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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第521話 変わった

「相手がガルフ、お前の前に立つ意味を理解していないということだ」


「………………?????」


ガルフはディムナが口にした言葉の意味を考えるも、目の前の友人? が何を言ってるのか全く理解出来ない。


「お前の前に立つということは、俺の前に、アドレアスの前に立つこと同義ということだ」


「えっと……そ、それは……その、どうなんだろう」


ディムナは侯爵家の人間であり、アドレアスにいたっては王族。

そんな者たちと同義であるとは、恐れ多くも思えないガルフ。


「……少なくとも、リングの上では同義だ」


「ふふ、それは私も同じ考えかな…………うん。多くの人は、解っていない」


アドレアスが一番印象に残っているのは、仲間を守るためにミノタウロスの前に立ち、護身剛気を纏いながら強烈な一撃に立ち向かう姿。


(ガルフ君は、あれほどまでに強大な敵に立ち向かえる勇気と覚悟を有している。そして……当然、あの頃よりも更に強くなっている)


少なくとも、防御力に限ればBランクモンスターと渡り合えるほどの堅さを有している。

ガルフと対峙するということは、そういう事である。


「だからこそ、何も気にする必要はない。そこで更に闘志を燃やせないのであれば、敗れた相手はそれまでの人間ということだ」


「ひゅ~~~~、厳しいこと言うね~、ディムナ」


「……当然の事を口にしたまでだ。今後の人生が懸かった試合であるというのは俺も理解しているだが……死ぬことはないのだぞ」


死ぬことはない。


不運はあれど互いに必死で、全力で戦った結果起きてしまった不慮の事故であればともかく、強くても自らの意思で試合という場で……本気で相手を殺そうとする者を、騎士団は選ばない。


「ただ、負けただけだ。なのに、更に強くなろうと……己を高めようという道に至らない者に、騎士が務まるのか」


「ぶっ、だっはっはっは!!!!!!!!!!」


真面目に……本当に真面目に語っていたディムナの言葉に、多数の学生がグサグサと見えない刃で刺されている中、フィリップは抑えることなく笑った。


その光景に、心やプライドが切傷だらけになっている者たちは一気に顔が青ざめる。


もしかしなくても、場外乱闘が起こるかもしれない。


「…………」


だが、多少なりとも付き合いがあるディムナは、フィリップが自身の考えを心の底から笑っているわけではないことは見抜いていた。


「いやぁ~~~、まさかお前がそんな事を考えてたなんてな~~~……んで、それは本心か?」


「…………」


「ぶっちゃけた話、自分が同世代で例外を除いて、トップじゃないことが気に入らないとかじゃないのか?」


「……ふっ」


フィリップの言葉に、小さな笑みを零す貴公子。


「そうではないが、そういった願望はある……フィリップ、お前はともかく……ミシェラやイブキ、アドレアスはそうなのではないのか?」


「「「………………」」」


無言。

しかし、否定がないというのが答えだった。


「俺たちの向かう先は、そこだ。では、そうではない騎士たちはどうするべきだ」


「俺に問うなよ。まっ、いちいち凹まれてたら、守られる平民たちからすれば、なんとも頼りない騎士様って感じで、本気で守り、斬り裂く騎士や壁を生み出して守り、焼き尽くさんとする魔術師たちからすれば、信頼して背中を預けられない……唾を吐きかけたくなるような存在なんじゃねぇの」


「そういう事だ。そこを、目指さなければならない」


「ディムナ……」


「アドレアス。言っておくが、俺はお前の目的など知らん。ただな……己の努力不足で口だけは達者の者を、俺は嫌う。それだけだ」


イシュドという変態狂戦士と出会い、レグラ家が治める魔境を知る……ガルフという平民を知る前から、ディムナにとってそういった者たちは、唾棄する存在であった。


「そういう事だ、ガルフ…………それでも、お前たちは何か口にするのか?」


「「「「「「「「っっっ!!!???」」」」」」」


ディムナにとって、同じサンバル学園の学生であっても関係ない。

彼の中で、サンバル学園の中でも同士と呼べるのは三年生のダスティンぐらいなもの。


他の者たちには基本的に興味はなく……逆らうのであれば、異議を申し立てるのであれば、喜んで真っ向から対応する。


(変わったねぇ~~~、ディムナの奴。マジでガルフのことを気に入ったんだろうな……いや、あいつの中で考えが変わったか?)


(なんとも、嬉しい変化だね。幼い頃から知っている身としては、本当に嬉しいよ)


(変わりましたわね…………とはいえ、ガルフしか眼中にしかないのは少々気に入りませんけど)


(イシュドも惹きつけるものがありますが、どうやらガルフもイシュドとはまた違って点で人を惹きつけるようだ)


ディムナを知っている身としては、嬉しく思う変化だが……ミシェラにとっては、自分たちの存在を認識こそすれ、最終的な目標はガルフと戦うことに、ほんの少し思うところがあった。


(あの、ディムナさんが………………もっと、注視しなければならない存在のようですね、ガルフ先輩)


控室には、各学年の一年生たちもおり、アドレアス、ミシェラを慕うルーディやセレイスたちもいる。


そんな彼らにとって……ディムナ・カイスという人物は非常に強く、冷酷で、群れず孤高の人間といった印象が強かった。


既にルーディたちもガルフという存在を見下してはいなかったが、それでもあのディムナがガルフという存在を気にし、庇うという姿はまだ短い彼らの人生の中で、上位に入る衝撃だった。


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