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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第533話 未完も未完

「破ァアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!!!!」


全身に旋風を纏い、ガルフとの距離を詰めていくミシェラ。

その全身から溢れ出る気迫は……殺気。


基本的に、試合で殺しは御法度である。


ただ、学生が戦意や怒気を越えて殺気を放つことは、決して珍しいことではない。


加えて試合を務める審判の多くが現役の騎士、もしくは立場上引退しているが、一流であることに変わりない者たち。

そのため、ミシェラが本気でガルフを殺そうとしているのではなく、あくまで倒すためにその気になっている……殺気を放っているだけだと把握していた。


「っ!!」


冷静にロングソードに闘気を纏わせていたガルフは迫る一撃目を躱し、二撃目に合わせて斬撃を叩き込もうとした。


だが、タイミングがズラされ、ミシェラだけではなくガルフの体まで押された。


(っ、今、加速!! した、のかっ!?)


タイミングがズレた理由を即座に解明したガルフ。


ミシェラは全身に旋風を纏い、一部からジェット噴射を行うことで、ガルフのタイミングをズラしていた。


(まだまだぁあああああああッッッ!!!!!)


通じた。

自分だけが押されるのではなく、ガルフも同じく押されたことで確信を持ち、果敢に攻め始める。


(冷静に、冷静、にっっっっ!!!)


今度は自ら距離を取ろうとしたガルフだが、即座に詰められ、剣戟を強制される。


ガルフは既に闘気を纏っているが、それでも脚力……スピードだけならば、旋風を纏い、ジェット噴射で加速するミシェラが勝る。


「ッ!! 疾ッッ!!!! っっ!!! せぇええ、あああああッ!!!!!」


「っ、ちッ! っ!!?? ぐっ、ぁあああああああアアアッッ!!!!!」


ジェット噴射は距離を詰めるだけではなく、接近戦でも十分に威力を発揮。

寧ろ、接近戦でこそガルフを苦しめる。


僅かなタイミングをズラすため、風斬を加速させる。

細かなステップの際も加速を行い、とことんガルフのリズムを乱し、主導権を握り続ける。


そしてガルフも先程の距離を一瞬で詰められたことから、下手に距離を取ろうとせず、互いのクロスレンジで得物をぶつけ合う。


冷静に、冷静に対処しようとしていたガルフだったが、ミシェラの殺気が……闘争心が、そのままでいることを許さず、無理やり接近戦という火事場に引きずり込んだ。


(っ!? これ、は……ただの、二刀流じゃ、ないっ!!!???)


あと一歩のところでガルフの顎を割いていた風斬は……彼女の双剣ではなく、脚から放たれた。


双剣と両脚の四刀流。


未完も未完の技術である。

しかし、それでもジェット加速と同じく決して積み重ねていない、マジのぶっつけ本番技というわけではない。


ただ……それでも未完の技。


体が宙を舞えば、その間に斬撃を叩き込まれてしまうが、そんなことはミシェラも理解していた。


「くっ!!!」


両脚が地面に付いてない瞬間に即座に加速し、強制的に脚を……最悪、手を地面に付ける。


それさえできれば、再度斬り掛かるだけで良い。


当然、練度がまだまだ足りないこともあり、上手く着地出来ずに体を痛めてしまう。

だが……その程度のこと、今のミシェラにとっては心底どうでも良かった。


全ては目の前の強敵から勝利を掴み取るため。


(絶対に、逃がしま、せんわっ!!!!!!!)


最終目標は、あの変態狂戦士をぶった斬ることである。


しかし、今最優先すべきは、己の全てを使い切り……目の前の強敵をぶった斬ること。

本気で、心の底から勝利を渇望しているからこそ、友人であろうとも殺す気で風刃を振り下ろせる。


たとえ……多くの民衆の前で獣の様な戦いぶりを見せようとも、ひたすらに風刃を、風脚を振るう。


「せぇえええあああああああーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!」


ここで勝たなければ、何も始まらない。

そんな彼女の魂の叫びが……明確に、ガルフを押していく。


「い、いけえええええええええええええ!!!!!」


「そこですわ!!!!!」


「良いぞ嬢ちゃんっっ!!!!! そのままやっちまえ!!!!!!」


獣の様な戦いぶりに、はしたない……騎士ではない。

そんな言葉が零れるよりも先に、彼女への声援が飛び交った。


本気で勝利を望む彼女に勝ってほしい。

途中まで平民であるガルフのことを応援していた者たちまで、ミシェラの背中を押し始めていく。


勿体ないことに、彼女の耳にはその変化は届いていなかった。


ただ……感じていることはあった。


序盤から中盤までとは異なり、一つ……また一つとガルフに切傷を与え、明確に勝利のビジョンが見えつつある。


とはいえ、決して勝利への道筋が確定したわけではない。

全身に旋風を纏い、何度も何度もジェット噴射を行うことで魔力の消費速力は一気に加速。


そして戦況が好転しようと、闘気を纏ったガルフの攻撃が致命傷足り得る事実は変わらない。


(このまま、ぶった、斬りますわッ!!!!!!)


腕でも良い……足でも良い。

どれかを斬り落とすことが出来れば、その時点で勝負は決まる。


「ーーーーーーーッッッ!!!!」


(くっっっ!!!!!)


だが、次の瞬間……ガルフから発せられる圧が変わったと感じた直後、ミシェラの双剣が……ガルフの左腕に突き刺さった。


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