動きが少なくとも観客たちに確かな緊張感を与える戦いから、超接近戦による剣戟に、最後は最も観客たちを沸かせる格闘戦を繰り広げた二人。


観客たちに全ての興奮と驚きを伝えるほどの内容であった。


当然、観客席にいるイシュドとフレアも二人に拍手と称賛を送っていた。

ただ……そんな歓声の嵐の中、どよめきが広がりだす。


「………………………………」


「な、なぁ、あれ」


「あ、あぁ……倒れたんじゃ、なかったのか」


観客たちの視線の先にいるのは……惜しくも敗れたルドラだった。


彼は、イブキの一本釣り叩きによって、意識を暗闇の中へと持っていかれた。

その意識は、今も戻っていない。


表情を見れば、観客たちであってもそれが解る。


にもかかわらず……彼は、ゆっくりと……なんとか、その身を起こした。


(なっっっ…………これは、いったい)


真正面にいるイブキも、ルドラの表情から彼が意識を失っているのは解る。

勿論目に意識の光もない。


それでも、彼は立ち上がるだけではなく、一歩を踏み出し……また一歩、踏み出す。


完全に意識が飛んでいるにもかかわらず、ルドラは無意識に起き上がり、対戦相手だったイブキの元へと近づく。


「…………………………」


「っ…………ルドラ。あなたは、真の騎士だ」


ルドラは、まだ騎士ではない。

あくまでフレアの護衛騎士候補。


それでも、イブキはルドラのことを真の騎士だと断言した。


(フレア殿……あなたの騎士は、本当に素晴らしい。是非とも、誇っていただきたい)


声には、出ていない。

だが、ルドラはイブキに近づきながら、ゆっくりと口を動かした。


絶対に、フレア様を、守る……と。


「あなたと本気の戦いが出来たことは、生涯私の記憶に残り続けるだろう」


「………………」


なんとかイブキの元まで近づくも、ぷつりと糸が切れて崩れ落ちる。


彼女はそんな真の騎士を受け止め、駆け付けていた治癒師へと渡し……勝者として、リングから去るのだった。



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