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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第511話 次も……その次も

「くっ、ぅおらッ!!!!!」


「っ……ッ…………ふッ!!」


「がっ!!??」


選抜戦が始まってから既に二分が経過しているが、ガルフは変わらず徒手格闘のまま戦っており、闘気を一度も使用していない。


槍と比べるとリーチの差は歴然だが、ガルフは冷静に突きや薙ぎ払いの軌道、引き際を見極めて懐に潜り込み、拳や蹴りを叩き込んでいた。


ただ、そのどれもリングアウトするほどの威力ではなく、心臓や首を狙ってもいない。


(はぁ、はぁ、こいつ……どういう、つもりだ)


徒手格闘であっても、闘気を使わずとも本気で戦っていることは解った。

感覚が鋭いタイプではなくとも、選抜戦に臨むガルフの眼をみれば否定することはできなかった。


それでも、攻撃方法次第では倒されてもおかしくなかった場面が何度かあった。

にもかかわらず、ガルフは仕留めに掛からない。


「てめぇ、いったい、どういうつもりなんだよ」


「………………」


「チッ、黙ってスカしてるのがカッコイイとでも思ってんのか!!!!!!」


変わらず槍に火を纏い、その場で連続突きを繰り出す。


すると、良くとも火突がガルフに向けて放たれる。

懐が遠い槍使いの懐が更に遠くなる攻撃であり、一撃の威力は高くなくとも非常に厄介な攻撃手段である。


(……受けよう)


連続で飛来する火突に対し、ガルフは避けることもできたが、敢えて真正面から対処を始めた。


両手に纏う魔力を厚めにし、飛来する火突の側面を弾くようにして耐え続ける。


(こん、の……人を、どこまで嘗めてんだッ!!!!!!)


避けずに真正面から対処する。

その対応を見た槍使いは侮辱されていると感じ、更に熱くなって必ず火突を当てようと連続突きを継続。


直ぐに十、二十を越えて四十、五十……九十、百を越える。


脚に迫る火突だけは躱し、その他は全て両手で弾きながら対処を行う。

一見、槍使いがガルフを貼り付けにしているように見え、一部の学生たちが盛り上がるも……その光景が二十秒、三十秒と続けば異変に気付き始める。


槍使いの男子学生は必至で連続突きを繰り返してるのに対し、ガルフは真剣な表情で……冷静に火突を弾き飛ばし続けている。


既に数百を越える火突が繰り出されているにもかかわらず、一つもガルフに命中していない。


(なんで、なんで、なんでッ、なんでだよッ!!!!!!)


下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。

それは……間違ってはいないかもしれない。


ただ、弾丸が当たったところで、討てるとは限らない。


(……よし)


数百を越える遠距離攻撃を弾き飛ばしたガルフは徐々に、徐々に槍使いとの距離を詰めていく。


「ーーーっっっ!!!!」


その光景に、槍使いは確かな恐怖を感じた。

一歩……また一歩、ガルフという同世代の怪物が近づいていくる。


(っっっ、ふざけるな……ふざけるな!! ふざけるなぁああああああああああ!!!!!!!!!)


彼は、恥じた。

目の前の男に……平民の学生に恐怖を感じた自分を恥じた。


傲慢な考えではあるが、それでも平民の男に今日を感じた自分を恥じるという気持ちは、彼の闘志を再度燃え上がらせた。


数百を越える火突を放ったことで、もう残りの魔力は少ない。


(俺が、勝つんだッ!!!!!!)


ガルフが射程圏内に入った瞬間、残りの魔力を全て火に変えて槍に纏い、槍技……螺旋突きを繰り出した。


タイミングは……ほぼ完璧と言って良かった。


ただ、ガルフの技術が一枚上手だった。


「っ!!!!!!!!」


「がっ!!!!!!!???????」


ガルフは脚力任せに躱すのではなく、膝の力を抜いて懐にも潜り込み、そのまま前のめりになりながら右拳をボディに叩き込んだ。


基本的にパンチを放つには体勢が崩れているが、それでもガルフは腕をねじり、上手く叩き込んでいた。


結果、槍使いは先ほどの螺旋突きで魔力を消費し尽くしてしまったこともあり、と反吐を吐きながらも立ち上がろうとするが、そのまま崩れ落ちてしまった。


「そこまで!!! 勝者、ガルフ!!!!!!」


勝利宣言が行われ、気を失った対戦相手に軽く頭を下げる。


静まる会場に、イシュドはが最初に拍手を行った。

それに続いてアドレアス、ミシェラも拍手を行うことで他の学生たちも両者に称賛を送るも……その音は、どこか静かで……畏怖が込められていた。







「お疲れさん、ガルフ」


「フィリップ……待っててくれたんだ」


「一応な」


出入り口でガルフの試合が終わるのを待っていたフィリップ。


傍にいる人物、彼自身の実力もあって、少なくともフラベルト学園内ではバカ絡みする者はいないと思われるも、一応念のためと待っていた。


「にしても、随分挑発的な事をしたな」


「……やっぱりそう思われるよね」


「いや、あれだぜ。俺はお前が何をしたかったのか解ってるけどよ、対戦相手は言われなきゃ解らねぇと思うぞ」


「……でもさ、素直に説明したとしても、余計に怒りを買うと思うんだよね」


「まぁ、そりゃそうなるだろうな」


あなたを強くなるための練習台にしようと思ってます。

と言われれば、ガルフは自分より実力が上だと思っている者ほどより多くな怒りを買うことになる。


(でも……予想通りだった)


予想通りの収穫があり、次の試合も同じことを繰り返すと決めているガルフ。


フィリップとしては、友人の覚悟が決まってしまってるのであれば、特に言うことはなく……いざという時に守るだけであった。

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