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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第504話 爆音

「ふふ、久しぶりだね」


「そうっすね」


ある日の休日……イシュドは珍しくシドウと向かい合っていた。

当然、お互いの手には真剣が握られていた。


「それ、どうやって手に入れたんだい」


「この前、アドレアスやデカパイの信者な後輩たちが来て、色々あってこいつを……献上? してもらったんすよ。んで、ある程度ボコりました」


「うん…………うん? まぁ、なんとなく解ったよ」


イシュドがどういった事をしているのかは、ある程度妹との会話で聞いており、シドウもイシュドという頭おかしいバーサーカーが実力の方だけじゃなくて、思考の方も頭おかしいことを知っていた。


(献上品……何もヒントを出してないなら、多分ドンピシャで正解を当てたってところかな?)


シドウも現在イシュドが手にしている存在が何なのか理解している。


妖刀。

一説には全ての妖刀には呪いが掛けられているとも言われているが、シドウはその説を否定する派だった。


(だってねぇ……イシュド君なら呪いなんて気合で弾き飛ばしちゃいそうだけど、そんな気配もないしね」


なにはともあれ、久しぶりにイシュドと真剣を交える。


シドウとしても油断は一切できない……そして、どうしても胸が高鳴ってしまう。


「ルールはどうする?」


「魔力、スキルの使用はなし。時間は……二分でどうすかね」


「二分で良いのかい?」


「っすね。ぶっちゃけなところ、こいつの力をまだ把握してなくて。俺の狂気を突いてくるような力があったら試合で終わってくれるか解らないじゃないっすか」


「冷静で良い判断だ…………それじゃあ、戦ろうか」


シドウの言葉で、超離れた場所から観戦しているガルフが、イシュドから渡されたマジックアイテムを二分にセット。


「始めっっっっっっ!!!!!!!!!!」


訓練場全体に響き渡るような声で、開戦の合図が行われた。


「「ッッッッ!!!!!!!!!」」


ガルフの声が響き渡った瞬間には両者の刃が激突。

甲高い音が訓練場に響くも、二人が扱う刃は……一切欠けていない。


(ッ、やっぱ、まだまだ、だなッ!!!!!!!)


鍔迫り合いから引き、絶妙な距離を測りながら妖刀を振るうイシュド。


刀の質に関して言えば、シドウが扱う刀よりもイシュドが振るう妖刀の方が上。

魔力やスキルの使用が禁止となれば……最初の一撃で、シドウの刃が欠けていてもおかしくない。


だが……実際は一切欠けることなかくイシュドとの斬り合いに、嬉々とした笑みを浮かべながら対応していた。


(っっっ……シドウ先生が強いのは解っていましたわ。臨時とはいえ教師を務める方。弱いわけがない……しかし)


シドウの方が歳上であり、戦闘経験も負けていない。

臨時ではあるがフラベルト学園の教師になったという事実を考えれば、目の前の光景はなんらおかしくない。


それでも……そこら辺の騎士より二回りも三回りも強いイシュドが、やや押されている。

その光景に小さくない衝撃を受けつつ、ミシェラたちはシドウ・アカツキという侍の強さを再認識する。


「ッ、ふッ……ハハッ!!! 疾ッッッ!!!!!!」


(っ、反応が、上がった。おそらく、スキルは、使っていない……つまり、そういう効果、なのかもしれないね)


今のところシドウの体には……一つも切傷がない。


だが、イシュドの体には少なくとも五つの切傷が刻まれている。

どれも傷は浅く、このまま戦闘が二分以上続いたとしても問題ないが……それでも傷は傷である。


しかし、その傷が増える旅、徐々にイシュドの反応、素早さが上がっていた。


(そして、おそらく……イシュド君の、懸念、通り……刺激、されていそうだね)


刺激された結果、爆発してしまった場合どうしようかと悩んでいると、超離れた場所から爆音ベルが鳴り響いた。


「「っっっっっ!!!!????」」


二人とも激闘という空気から一気に引き戻され、イシュドは事前に意識していた行動……妖刀を手放すという選択を行い、刺激されていた狂気は静まった。


「ふぅーーー。ありがとうございます、付き合ってもらって」


「構わないよ。可愛い生徒からの頼みだしね」


「そう言ってもらえると助かります。けど、やっぱり全然敵いませんね」


「これでも先生で……侍だからね」


侍だから。

そこに、シドウが持つ誇りが集約されているように感じたイシュド。


シドウとて、イシュドが本来のメイン武器である戦斧を使用すれば、どうなるか解らないと思っている。


それでも……刀と刀の戦いであれば、スキルありだとしても……現時点では負けるつもりはない。


(けど、普通に腕や足の一本は必要かな……なんなら相打ちになっちゃ? けど、もうイシュド君が持ってたエリクサーは一本しかないわけだから……多分無理だよね)


約一年前、シドウは赴任して早々イシュドという問題児から真剣勝負を……死合いを申し込まれた。


当時は驚きはしたものの、それと同時に侍に敬意を抱き、趣味で刀を扱っている訳ではなく、本気で死合いを望んでいる。

それを知って、様々な意味で嬉しさを感じたのを今でも覚えている。


(今年の夏は大和に来てくれるんだったよね……ふふ、どうなることやら……色々と楽しみだね~~~~~)


これからを想像してニコニコと笑みを浮かべていると、フィリップたちが設定時間を知らせるベル音の設定音量へのクレームを口にしながら合流。


フィリップだけではなくミシェラ……珍しくイブキまで苦言を呈する中、イシュドは変わらずへらへらしていた。


そんな生徒たちの様子を見て、シドウは変わらず笑みを浮かべるのだった。

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