第502話 追いつけると思ってるのか?
「「っ!!!!????」」
気付いた時には宙を舞っていた。
その事実を把握してから、槍使いと戦斧使いの青年は自分たちが投げられたことに気付いた。
(投げられた……あ、あの一瞬で?)
(嘘だろ、全然、抗えなかった)
当たり前の話だが、自分が投げられそうになれば抵抗する。
しかし、二人は自分たちが投げられたことに対し、宙を舞ってから気付いた。
つまり、抵抗しようという意識が生まれる前に投げられたことになる。
「「「っ!!??」」」
「きゃっ!!!!????」
「おわっ!!!!????」
その後も続々と同級生たちが宙を舞う。
(っっっ!!! い、今はとにかく攻めなければ!!!!)
(そうだ!!! 俺たちは特攻隊なんだ!!!!!)
元々一対十五という変則形式で試合を行うことは決まっていた。
そのため、イシュドの実力を高等部の教師たちと同レベルと想定し、ルーディたちはどう攻めるかを考えていた。
槍使いと戦斧使いの青年はとにかく仕掛けに仕掛け、イシュドの動きを制限するのが役割。
だからこそ、ちょっと訳解らないことが起こったとしても、まず攻めなければならない。
「気合いは良いんじゃねぇの?」
「「っ!!!!!????」」
結論、無理だった。
先程何をされたのかは把握できていたため、今度は自分たちが掴まれたという感覚はあった。
だが、その感覚を把握しただけで、抗うことは出来なかった。
(っ、まだまだ!!!!!)
槍使いの青年はイシュドの手が届かない距離から風を纏い、連続突きで縫い留め……戦斧使いの青年が渾身の一撃を仕留める。
そういった流れを想定していたが、イシュドは槍使いが槍を引くと同時に距離を詰め……放り投げる。
そして渾身の一撃を叩き込もうとする青年の攻撃を躱しながら腕を掴み……放り投げる。
「「……………」」
三度目ともなれば、彼らも綺麗に着地することが出来る。
因みに、この間に魔術師や弓使いの生徒は遠距離攻撃を放っていたが、イシュドは全て素手で弾き飛ばす掴み取っていた。
攻撃魔法を素手で弾くというのは基本的にバカが行う行動ではあるが、イシュドからすれば火属性はやや熱い程度であり、水は品よりしてるだけ。
風はザラっとしており、土は多少硬いといった程度。
どれも素の状態でも鉄拳と呼べるイシュドの拳の前では無意味であった。
「さて、とりあえず俺とお前らの差は身に染みて理解してくれたかな」
「「「「「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」」」」」」
既に全員五回以上は投げられ、息切れをしている者もいた。
途中から刃引きしてない武器を使っていることなど一切気にせず、武器スキルの攻撃技を使用してまで攻め始めた。
イシュドとしては、勿論その選択は「合格だ」と、ニヤッと笑みを浮かべながら答える行動。
いち早くその選択を取ったのはルーディとセレイスだったが……呆気なく腕や足を掴まれ、放り投げられた。
(私の、見る限りでは、本当に……スキルや魔力を、使っていない)
スキルや魔力を使っていないイシュドに対し、ルーディたちは当然ながら全てを使っていた。
それでも、イシュドの体にかすり傷一つすら付けられなかった。
「まっ、安心しろ。去年フィリップとダスティンパイセン、クリスティールパイセンの三人と戦った時も同じ状態で戦って俺が勝ったから」
「「「「「っっ!!! ……」」」」」
彼らの中には、尊敬するミシェラさんミシェラが尊敬する人物なら、当然自分たちも敬意を抱く人物として、クリスティールを尊敬している者もいる。
だからこそ、話には聞いていたが事実として蹴散らした人物から聞かされると思うところがある……が、警戒していたにもかかわらず何度も投げられたことで、その気力は完全に失せていた。
「とりあえず解ってくれたようで何よりだ。んじゃあ、もうちょい相手をしてやる。やる気があるやつだけ掛かって来い」
「「ッッ!!!!!!!!」」
「っ!? ルーディ、セレイス!!!」
イシュドが言い終えたと同時に、二人はまだ残っている魔力をフル稼働させ、ルーディは細剣に炎を……セレイスは双剣に雷を纏わせて攻めかかる。
(……解ってはいたけど、この二人は明確にあいつらの背中を追ってるみてぇだな)
感心感心と呟きながら炎突を躱しながら腹に裏拳を決め、背後に回ったであろうセレイスをノールックで腹に蹴りを叩き込む。
「ごはっ!!!??? ~~~~~っっっ!!!!!」
「疾っ!!!!!」
「はっ!!!! そうだ!!! たかが痛みに苦しんでんじゃねぇ!!!!! てめらの目指すはその程度追いつける道だと思ってんのか!!!!!!!!!!」
「「「「「「「「「「「「「っっっ!!!!! ……、っ」」」」」」」」」」」」」
友人たちの行動。
加えて、未だに敬意など持てるわけがないイシュドの言葉に、残りの一年生たちもそれぞれの武器を握りしめ、変態狂戦士を……絶対に殺すと、心の底から叫びながら己の獲物を振るった。
そして…………最後は全員仲良くゲロを吐いた。




