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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第507話 縮まっているのか

(……今日も良い感じの攻撃を当てられなかったな)


休日、いつも通り友人たちと訓練をしていたガルフ。


現在はイブキとタッグを組んでの模擬戦を終了し、休憩中。

イブキと組んでも良い具合のダメージを与えられなかった事実に悩んでいた。


「…………」


「悩み事か、ガルフ」


「うん……この一年でそれなりに強くなったつもりだけど、相変わらずイシュドには二対一でもそれなりのダメージすら与えられないな~って思って」


「そうだな……とはいえ、イシュドは三次職。私たちとはまだ土台が違う。だから、焦る必要はない…………という問題はないか」


イブキもイシュドと同じようなことを考えたことが何度もあるため、ガルフの気持ちがある程度解る。


「……思い上がり過ぎって言われるかもしれないけど、でも……やっぱり、焦るかなって」


ガルフにはイブキやミシェラと違い、闘気という特殊な力がある。

その力は、イシュドすら持っていない強力な武器である。


複数人対イシュドの模擬戦でも使用しているが……未だに魔力しか使用しないイシュドには敵わない。


「イブキは、なんでか解ったりする? いや、そもそも僕とイシュドじゃ経験数が違うっていうか……深さ? っていうのが違うのは解ってるんだけどさ」


「そうだな…………現時点では、その深さが大きな差ではあると思う」


二次職と三次職というだけで差が生まれるものだが、それでも何度も何度も……百回以上も模擬戦を行っていれば、イシュドが決めたルールなら三次職が傷を負ってもなんら不思議ではない。


「加えて、イシュドが普通の狂戦士ではないという点が、今の結果に繋がっているはず」


「技術面とか、考え方の話?」


「あぁ。もう何度も驚かされてきたけれど、彼はパワーよ狂気だけの狂戦士じゃない。これまで積み重ねえきた技術が骨の髄まで染み込んでいる…………だが、私の感覚ではあるが多分、確実に成長はしている」


「本当?」


「本当だ。以前までのイシュドは迫る攻撃に対して、反射だけで動いていた」


「……隙を付けたと思っても、その反応速度だけで対応できてたってことか」


「おそらくな。ただ、ここ最近の私たちとの模擬戦では、神経を張り巡らせているように思う……加えて、私たちの動きを読もうとしているはずだ」


現在ミシェラ、アドレアス、フィリップの三人と変則模擬戦を行っているイシュドだが……実際にイブキが語る通り、持ち前の反応速度だけで対応している訳ではない。


ミシェラの風双斬、アドレアスの風突にフィリップの雷斬……三人の技と連携が組み合わされば、イシュドとて笑みこそ浮かべているが、余裕ぶっこいているわけではない。


その状況に楽しいと……面白さを感じているからこそ、笑みを浮かべている。


「私としては、その差は大きいと思う。イシュドが自身の反応速度だけではなく、積み重ねてきた経験や感覚まで用いて対応してるのだからな」


「以前使っていなかったものを使ってる……確かに、イシュドも警戒レベル? を上げてくれてるんだね」


「つまり、それだけ私たちも強くなっている証拠だ。こうして共に挑むことで連携も間違いなく向上している」


「ふふ、そうだね……それは間違いないって断言できるよ」


変則模擬戦を行う際、基本的に固定の組み合わせはない。


誰と組む時は戦いづらいという感覚はないものの、ガルフ的にはイブキと組んで戦う時が一番戦いやすいと感じていた。


(今日、何度か目線も交わさずにお互いに言いたいことを、やりたいことを伝えられた…………本当に不思議な感覚)


お互いに動きを読み合い、時に合わせて戦うのが複数人での戦い方。

だが、時たま無駄な思考やアイコンタクトをそぎ落とし、完全に呼吸が合わさり、やりたい事をお互いにやれることがある。


「けど……今のところ五人で挑んでも変わらないよね」


「人数が増えれば、それだけイシュドの感覚も研ぎ澄まされるということだろう」


「うっ…………それも覚えがあるかな」


「そうだろう。とにかく、私たちが成長しているのは間違いない」


「……これ以上、差を縮めようとするなら……レベルを上げるしかないよね」


「…………あぁ、そういうことになる」


イブキは、ほんの少しの不安感を覚えた。


ガルフは……イブキやミシェラ、アドレアスなどと似たような目的を有している。

ただ、三人の中で最もイシュドに恩を感じている人物。


イシュドが何故自分の隣にいるか、その理由がただ友達だからというだけではないことは察している。


(……この約一年は、本当に濃い一年だった…………入学してからイシュドと共にいるガルフにとっては、更に濃い一年だろう。にもかかわらず、縮まっていると思えないからこそ、なのだろうか)


本気で追いつこうとするなら、無茶の一つや二つ乗り越えなければならない。


それはイブキも理解しており、寧ろその機会がないかとか考えている。

しかし……ガルフは闘気という力がある分、更なら無茶を重ねることが出来なくない。


「……ガルフ。何か悩むことがあれば、私たちに相談するんだ」


「イブキ……」


「受けた恩の形は違うかもしれないが、それでも目指す先は同じだ」


「……へへ、そうだね。あっ」


気付くと、三人とも腹パンを食らって地面に膝を付いていた。


ある程度呼吸が整い、動けると判断した二人は再びイシュドの前へ向かうのだった。



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