第二十二話
「はるか昔、プラッカー王国は、神によって造られた。そして代々、神の子であるわが祖先によって、繁栄し続けてきた。だが、数百年前、突如として魔王城が現れた。魔王はそこを寝床とし、魔界から魔物を送り出してきた。そして神の子供達である我々を、苦しめてきた。我々は何度も負けた。だが、何度も立ち上がり、学び、魔物を知り尽くした。時が来たのだ。魔王が、魔物がこの世から消え去ることを。我々の生存権を脅かす者は、誰にも許してはならぬのだ」
その日の朝は、蒸し暑かった。木々の葉は、濃い緑色をしている。
国王は演説を終えた。雷鳴のような拍手と、地響きのような歓声に包まれ、兵士達は正門の方に向かって、行進した。二階の窓や玄関から、民衆たちが手を振り、紙吹雪が舞っていく。
オルスを含め、周りの兵士達に、笑顔はなかった。
「こんな光景、これが最後かもな」
隣にいた仲間が、ボソッと言った。オルスは何も言わず、ただ前を向いて行進をしていく。
あの十字路へ。西にある魔王城に向かって行進をしていく。太陽が真上に来た時、兵士たちは木陰で、昼食をとった。
休憩中、たまたまテッドと会った。二人は腰を下ろし、乾燥したベーコンをかじっている。
「今日の夜には、魔王城付近の砦に到着。で、太陽が昇ったら、攻撃開始か。そう言えば、勇者は来ているのか?」
オルスが頷く。
「ああ、別の所にいる。今も、当時のことを思い出しながら、隊長と話し合っている。賢者は? 引っ越してから、全く見ていないぞ」
テッドは、ベーコンをかじりながら、
「一緒に魔法の研究をしていたよ。あの人は凄いよ。後で、その魔法を見せてやる」
昼食が終わり、再び行進していく。見渡す限り、魔物は一切見当たらなかった。
「先発隊が、倒してくれているらしいな」
翌朝も、行進を続けた。そしてオルスの目に、魔王城が見えてきた。どんどんと近くなっていく。周りの兵士たちの緊張感が、ヒシヒシと伝わってきた。
夜、砦に着いた。丘の上に建てられた砦から、魔王城を眺める。テッドは魔法を使い、周りをじっくりと眺めている。
「それは、なんだい?」
「賢者に教わったナイトゴーグル。夜でも見える望遠鏡みたいなものだ。敵の配置は予想どおり。いよいよ明日から本番だな」
「で、もう少しで月が真上だ。魔物が復活するぞ」
「魔物復活!」
「ほいきた」
とうとう、魔王討伐が開始されました。
さて、テッドは賢者から新しい魔法を覚えたようです。もちろん、上級用です。
ここから、怒濤の戦いが始まります。
お楽しみに!
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