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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第501話 本気か否か

「お前らアホか」


「「………」」


どストレートに悪口を言われ、ミシェラはいつも通り青筋を浮かべ……アドレアスも偶にはその顔を殴らせてくれてもいいのではと思った。


「別に後輩に助言すんのが悪ぃとは言わねぇよ。俺だってそんなのしょっちゅうしてたしな」


「………」


イシュドが実家の騎士たちからは慕われているのを知っているので「嘘に決まってるわ!!!」と言えないミシェラ。


「ただ、愛弟子とか親と子的な繋がりはねぇんだから、大雑把な助言だけ伝えときゃ良いんだよ」


「大雑把な助言……」


「俺と行動するによって、これはやって良かったなって訓練内容とか、考え方とかだけ伝えときゃいいんじゃねぇか? まぁ、その内容がのあの坊ちゃん嬢ちゃんたちに合うかは知らんけどな」


イシュドとしては、元々実家で教わった訓練内容、自分で考えた訓練内容を知られたところで、特に困ることはない。


何故なら……やれと言われても、やれない者はやれない……らしいと、実家から出てなんとなく理解しているため。


「別にあいつらはあいつらで温い訓練をしてたわけじゃないだろうけど、確かに俺らがやってるのはなぁ…………それこそ、あいつらがどれだけ本気で変わりたいと思ってるのか、って話だよな」


「おぅ、それそれ。良い事言うじゃねぇか~~~、フィリップ」


「? えっと……俺、なんかそんな良い事言ったか?」


「言ったぜ~~。どれだけ本気なのか……結局大事なのはそこなんだろうよ」


イシュドの言葉に、ミシェラたちだけではなく、良い事を口にしたであろうフィリップも疑問符を浮かべて首をかしげる。


「イシュド、別に怒ってるわけではないのだけれど、あの子たちがこれまで本気で強くなろうとしていなかったと?」


「さぁな、そこは知らん。これまでに関しちゃあ、パツキンメガネたちなりに本気で頑張ってたんじゃねぇの? 問題なのは、変わるチャンスにどれだけ本気なのか、だ。ちっと例としては違ぇけど、うちの騎士の中に二次職と三辞職で別の方向に進もうって奴が偶にいるんだよ」


「……リベヌさんの様に、ですの?」


「あいつは違ぇ。あいつは元々そのつもりで異色のルートを選んだだけだ。簡単に言っちまえば、己に何の才があるのか気付かず、一番ではない才を磨き続けたけど、遅れながら気付いて一番の才を磨ける方向に進む奴がいるんだ」


「それは……」


決して楽な道ではない。


それまでに得た力やスキルが消える訳ではないが、元々その道を進んでいた者たちお比べればどうしても積み重ねてきた差が生まれる。


だが、覚悟を決めた者たちは別の道に進み、本気で既に同じ道を進んでいる者に負けてたまるかと研鑽を積み重ねていく。


「何かを始める時、既に身についてる何かを変える時……そういう時に本気になれるか否か……そこが分かれ目なんじゃねぇの」


「………………あなた、実は仙人ですの」


「ばっはっは!!!!! 狂戦士が実は仙人とか、クソあり得なさ過ぎだろ」


「……イシュドは常に本気で生きてきたからこそ、色々と解ることがあるんだね」


勝手に自己解釈し、目を輝かせるガルフ。


(常に本気で生きているからこそ、ね……否定は出来ないけれど、本当にそれだけなのかしら)


やはりガルフはイシュドに対して妄信的なところがある、とは思わないミシェラ。

ただ、それでも彼の変態狂戦士らしからぬ考えは、生き方だけで浮かぶものなのかという疑問は消えない。


「とりま、お前らがぼんぼんたちにそういうのを伝えることに関しちゃあ、俺は止めはしねぇ」


「もっと詳しくと言われても、自分の手足を動かして得た知識や経験にこそ意味がある、と言えば上手く断れそうだな」


「はっはっは!!! 後輩に負けじと頭が回るじゃねぇか」


こうして二人は自分の時間を削らず、後輩たちに助言を伝える準備が出来た。


そして休日までの数日間はあっという間に過ぎていき……同じ訓練場にイシュドたちとルーディたちが集まる。


「再度、聞いておきます。刃引きした武器を使わなくてよろしいのですね」


「構わねぇって言ってるだろ。どうせお前らみたいな連中はそこまで使わないと納得出来ねぇだろ」


「………………そうかもしれませんね」


数は計十五人。


これから行われるのは、一対十五の変則試合。


イシュドは強い。

それはもう、彼らはなんとなく解らせられており、頭ではまだ否定していても、本能は格の差を認めていた。


だが、一対十五という超変則試合だけではなく、刃引きしてない真剣で戦うという内容には、さすがに自分たちを嘗め過ぎではという感情が沸き上がる。


「おい、一年たちが何分持つか賭けねぇか?」


「……あの子たちは本気で戦うのよ。そういう事は出来ないわ」


「ちぇっ、つれねぇな~~~。アドレアスはどうよ」


「ん~~~~……私もミシェラさんと同じかな」


「ったく、優しい先輩だね~~~。まっ、イシュドの奴は潰すつもりはねぇみたいだし……三分ってところかな。ガルフはどうよ」


「…………本気でイシュドのことを倒そうと動くなら、魔力の持ちも考えて……一分半から二分ぐらいからな」


「ほ~~~ん、確かにそういうムーブをするなら、三分も持たねぇかもしれないか」


「「「「「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」」」」」


勝手に賭けの対象にしようとしているフィリップに、彼らはやはりアドレアスたちと違って尊敬の念は持てないと思った。


「んじゃ、用意は良いな」


「えぇ」


「っし……試合開始だ。殺すつもりで掛かって来い」


狂戦士が手招きをすると、勢いよく槍使いと戦斧使いの青年が地面を蹴って距離を詰めた。


そして……彼らは気付いた時には、宙を舞っていた。



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