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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第503話 積み重ねた事実

「「「「「「「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」」」」」」」


「はっはっは!!!! まぁ、それなりに頑張ったんじゃねぇの」


永遠に続くかと思われた戦いが終了。

ルーディたちは全員体力と魔力もすっからかんになり、全員仲良く一回は吐いてしまった。


もう出せるものは何もない状態である。


(あれだけ……私たちと、戦って……殆ど、汗をかいていない…………あの人にとっては、本当に遊びだったのか……)


遊びで疲れるわけがない……というのは嘘である

ただの娯楽ならまだしも、戦闘ともなれば話は変わる。


イシュドはルーディたちを瞬殺したのではなく、それなりの時間……彼らの全力を受け止め、弾き飛ばし続けた。


人によっては、どう考えても遊びの範疇ではない。


しかし、イシュドに疲れは全く感じられず、汗もろくにかいていない。

その現実が自分たちと彼の差なのだと、身を持って思い知らされた。


「さて……俺の勝手な予想か、本当にお前らの中で何人かが望んでたのかは知らんが、先に伝えておく。俺はお前らの面倒をみるつもりはねぇ。一緒に訓練する気もねぇし、勝手に来やがったら投げ飛ばす」


「「「「っっっ……」」」」


イシュドの過大自己評価ではなく、本当にイシュドと共に訓練が出来るのではないかと希望を抱いていた者が何名かいた。


残念ながら、面倒面倒と言いながら「まっ、こいつなら構わねぇか」と、イシュドがツンデレを見せるほど輝く何かを持つ者はいなかった。


ただ……だとしても、イシュドはルーディたちボンボンらの闘志が思っていた以上に熱く大きいことに素直に感心した。

心根が如何なものなのかまでは解らないものの、それでも現実を受け入れようと……前に進もうとする思いを持っていることは把握した。


「まっ、それでも俺相手にここまで挑み続けたんだ……一つだけ、アドバイスをやるよ」


「助言、ですか」


「おぅ。つっても、どう受け取るかはてめぇら次第だけどな……今日、お前らは俺という理不尽に挑むことが出来た。つまり、階段を上ることが出来た……積み重ねることができたと捉えても構わねぇ」


「上り……積み重ねる」


「そうだ。てめぇらがこの先どうなりてぇのかは知らねぇが、今日みてぇにお前らはお前らの意志で積み重ねることができんだ……そんなてめぇらの力を、積み重ねた事実を忘れんな」


「………………イシュドさん。ありがとう、ございました」


今でも……少し、抵抗感がある。


それでもルーディは全身に痛みを感じる体に鞭を打ち、なんとか立ち上がり、深々と頭を下げた。


「あ、ありがとうございました、ですわ」


セレイスも続き、他の一年生たちも鞭を打って立ち上がり、なんとか頭を下げ、感謝の言葉をイシュドという変態狂戦士に伝えたのだった。


「おぅ。んじゃ、さっさとどっか行け」


最後に見せた優しさはなんだったのかと思う程あっさり切り替わる先輩に……文句や疑問の言葉を口にする余裕はなく、ルーディたちは訓練場を後にした。







「……あなた、実家で五年以上は教官の……教育者の真似事をしてましたの?」


もう何度も驚いてきた。

イシュドが戦闘面だけ脳筋じゃない、という訳ではないことは理解していた。


現時点では、思考の次元が自分たちとは違う。


それを理解していたつもりだったが、今回の一件でまだ認識が甘かったと感じた。


「…………どうだろうな。ちょこちょこアドバイスしてきた気はすっけど、割とがっつりするようになったのは……ここ数年とか? 少なくとも、五年は経ってねぇと思うぞ。俺だって道半場も良いとこだからな」


「……あなたの基準だと、そうなのでしょうね」


レグラ家の内情を多少なりとも知っているため、十六歳時点で三次職に就いている人間が何を言ってるんだとツッコむことはなかった。


「ありがとう、イシュド。彼らに身を持って現実を伝えるだけではなく、彼らの支えになるであろう助言まで伝えてくれて」


「ふっ、思ったより骨があったからな……言った通り、俺はあいつらの性根は知らん。そこまで気にしてられねぇし、そんな立場じゃねぇのも解ってる。ただ、あいつらは前に進もうって気概を見せた。ふふ……ちゃんと、用意するもんも用意したしな」


小さな笑みを浮かべながら、イシュドはアイテムリングから妖刀を取り出し、楽しそうにくるくると回して遊ぶ。


「それに……お前らも下から突いてくるような存在がいれば、また違ったやる気も出てくるもんだろ」


イシュドは共に訓練をするつもりはないと、無理やりそうしようものならぶん投げると伝えた。


とはいえ、友人たちの行動を縛るつもりはない。

アドレアスやミシェラが軽く彼らの指導を行い、その時に試合を行っても……その事に文句を付けるつもりは一切ない。


「ふふ、それもそうですわね。あの子たちには確かな才と、壁を知っても上を向ける強さがある」


「うかうかしていたら、追い抜かれてもおかしくないね」


「はぁ~~~~、本当にお前らは元気だね~~~」


後輩にケツを突かれるかもしれないという状況に、二人は燃え上がるが……貴族の令息であるフィリップは全く燃えなかった。


とはいえ、この後イシュドの提案で行われたイシュド対全員の試合には、なんだかんだで参戦するのだった。

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