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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第515話 口に出させる

「イシュド」


「? なんすか、バイロン先生……もしかして、なんか良い事でもあったんすか?」


「あぁ、まぁな。少しお前たちに関わることだから、伝えておこうと思ってな」


いつもの個室に移動した後、バイロンはガルフたちの行動に関するクレームが来た結果、教師たちがどの様な対応をし……どういった結果になったのかを伝えた。


「へぇ~~~、上手い事やったじゃないっすか、バイロン先生」


「考えたのは私なだけであって、実行したのは他の先生方だがな……イシュドなら、どういった行動を取っただろうか」


今回の件に関しては頼らないと決めた。

しかし、それはそれとして今後の対応策の為にも、イシュドの考えを聞いておきたかった。


「いや、多分バイロン先生たちと同じ対応をしたと思うっすよ。直接そいつらの口から「俺たちは選抜戦で平民のガルフやフィリップたちとぶつかりたくないので、彼らを選抜戦から除外してほしいです」って実際に言わせようとするのは超効果的だと思うんで」


自分たちが思った感想を、どうしてほしいのかを、実際に文句を持つ学生たちに、口にさせる。


教師たちが取った行動は、己の恥を口に出させることだった。


「そう、なのか」


「うっす。いやぁ~~~~、バイロン先生も中々良い事考えるじゃないっすか~~~。やっぱり先生っすね」


「……ふっ、買いかぶり過ぎだ…………教師だが、全員を細かくは見れない……いや、今回の場合はそこまでするのは違うと判断したというべきか」


イシュドたち以外の全二年生がクレームを告げていた訳ではない。


とはいえ、これから激闘祭が始まることを考えれば、細かいメンタルケアを行い、完治させる余裕はない。


加えて……彼らが進もうとしている道を考えれば、そのようなプライドの傷などで一々駄々をこねる人間に成長してはならない。


「正しいんじゃないっすかね。だって、バイロン先生からすればガキかもしれないけど、後二年もすればガキじゃいられなくなるし。そりゃ上司とかが面倒を見てくれるかもしれないけど、全ての上司がバイロン先生たちみたいに優しくないだろうし」


「……ふふ、相変わらず良く知ってるな」


「想像力が豊かなんで。んで、教師たちから実際に口にしてみろよって伝えて、そいつらのプライドを煽ったんすね~~。んで、そいつらも態度では納得したと」


「そんなところだ。心の底から納得はしてないだろうが……それでも、大勢の前で問題にし……口にした以上、取り消せるものではない」


大勢と言ってもクラス内で行われた話ではあるが、やはりどのクラスにもガルフたちの行動に文句を持たない生徒がいる。


そういった生徒たちからすればイシュドなどと同じく、何故自分から無能であることを晒してるのかという疑問すら思い浮かぶ。


「てか、あれっすよね。そんなに平民に負けるのが嫌なら、死に物狂いで努力すれば良いって話っすよね~」


誰でも努力を積み重ねれるわけではない。


それは……まだ多少なりとも前世の記憶が残っているイシュドはある程度理解出来ていた。

それこそ、イシュドも前世では子供らしい夢を持っていた時期もあったが、次第にその夢は記憶の奥底へと消えていった。


改めて思い出すことで、その夢に対して努力を積み重ねられなかった理由を理解した。

その理由は……その夢に対して、本当の意味で本気ではなかったからである。


「……プライドというのは、厄介なものだなと思い知らされるよ」


「別にプライドを全否定はしないっすけどね。俺も……プライドって言えるのか解らないっすけど、曾爺ちゃんのひ孫で、爺ちゃんの孫で、父さんの息子なんだって意地? が爆発して、逆転出来た時もあったんで」


「そうか………………やはり、少しずつでも直していかなければならないのだろうな」


騎士とはなんなのか。

魔術師とはなんなのか。


バイロンは憧れや立場、権力が悪いものだとは思っていない。


ただ……国や貴族に仕える上で、大前提として全うしなければならない役目がある。


「何を考えてるのかは解らないっすけど、何かを変えたいなら、少しずつでも味方を増やしたら良いんじゃないすか?」


「……大事な事だな」


「だと思うっすよ。まっ、俺なら馬鹿な事を言ってる連中を片っ端から殺していくかもしれないっすけどね」


バーサーカーどころではなく、サイコパス……凶悪犯罪者の様な思考とも思われる言葉。


だが、この世界では物理的な力に大きな支配力がある。


何かを正すとなれば、味方を増やして反対派の数を減らし、彼らを少数派に……異端にしてしまうという方法が……それなりに平和的である。


しかし、物理的な力を持ち合わせているのであれば、ある程度素早く解決することが可能であった。


「それは、お前なりに考えたうえでの判断なのだろう」


「あっはっは!!! なんでそこまで解るんすか、バイロン先生」


「伊達にお前の担任教師を一年以上してないということだ」


「確かにそうっすね……これは俺の勝手な持論っすけど、本当に正しい正論をぶつけても屁理屈で返してきたり汚い手を使ってどうにかしようとするのが目に見えてるんで、ぶっちゃけ時間の無駄に思えるんすよね」


「…………一応、頭に入れておこう」


この世は、正論だけで動き、回るものではない。

そんな事は貴族の世界で生きているバイロンの方が良く解っている。


だからこそ、イシュドのバーサーカーが過ぎる考えを、無理だという事実を除けば一つの手段だな……よ、切り捨てなかった。

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