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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第500話 負けたくない

「おい、パツキンメガネたち」


「ぱ、パツキンメガネ…………」


また変な名で呼ばれるも、この場にルーディを助けられる者は一人もいない。


「良いもんを持ってきたのは認めてやる。こいつは十分俺が満足できる品だ」


「お眼鏡に適ったようでなによりです」


「おぅ。んじゃ、そういう訳だから……お前ら、次の休みの日、丸一日開けてろ」


「明日、ではなくですか」


「明日の放課後だけで良いのか? まっ、お前らが一回潰されただけで良いんだったらそれでもいいけどな」


「っ!!!」


潰されることは確定なのか、とはツッコまない。

目の前の狂戦士が上から目線なのも今更な話。


ルーディが気になった点は……一回だけでよいのか、という点だった。


今回の機会は、ルーディたちにとって変われる最後のチャンスだと、アドレアスたちからも伝えられている。


「分かりました。次の休日ですね」


「おぅ。場所は変わらずここだ。先に言っとくけど、別に来なくたって俺は怒らねぇよ。お前らがこの先どうなろうが、俺は知ったこっちゃねぇからな」


「……えぇ。勿論理解しています」


他の者たちはまだ何か言いたげな顔をしていたが、ルーディとセレイスが背を押し、訓練場から出て行った。


「…………イシュド、あなたにしては随分とお優しいですわね」


「そうか?」


「休日の人に試合を行うという事は、その日は丸一日あの子たちに付き合う、ということでしょう」


試合は行うものの、イシュドを知っているミシェラからすれば、中々のサービスである。


もっとも……何回、何十回とズタボロのクソボロ雑巾にされることに喜びを感じる者がいるかと尋ねられると難しいところ。


とはいえ、彼らとしては自身を変える大きなチャンス……決して一回きりのチャンスではない。


「僕もミシェラさんと同じ意見だね。僕としては、そうしてくれた方が嬉しくはあるけどね」


「あれだろ、あいつらが選んだその妖刀ってやつが、イシュドにとっちゃかなりの正解だったってことだろ」


「へっへっへ、よく解ってんじゃねぇか、フィリップ」


「一年も過ごしてりゃな」


高ランクの武器や、高ランクモンスターの素材であっても、一応当たりは当たりであるものの、ギリギリ平均点は越えるかといった程度。


しかし、いわくつきの刀である妖刀というチョイスは、イシュドの中で大大大大正解。

花丸百点をあげるぐらいには正解だった。


「アドレアス、強さがどんなもんかは知らんが、お前の後輩は結構頭が回るみたいだな」


「ふふ、そう言ってくれると嬉しいよ」


その言葉に嘘はなく、アドレアスはルーディの思考や態度に少し失望していたところはあったが、それでも優秀な人物であることは知っていた。


そして決して優しさがないわけではないことも知っていたので、彼が褒められると素直に嬉しかった。


「ところで、見どころのある人物がいた場合、共に訓練することを許可しますの?」


「……パッと視だと、その気は起きねぇな」


「……そうですのね」


ミシェラとしては、ほんの少しだけだとしてもと言いたい気持ちはあった。


しかし、この一年間で大幅に成長できたのは間違いなくイシュドという存在、彼からの助言があってこそだと解っているため、図々しくそれでもとお願いすることは出来ない。


「つってもあれだろ、そんなに後輩たちのことが気になんなら、お前らがあのパツキンメガネたちに教えりゃ良いんじゃねぇのが」


「わ、私たちが、ですの?」


「他に誰がいんだろ。あいつらは基本的にお前ら二人の後輩であって、俺とガルフ、フィリップとイブキは関係ねぇからな」


イシュドは今回の件に関してはやるやんけ、という思いはあれど、基本的にルーディたちに興味がない。


ガルフに関しては彼が平民出身でルーディたちは貴族の令息ということもあり、距離の測り方が解らないため、積極的に関わりたいとは思わない。


フィリップは……顔を知っているメンツは何人かいたものの、現在では全くと言っていいほど関りがないため、彼らの為になにかしてやろう!!!! といった気持ちは欠片も沸き上がらない。


イブキは別大陸の立ち位置では貴族の令嬢的な存在だが、正式に認識できる者が何名いるのかという不満と……初対面でのイシュドに対する態度もあり、ガルフと同じく積極的に関わりたいとは思わない。


「そう、ですわね……しかし…………」


イシュドの言う通りではあった。

彼らを気にかけているのはミシェラとアドレアスの二人だけ。


(私が、彼女たちを指導……今の、私の腕で?)


ミシェラは一年前と比べて、間違いなく成長している。

それは自他共に認めるところではあるが、強くなればなるほど……いずれ斬り潰すと決めている者との差を明確に感じるようになっていた。


そんな自分が後輩たちを指導できるのか。


加えて、他の問題もあった。

それは……後輩たちの指導を当たっている間に、ガルフたちに差を広げられてしまうのではないかというもの。


基本的にイシュドと共に訓練してきた期間に大きな差はなく、彼女たちの中に大きすぎるほどの差はない。


しかし、現時点では間違いなく闘気を会得したガルフが一歩リードしている。

フィリップのセンスはズバ抜けており、イブキは扱うのが難しい刀をいとも簡単に扱う。

アドレアスの才は言わずもがなというところもあり、ミシェラにとって彼らは負けたくない相手であった。


「………」


アドレアスも似たような事を考えており、美しい顔に珍しく皺が浮かぶ。


そんな二人の様子を見て、イシュドは呆れながらため息を零した。

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