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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第516話 任せてみたくなる

「ってことがあったらしいぜ」


訓練場に到着したイシュドは、早速バイロンから伝えられた内容をガルフたちに話した。


「そ、そんな事になってたんだ……はぁ~~~~~、バイロン先生たちに迷惑かけちゃったな」


原因の発端が七割ぐらい自分だと自覚しているガルフは目に見えて落ち込む。


ガルフだけではなく、ミシェラやイブキなども少々落ち込んでいた。


「別に気にしなくて良いんじゃねぇの? 確かに教師は親じゃねぇけど、生徒の尻拭いも仕事だろ」


「それは…………いえ、それはどうなのかしら」


確かにそうなのだろうか、と一瞬納得しそうになったミシェラ。

だが、直ぐにそれは教師にとって過剰業務ではないかと思った。


「基本的に教師の方々の仕事は私たち学生に教えることですわ」


「だろうな。だから結果的に、先生たちがバカな学生たちにお前たちがやってることは、ただ自分が無能なんですと宣言して恥を晒してるだけなんですよ、って教えたんだろ」


「…………結果そうなったとしても、原因をつくってしまたのは私たちでしょう」


ミシェラもガルフほど露骨ではないが、選抜戦で相手の攻撃をなるべく紙一重で躱し……逆に躱せるのに敢えて受け、上手く受け止めるといった行動を取っていた。


「別にガルフもデカパイたちも選抜戦でぶつかった奴らを虐めてたわけじゃねぇだろ。まっ、それはそれで対戦相手がイラつくのは解っけど、そんならそんな態度を取った奴らを後悔させてやるって感じで挑めばいいだけの話だろ」


「……はぁ~~~~~。私の負けですわ」


まだ、原因をつくってしまった自分たちが悪いという感情はありつつも、本当に騎士や魔術師を目指しているのであれば、そのマインドでなければならないという考えに賛同するところはあるミシェラだった。


「へぇ~~、珍しいじゃん、ミシェラ。そんなあっさり負けを認めるなんてよ」


「うるさいですわ」


ミシェラは今でもイシュドという超ムカつく変態狂戦士をぶった斬るために、日々研鑽を積み重ねている。


その変態狂戦士と何度も何度も模擬戦、試合を行っているが……当然、毎回手加減されている。

しかし、その事実に関してミシェラは思うところが全くなかった。


そういう状況に慣れてしまったという点もあるが、何度も何度も挑み続けているミシェラだからこそ……自分にも悪いところはありつつも、なにくそ精神で前に進もうとしない者たちの感情を無意識に否定していた。


「そういえばアドレアス、バイロン先生は少しずつ直していきたいって言ってたぞ」


「っ、そうなんだね」


時間が掛かっても内側を浄化し、直していきたいと思っているアドレアスにとって、味方と思える人物がいるのは嬉しいことだった。


「……つかさ、アドレアスもイシュドみたいになれば良いんじゃねぇの?」


「イシュドみたいに? それは……圧倒的な強さを身に着ける、ということかい、フィリップ」


「そうそう」


あっけらかんとした表情で告げるフィリップ。


ミシェラは呆れた表情を浮かべるも、アドレアスはフィリップの言葉を……真剣に考え込む。


「フィリップ、そんな簡単に言えることではないと解ってるでしょう」


「そりゃな。けどよ、アドレアスがやろうとしてることは、どう考えても簡単なことじゃないじゃん」


「っ…………それは、否定できませんわね」


アドレアスが行おうとしていることは、改革。

だが、根付いている問題をなんとかするには、あまりにも深く根を張り過ぎている。


「どうすんのか決めんのはアドレアス次第だけどよ、少なくともいざとなれば強硬手段に出れるぞって手札を持ってた方がやりやすいんじゃねぇの」


「フィリップ………………急にどうしたんだい?」


言わんとすることは解る。

アドレアスは今も強くなるために邁進しているが、フィリップが語る通り、強硬手段に出れるための手札として使えるほどのものを手に入れるためには……今のままでは、足りない。


しかし、幼い頃からフィリップの事を知っているアドレアスからすれば、まさか彼からそういったアドバイスをされるとは思っていなかった。


「なんとなく思っただけだよ。別に変な事言ってないだろ? あっ、だからって俺が馬車馬の如く働かなきゃならないような社会はつくらないでくれよ」


「……ふっ、ふっふっふ、あっはっは!!!! 解ってるよ……とはいえ、色々と任せてみたくなりそうだけどね」


「勘弁してくれって~~~」


友人が本気で勘弁してほしいと思っていることは解っている。


だが、変わり始めたフィリップの事も知っているからこそ、任せたら「はぁ~~~、仕方ねぇな~~」と言いながら、最高の結果を出してくれる姿が想像できてしまう。


「よし……イシュド。一対一で試合をしてくれるかい」


「良いぜ。普段通り、ぶっ殺す気でこいよ」


「ふふ、言われずとも……解ってるよ」


アドレアスにとっても、イシュドは大切な友人であり……恩人であると思っている。


だが、ぶつかり合うとなれば話は別であり、今日も今日とて躊躇なく本気の殺意を迸らせ、得物を振るうのだった。

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