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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第532話 憧れを追わない

SIDE ガルフ、ミシェラ


(凄い……前に、進めない)


絶え間なく降り注ぐ風斬と風弾の嵐。


今のガルフであれば、魔力を分厚く纏うことで無理やり突破できるが……ミシェラは非常にいやらしく攻めており、ガルフが狙われて嫌な箇所を……魔力を纏っていてもダメージを受ける箇所を狙っていた。


今のところ躱し、身を捻り、魔力を纏ったロングソードで弾き、ノーダメージの状態を保ち続けてはいるが……打破する術が思い浮かばない。


(……どうしたら良いだろう)


性格には、現在の状況を打破する術はある。


しかし、この後の事を考えると、無駄に闘気を消費したくない。

今回の試合のやり取りから、ミシェラには自身が瞬間的に闘気を扱うタイミングを見抜かれている可能性が高いことを把握していた。


(けど、このまま風斬を、風弾を……放ち、続けていれば、ミシェラさんも、危ない、はず)


最初こそ驚かされたガルフだが、これまで選抜戦を利用して研ぎ澄ませてきた甲斐があったのか……冷静に、落ち着いて対処できるようになっていた。


明確な……効率的な突破口は見えないものの、それでもガルフが考える通り、細かい風弾と風斬を放ち続けるミシェラの魔力も……ガルフより多いというだけで、圧倒するほどの魔力量はない。


このペースが続けば、先に彼女の魔力が尽きる。

そうなれば魔力消費による疲労が体を襲い、一気に形勢が傾く。


(…………っ……さっきまで、多分……攻め、過ぎた……それな、ら)


ガルフには、特に誇るものがない。


スピードもパワーも、経験則なども……特に、自慢するものはない。

だからこそ、この試合で主導権をミシェラに握られていると、素直に認めた。


途中までは果敢に攻めていた。

それでも結果として全ていなされ、力を込めて叩き込もうとした斬撃も……闘気の斬撃波も交わされてしまった。


(勝つん、だ……僕、は……イシュドじゃ、ない。だから、冷静に……捌いて、捌い、て……捌き切る)


ガルフも出来ることなら、親友の様に無理やり力づくで戦況を打破したかった。

だが、彼の隣に立つのが目標だからこそ……まだ到達してないことを身に染みて理解している。

だからこそ、無理やり打破するのは得策ではないと断言できる。


熱くなりすぎず、闘気という絶対的な切り札に頼らない冷静な立ち回り。

人は消極的な対応に不満を持つかもしれないが……熱くならず、憧れを追わない立ち回りは、ガルフの明確な成長とも捉えられる。






(っ、少しはダメージを与えられると、思ってたのだけれど……ここまで、当たらない、なんて)


器用に風斬と風弾を放ち続けるミシェラは、狙い通りガルフを離れた場所に縫い留めることが出来た。


当然、それだけでは終わらず、そこから試合を終わらせるために攻め立てる算段はあった。

あったのだが……ミシェラの予想以上にガルフが冷静さを取り戻すのが早かった。


(イシュドを、目標にしていながら……全てを、同じように目指すつもりは、ない……という証拠、なのかしら!)


現在ミシェラがガルフを離れた場所に縫い留められているのは、彼が闘気を使用していないから。

闘気を纏っていれば現在放っているような風斬や風弾は当然ダメージにならず、護身剛気を纏われようものなら、普通の風斬波を放ったとしてもダメージを与えられない。


加えて、今のガルフからはただただ迫る遠距離攻撃を冷静に対処し続け、反撃の機会を窺う……狩人の様な冷静な雰囲気を纏っていた。


その姿は、ガルフの親友であり……彼が目指す男のそれではない。


(……このままでは、私が、不利ですわね)


認めた。

彼女はこの状況が続けば、自分の方が不利になると認めた。


貴族令嬢である彼女の魔力量は多い。

魔剣士ではなくても、その魔力量は並ではない。


ただ、このまま留める為だけに風斬風弾を放ち続けていれば、いざという時の……決める為の魔力まで底をついてしまう。


そうなれば、どう頑張っても巻き返すことは出来ない。


(……すぅーーーー……はぁーーーーーーーーー…………認めたなら、後は実行するだけですわ)


彼女は認めた。

このままでは自分が負けると。


ガルフと同じく、ミシェラも冷静に風斬風弾を対処し続けるガルフを相手に、これといった明確に仕留められるイメージが湧かない。


それは……彼女にとって、特に珍しいことではなかった。


そう…………ミシェラは、ガルフの事を認めた。

貴方は、あの変態狂戦士と同じだと。


ただ邪魔するならぶった斬る、では生温い。


殺す気で……挑む。


(いきますわよ……ガルフッッッッ!!!!!!!!!!!!!)


強敵だと、明確に格上だと認めた相手に、ミシェラは文字通り全身全霊で仕留めにいく。


「破ァアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!!!!」


(この、気迫はっっっ!!!!!)


接近しながらも風斬風弾は放ち続ける。

違うところがあるとすれば……ミシェラは一部だけではなく、全身に旋風を纏わせていた。


本気であった。

そして……どういった意味で本気となったのか察したガルフは冷静にロングソードに闘気を纏い、強敵から勝利をもぎ取らんと得物振るった。


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