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第十九話

それから一週間後。訓練場は緊迫した空気に包まれていた。軽装歩兵、約百名。ウラシュ。オルス、そして勇者。


「勇者、久しぶりだな」


 ウラシュは微笑んだ。


「あの時はすみませんでした。ウラシュ様」

「もう、すんだ話だ。では、どうすればいいのかな」

「まずは基本の訓練から見せてもらいたい」


 隊長ははいつもどおり、木剣での剣の振り方を教えた。足を踏み出し、剣を振る。次に避け方。


「だめです。それではガイコツ兵士にも勝てません。オルス、見せてやりなさい」

「はい」


 オルスはいつもの稽古どおり、一拍で全てすませた。


「攻撃を当てるためには、余計な動作をしないことです」


 勇者が長い棒を持った。


「次に避け方。盾を持っていない状態で、敵から攻撃をされる」


 オルスと勇者が対峙する。勇者が攻撃をしてきた。オルスは勇者の上半身を見ていた。冷静に棒先を読み、寸前の所で避けていく。

 その光景を見ている軽装歩兵は、唾を飲み込んだ。


「まず、これが基本だ。これができなくては、城下街にいるガイコツ兵どもは倒せない。すぐに始めろ」


 軽装歩兵が隣同士、距離をとり、一斉に一拍の基本訓練を行う。だが、この前のオルスと同様、すぐにできない。

 勇者は一人一人見て行く。そして、手短に教えていく。その日、訓練は剣の振り方だけで終わった。


「ではウラシュ様、今日はこれで終わりです。私達は家に帰ります」

「途中まで一緒に歩こう」


 勇者とウラシュ、その後ろにオルスが付いていく形で、歩いていった。


「訓練が、そんなに変わってしまったのか?」

「ええ。原因は兵士が増えたからでしょう。話を聞いてみると、私の時代より、兵士の数が倍になっています。増やすのは良い事ですが、どうしても質が下がってしまうのが問題です」

「十五年前より、この国の人口は増えた。ほとんどの子供たちは、学校に通っているのだがな」

「丁寧に教えすぎた結果でしょう。それと長い間、魔王城に攻め込んでいないのも、原因です」

「緊迫感がないからか」

「私たちの時代は、死に物狂いでした。国は貧しく、魔物に襲われる。生きるのに必死でした。だからって、今の時代を否定はしませんが」

「はっきり聞く。今の兵士達を、勇者が納得できるまでの強さになるには、どれくらいかかる」


 その言葉に、勇者は足を止めた。


「それは、魔王城に攻めるということですか?」

「国王が、決意されたよ」

「それは、プラッカー王国だけですか?」

「クレチアは今、他国に侵攻している最中だ。こっちには物資しか協力できないらしい」

「非常に難しいですよ。前回は、クレチア国の兵士も協力してくれたから、魔王にまでたどり着けた」

「仕方のない事だ。だが、何もしないと、魔物によって全滅させられる」

「わかりました。できるだけ早く」

「よろしく頼む」  


 ウラシュはきびすを返し、城へと戻っていく。

 勇者はオルスについていく。勇者は暗い顔をしていた。

今回の話は、RPGとは少し離れた話になっています。


数名の仲間達と、魔王城に攻め込むというのではなく、軍として、魔王城に攻め込む。


和製のRPGには、あまりないものです。


さて、これからプラッカー王国はどう成長していくのでしょうか。


お楽しみ。


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