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転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。  作者: Gai


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第498話 七つの精神

「へいへい、どうしたどうした!!!! んなもんじゃ、俺の首は斬れねぇぞ!!!!!!」


「破ッッッ!!!!!!」


「っ、疾ッッッッ!!!!!!!!」


模擬戦にもかかわらず物騒なことを口にするイシュド。


そして珍しく大剣を振るうガルフに、変わらず刀を振るうイブキ。

因みに……今回の模擬戦ではあまり使い慣れていない武器を使っているため、ガルフは闘気を身に纏いながら戦っていた。


(……ここッ!!!!)


そうなると、身体能力ではガルフの方が上回るため、イブキは連携を確実なものにするためにも、むやみやたらに刀を振り回すことが出来ない。


だからこそ……ここぞという場面で、最高の斬撃を放てるようになる。


(ッ、ふっふっふ……良いね。あとちょい、だった、なッ!!!)


イシュドはイシュドで逆に強化系のスキルを使用していないからこそ、イブキの斬撃を余裕を持って回避はしておらず、あと数センチ踏み込めていれば……少なくとも、首の皮一枚は切れていた。


「せぇえええやッッッ!!!!」


「はっはっは!!! 良いぞ、ガルフ。その感覚だ。それが、叩き潰すって、感覚だッ!!!!!」


「ぐっ!!!!!!!」


大剣による斬撃を受け流されるも、地面には決して弱くない衝撃が走る。


闘気という特異な力を纏って振るう以上、そのパワーはガルフの明確な武器となる。

それを活かすとなると、斬るのではなく潰すという感覚を染み込ませていて損はない。


「っしゃ!!! もっとギア、上げてこうぜ!!!!!!!!!」


「「ッッッッ!!!!!!!」」


楽しそうに笑みを浮かべるイシュドの姿を燃料にし、二人は更に心を燃え滾らせ、遠慮なくその首を取りにいく。







「はぁ、はぁ、っ……はぁ~~~~~~~、今日も、無理だったか~~~」


「上手く、戦えるようには、なったと……思いますが…………縮まったとは、思えませんね」


「なっはっは!!!! そりゃまぁしゃあないってもんよな」


息を切らしながら水分補給を取る二人と、元気よく笑うイシュド。


「もう何百と戦ってるんだ。俺は俺でお前らの動きに慣れるってもんだ」


「僕らも、少しはイシュドの動き、慣れてると……思うん、だけどね」


「ん~~~~……まっ、確かにそういうところはあるな」


これまでの模擬戦、試合を思い返しても、自分の動きを読んでいたからこその動きだと感じる時がある。


ガルフの言う通り、彼らもイシュドの動きに多少なりとも慣れつつある。


「けどあれだな、基本的に俺が受けてっから、対応するって面では俺の方に分があるんだよ」


「……後の、先、ですね」


「はは、流石イブキ。解ってんね~~~~」


「そう言ってもらえると、光栄、です」


イブキは色々と理解していた。

その上で自身の攻撃を囮にし、イシュドの後の先をガルフの攻撃で潰そうとしていたのだが……結局狙い通りにいくことは一度もなかった。


(焦っては、いけない……簡単に到達できる、山ではないのだから)


焦れば技が腐り、連携が意味をなさなくなる。

いずれは一人でもという思いはイブキも消えていないが、それでも連携を軽視することはない。


「あっ、そういえばよ、イブキ」


「はい、なんでしょうか」


「今年の夏さ、大和に行っても良いか」


「や、大和に、ですか?」


いきなりの言葉に焦り、何故か頬が若干赤くなるイブキ。


「おぅ。ほら、いつか行ってみたい俺言ってただろ。どうせなら大会が終わった後の夏休みで余裕を持って滞在する方が良いと思っててよ」


「あっ……はい。そういえばそういった話をしていましたね」


以前イシュドとそのような事を話していたのを思い出し、なんとか心を落ち着かせる。


「イブキの故郷に、ですの?」


「そうだ」


「という事は、今年はイシュドの実家で……合宿? のようなものはしないのかい?」


イシュドとしては「こいつ、またフットワーク軽くしてうちに来るつもりだったのかよ」とツッコみたいところだが、アドレアスの中では今年の夏もレグラ家で過ごすのが決定事項だった。


「しねぇな。まぁ、お前は立場が立場だから一人でお邪魔できるちゃできるけど、違う強さに触れてみるのも良いんじゃねぇの」


「違う強さに……」


「職業に、侍ってのがあるだろ」


「あぁ、勿論知っているよ」


お世辞にも詳しいとは言えないものの、イブキという存在が身近におり、シドウも偶に手合わせしてくれるため、その強さは理解しているつもりだった。


「騎士と同じようなもんなんだが、侍はただステータスの職業としてあるだけじゃなくて、立場として……存在としてあるんだ」


「存在として……」


「あぁ~~~~、悪ぃ。言葉が足らねぇな。そうだなぁ……概念、ってのもまた違ぇか…………まっ、あれだ。こっちには騎士道精神ってのがあんだろ」


「そうだね」


「んで、大和には武士道精神ってのがあんだよえっと……あぁ~~~~、なんだったかな………………そう、あれだ!!!! えっとな、義、勇、仁、礼、名誉に…………あれだ、忠誠と誠だったか。この七つの精神を宿す道……で合ってたっけ、イブキ」


「は、はい!! そ、その通りです」


イブキはイシュドが侍や大和のことを好ましく思っていることは知っていたが、それでも武士道精神という言葉を知っているだけではなく、その中身まで知っているということに……驚き過ぎて数秒ほど固まってしまっていた。


「ってのを持ってるのが侍なんだ。だから、えっと……「大丈夫だよ、イシュド。もう解ったから」おっ、そうか?」


嘘ではなかった。

アドレアスはイシュドが言いたいことがある程度は理解できていた。


だからこそ、既に興味は別大陸にある国……大和へと向いていた。

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