第二十一話
「終わりだ。棍棒をおけ」
勇者の声が聞こえた。全員、一斉に武器を置く。敵役はまだ、半数以上が残っていた。
「敵の数は、こんなに残っている。ここで手こずっていたら、魔王城にすらたどり着けない。いかに簡単に倒すかを考えろ」
少しの休憩の後、今度は敵役と味方役が変わる。オルスは敵役となった。
「始め!」
オルスは構える。オルス相手に、二人の味方が襲ってきた。二人の攻撃をかわし、隙を狙って攻撃をする。一人を木剣で打ち倒す。
「うっ!」
倒した瞬間に、もう一人の相手に棍棒で叩かれ、その場に倒れた。
「終わりだ! いいか、敵役は複数を相手にするという事を忘れるな。そうなった時、いかに冷静になれるか、訓練の成果を出せるかだ。一瞬でも迷い、冷静さを欠けたら、そこで終わりだ」
また少しの休憩の後、訓練が再開された。
山間に、夕日が落ちていく。
「これで今日はこれで終わり。明日も同じ内容だ。朝は基本、昼から城攻め。今日学んだ事は、心に刻め。仲間とよく話し合いをしろ。いいな」
全員、地面に倒れていた。返事ができる者はいなかった。
翌日の基本は、声が出ていなかった。
「ただ降るのではない。目の前に敵を想像しろ。殺されかけているんだぞ」
オルスは木剣を振る。だが、木剣を振り終えた時に、震えているのがわかる。
「そんなにブレては、相手は斬り捨てられないぞ!」
勇者に怒鳴られる。
「はい!」
気合いを入れなおし、木剣を振る。
昼食の後、城攻めが始まった。昨日と同じく、何度も繰り返す。吐く者、ケガをする者が続出した。
敵役のオルスは、フラフラの状態だった。立っているのもやっと。始まりの合図が鳴った。
兵士役が二人、死んだ目をしながらも、オルスに襲いかかってきた。
二人とも低姿勢のまま、オルスにあと二歩ぐらいの位置にまで駆けてくる。
オルスは疲れ果て、動けなかった。ただ、正面で構えていた。
兵士役の二人と目が合う。その瞬間だった。体が勝手に動いた。
気が付いた時、相手の攻撃を鼻先で避けていた。下段の攻撃。少しだけ後ろに下がった。
二人の動きが止まって見えた。棍棒で軽く頭に当てた。
「えっ……」
味方役はその場に止まってしまった。オルス自身も、何が起きたのか理解できず。ただ立っている。
「オルス、それだ!」
勇者が叫んだ。オルスは辺りを見回した。視界の左右の隅から、味方役が自分に襲ってくるのが分かった。
オルスは視線を動かさない。相手も、無駄な動作は一切していない。
右足が勝手に下がる。首が勝手に左に傾く。二人の攻撃をかわした。隙ができた瞬間、先ほどと同じ、相手の頭を軽く叩いた。
後頭部に衝撃。後ろを振り返りながら、膝をつく。そこには棍棒を両手持ちにしていた味方役がいた。
「終わりだ」
終了の合図。オルスの所に、勇者がやってきた。
「オルス、なかなかの避け方だったぞ。だが、後ろの気配を察知するには、まだ訓練が必要だな。いいかみんな。たった今、オルスがした事を目指せ。それなら、ガイコツ騎士は簡単に倒せる。今日はこれで終わりだ」
「ありがとうございました」
力のない声が辺りから出てきた。
「オルス、どうやって避けたんだ? 目も死んでいたし、覇気がなかったぞ」
「何にも考えてなかったよ。ただ、体が勝手に動いた」
「俺たちも、ここまでやらないといけないのかよ……」
クタクタになりながら、オルス達は魔王城の、家路に向かって歩いて行った。
RPGで、間違いなく出るのが、「呪文」「特技」などです。
私の物語には……「特技」は出ません! すみません。
色々考えたのですが、現実的にいこうかと。
ああ、でも、プロレスや格闘技にも、得意技があるか……
ちなみに、私の好きなプロレス技は、ムーンサルトプレスです。
プロレスLOVE!
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